全国学力テストの「過度な」事前対策 | 教育・受験のミカタ

教育・受験のミカタ

NEホールディングス(栄光学園・西塾・進学塾サンライズ・名古屋個別指導学院・コンパス)社長ブログ

小中学生を対象に行われる全国学力テストについて、石川県や秋田県など毎度全国順位が高い自治体を、皆様も新聞などでよく目にされるのではないでしょうか。

(秋田魁新報より)

(秋田経済新聞より)

秋田式学習法などと謳った書籍が発行されたり、電車内の広告でも取り上げられてきた秋田県や、かつて文科大臣を務められた馳氏が知事の石川県、ほかにも福井県などは、学力テストのたびに特に成績が良い県として挙げられてきました。

私も、こうした県の子供たちのテレビ視聴時間や読書時間、起床就寝時間などから好成績の要因を探ろうという資料をいくつか拝見したことがあります。先生方の工夫や宿題の出し方、ノートの取り方など参考になる点も多くあることは申し添えておきます。

 

サーチ先週、両県について以下のような報道がありました。

 

【石川県について】

YAHOO!ニュースより一部引用

 県教職員組合では毎年、県内286校の教職員に対し、全国学力テストの実態調査を行っていて、今年は4月から5月にかけて104校から回答を得ました。それによりますと、全体の74%の学校の教職員が校長や教頭などから「事前対策をするよう働きかけがあった」と回答しました。 

 

事前対策については、馳知事が文部科学大臣を務めていた2016年に「調査前の過度な対策は、調査の趣旨・目的を損なう」として各教育委員会に通知したほか、県教職員組合でも「子ども達の主体的な学習能力がつかない」として毎年、改善を求めていました。

 

 今回の調査結果について馳知事は「引き続き学力テストが本来の趣旨に沿って実施されるべきと改めて考えている」とコメント。

 

【秋田県について】

YAHOO!ニュースより一部引用

石川県と同じく全国トップクラスの成績を維持している秋田県でも、県教職員組合が、テストの対象となる小学6年生と中学3年生を受け持つ教員に調査を行ったところ、回答した368人の教員のうち、75%にあたる274人が「事前対策を行った」と回答したということです。
 

事前対策にかけた時間は、2時間が最も多く22%、次いで3時間が17%、1時間が14%などとなっていて、なかには15時間と答えた教員もいました。

また、事前対策を行った理由を複数回答で尋ねたところ、「毎年やっているから」が76%、「管理職などからの働きかけ」が29%だったほか、「結果が自分の評価につながる」という回答も7%ありました。

県教職員組合は、「事前対策に時間をかけることで本来の豊かな学びを得る機会が失われかねない。何が子どもたちのためになるのか考えなければいけない」としています。一方、県教育庁義務教育課は「学力テストはふだんの子どもの学習状況や指導の状況を把握するためのもので、各学校で事前対策をしている認識はない」としています。

秋田県は、ことしのテストで小学6年生の「国語」と「理科」、それに中学3年生の「国語」で平均正答率が全国1位でした。

(以上引用)

秋田県の教職員組合の調査では、4人中3人の先生が事前対策を行ったと回答されていますが、秋田県教育庁義務教育課は「学校が事前対策をしている認識はない」とのコメント。
学校や先生に責任を押し付けたいのか、あるいは本当に現場の動きを把握していないのかはよくわかりませんが、現場の先生や、対策を受けさせられた子供たちに後ろめたい思いをさせるのは違うんじゃないかと感じます。

これ、次の調査からが大変で、良かったら良かったで「あそこは対策やってる県だから」とか言われるし、下がったら下がったでまた色々言われるでしょうし…。

 

馳氏が文科大臣の時にこの議論があり「過度な対策は調査の趣旨・目的を損なう」という通知が各教育委員会にされたそうです。

 

「過度」なんて主観的で人によって解釈の異なるファジーな言葉使われたら、現場では、子供たちに良い点数取らせたい、点数が低いと自分がまずいなどそれぞれ思惑、解釈、価値観でやるわけで、その責任は先生でも学校でもなく、「過度」という言葉で通達した責任者にあるのは明確です。

 

ということで、秋田や石川を責めるのは筋違いで、大きな方向性を再整理しないといけない機会ですねという話でした。