エベレストが間近に見える標高3900mのシャンボチェの丘に、「ホテル・エベレスト・ビュー 」を建て、飛行場を作った宮原巍さんの自叙伝★4
1982年刊行。
ネパールとヒマラヤに魅せられた宮原さんは1968年、34歳の時にホテルの建設計画を発表します。
そして、ホテル事業に専念するため、当時勤めていたネパールの中小企業局をやめ、幾多の懸案事項を処理しながら、1970年にホテルの営業開始、1973年に飛行場の運用を開始しました。
この間のストーリーが波瀾万丈で面白い。
高地にホテルを建て飛行場を作ることが並大抵ではないというドキュメントです。
ホテルを建てるための建材調達は、建設予定地の現場から1000m下ってさらに半日歩いた所にある製材所。
そこから幅20cm長さ2mの板2万枚、角材5000枚を、6000人のポーターを雇って運んだそうです。
建設現場で働く人への食糧補給も、160km離れた首都カトマンズから2週間かけて歩いて運んだとのこと。
気が遠くなるような話です。
さらに営業開始後、ホテルでは水が確保できないため、クムジュンというホテルから少し下った村から人が運んでいたそうです。
飛行場建設もかなりの難工事。
大きな岩がゴロゴロ出てくるような土地を最初は人力で、後には2台のブルドーザーとダイナマイトを使い整地したそうです。
そこまでして宮原さんがエベレストの見えるホテルを建てたかったのは、ネパールに観光で寄与したいという強い思いがあったから。
本書を読んで、「夢は実現するもの」とあらためて感じました。
そのためには明確な目標、強い意志と地道な努力、人脈が必要。
30代の若さでそれを実現した宮原さん、すご過ぎ!