「やっと光が見えてきた」 ルポ、東日本大震災から1年 | 人間ドックの選び方

人間ドックの選び方

人間ドックは、近い将来病気を引き起こすと考えられる、体の異常や生活習慣などの問題点を検査によって明らかにする事で、病気を未然に予防するためのものです。

未曽有の被害をもたらした東日本大震災からもうすぐ1年。被災地のいまを伝えるため7日、宮城県に入った。被災地では復興が進む一方で、大きな爪痕が残る。その姿に紀南地方の台風被害、将来発生が予想される大地震を重ね合わせながら取材を始めた。


宮城県石巻市

7日早朝、仙台市から三陸自動車道を通って、石巻市を訪れた。主要道路沿いでは全国展開する大型店が通常通り営業し、駐車場には多数の車が並ぶ。一見、日常が回復しているように見えた。

しかし、市街地に入ると、壊れたままの店舗が並ぶ商店街、建物が撤去された後の空き地があちらこちらで目に付いた。工事中やデコボコなままの道路も多く、走行中の車が時折大きく揺れた。人通りの少ない町に寒風が吹き付け、復興の道のりの遠さを実感した。

被災者もなかなか元の生活を取り戻せずにいた。昨年4月に取材した阿部裕一さん(42)もその一人だ。当時避難所だった荻浜中学校を出て、7月から暮らし始めたという仮設住宅を訪ねた。

被災前、阿部さんは地元の荻浜でカキの養殖をしていたが、再開のめどが立たず、5月から建設会社でがれきを分別するアルバイトをしているという。

荻浜では13事業者がカキの養殖を営んでいたが、すでに3事業者が転職した。阿部さんは「昨年は、先行きの見えない不安がずっとあった」という。畑違いでも一定の収入がある仕事を続けるのか、見通しの立たない浜の仕事に戻るのか。葛藤を抱え続けていた。

そんな阿部さんに一筋の光となったのが、宮城県が2月に発表した養殖業者への支援策。3人以上で経営共同体をつくれば、経営が安定するまでの3年間、経費の9割を補助してくれる内容だった。この制度を利用すれば、養殖業の再開にグッと近づく。

荻浜では養殖仲間たちが昨秋にワカメ養殖に挑戦し、今月出荷を迎えようとしている。昨夏からわずかながらカキの養殖も再開。順調なら今秋に出荷の見込みだ。

「やっぱり浜の仕事がしたいですよ。周囲の仲間たちと一緒に浜の仕事がしたい。真っ暗闇の中にやっと光が見えてきたところです」。阿部さんもいずれ戻るという。話す言葉にも力強さがこもっていた。

長く厳しい冬に耐えてきた人々に、ようやく遅い春が訪れようとしている。

出典:紀伊民報