小中学生に学習用端末を1人1台配備する国のGIGAスクール構想
先日、中日新聞やテレビのニュースで「名古屋市が配ったタブレット端末の故障や破損の割合が約26%に上り、主な政令指定都市の中で突出して高い」という報道がありました。
(名古屋テレビの画面撮影)
メーカーや名古屋市教育委員会は児童・生徒の使い方に問題のあるケースが多いとみているそうですが、さすがに突出し過ぎですし、名古屋市の小中学生が他都市と比べてこれほどまでに使い方を理解できないということではないはずです
ちなみに現場からは下記のような報告や不満の声が紹介されていました。
こんな状況が続けば、学校の先生方も一体何やってるのだか途方に暮れてしまいますし、児童生徒たちも今まで通りの授業やってくれよと嘆きたくなってしまうかもしれません
文科省はGIGAスクール構想について以下のように説明しています。
1人1台端末環境もはや令和の時代における学校の「スタンダード」であり特別なことではない。これまでの我が国の 150 年に及ぶ教育実践の蓄積の上に、最先端の ICT教育を取り入れ、これまでの実践と ICT とのベストミックスを図っていくことにより、これからの学校教育は劇的に変わる。
多様な子供たちを誰一人取り残すことのない公正に個別最適化された学びや創造性を育む学びにも寄与するものであり、特別な支援が必要な子供たちの可能性も大きく広げる。
1人1台端末の整備と併せて、統合型校務支援システムをはじめとした ICT の導入・運用を加速していくことで、授業準備や成績処理等の負担軽減にも資するものであり、学校における働き方改革にもつなげていく。
ICT 環境の整備は手段であり目的ではない。子供たちが変化を前向きに受け止め、豊かな創造性を備え、持続可能な社会の創り手として、予測不可能な未来社会を自立的に生き、社会の形成に参画するための資質・能力を一層確実に育成していくことが必要。その際、子供たちが ICT を適切・安全に使いこなすことができるようネットリテラシーなどの情報活用能力を育成していくことも重要。
など、恐らく多くの保護者が支持・納得できるであろう文言が並んでいます。
ただ現状では、先生方の働き方改革に皮肉にも逆行してしまう恐れさえあって、また「子供たちが適切・安全に使いこなす前の問題でしょ」というレベルの課題もあって、名古屋市では濃い霧の中での船出となっています。
学習端末導入初期の段階で、名古屋市が小中学生に配備した学習端末のうち、ある会社の製造した端末に不具合が多発した問題で、その会社が市に納入した約2万9000台すべてを、新たに製造する端末と入れ替えたというトラブルも記憶に新しいところです。
その後さまざま対応がされているとは思いますが、必ずや早急に軌道修正して、誰一人取り残すことのない公正に個別最適化された学びや創造性を育む学校教育につなげてほしいと願います。