NEC重層偽装請負事件の概要 | NECセミコン重層偽装請負訴訟のブログ

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偽装請負とは

 他社から派遣された労働者を指揮命令のもとで働かせているという実態があるのに、「労働者派遣」ではなく、「請負」(又は「業務委託」)と偽ること。

 労働者の安全や衛生、雇用など使用者としての責任を曖昧にするもので、雇用の調整弁となるなど社会的にも問題となっている。職業安定法や労働者派遣法にも抵触し、NEC重層偽装請負事件のように2重3重の偽装請負もあり、中間搾取を伴う場合もある。


NEC重層偽装請負事件とは

 旧NECセミコンダクターズ九州・山口株式会社(平成22年4月1日より、NECエレクトロニクス株式会社と株式会社ルネサステクノロジとの事業統合に伴いルネサスコンダクタ九州・山口株式会社と社名変更)の錦工場製造物流部門で6年3ヶ月~4年6ヶ月に渡り就労してきた労働者3名が、形式上の雇用契約を締結している㈲人吉急便から旧NECセミコンの「生産縮小」を理由に、平成20年12月ないし平成21年3月に解雇された事件です。


労働局は重層偽装請負を認定

 3名は、㈲人吉急便と形式上の雇用契約を締結したが、㈲人吉急便と日本通運、日本通運とNECロジステックス株式会社、NECロジステックス株式会社とNECセミコンダクターズ九州・山口株式会社、とそれぞれの「業務委託」若しくは「業務請負」契約によって、実際は旧NECセミコンダクターズ九州・山口株式会社錦工場内においてNECロジステックス株式会社及びNECセミコンダクターズ九州・山口株式会社の直接の指揮命令の下で違法な就労をさせられていた重層の偽装請負であると熊本労働局は認定しています。


黙示の労働契約の成立

 ㈲人吉急便との雇用契約は偽装請負を実現するための違法なもので無効であること。3名の労働者は、旧NECセミコンダクターズ九州・山口株式会社錦工場において、NECロジステックス株式会社やNECセミコンダクターズ九州・山口株式会社の従業員と区別されることなく渾然一体として働いてきた。就労期間中は、㈲人吉急便の経営者が介入する余地はなく、NECロジステックス株式会社やNECセミコンダクターズ九州・山口株式会社の社員から直接指揮命令を受けて働いてきたなどの事実から㈲人吉急便ではなく、NECロジステックス株式会社及びNECセミコンダクターズ九州・山口株式会社の従業員であったことは明らかで、NECロジステックス株式会社及びNECセミコンダクターズ九州・山口株式会社との間に労働契約が成立している。


職業安定法44条違反の事件

 NECロジステックス株式会社及びNECセミコンダクターズ九州・山口株式会社が㈲人吉急便から送り出して受け入れた行為は、いずれも直接雇用を謳った職業安定法44条に違反する「労働者供給」であることは明白で、熊本労働局からは職業安定法44条違反の是正指導と直接雇用が推奨されているが、NECロジステックス株式会社及びNECセミコンダクターズ九州・山口株式会社は直接雇用を拒否し続けている。


直接雇用の原則を求める

 低賃金と雇用不安に晒されている非正規・不安定雇用労働者が3人に1人に広がり、雇用破壊がすすむ社会が日本の将来を危うくしている。NEC重層偽装請負のたたかいは、労働者をモノのように扱うことを許さない、労働者の尊厳を取り戻すたたかいとして、全国の非正規労働者の声を代表してたたかう裁判です。また、こうした異常な働かせ方の仕組みの根本から変える、政策変更を迫る裁判(政策形成訴訟)でもあります。