NDNは新潟県の譲渡ボランティア登録をしており、2024年11月中旬、新潟県動物愛護センターから「骨折した猫を保護してほしい」と依頼がありました。
今回のブログは、骨折してつらい思いを経験した猫が、痛みや治療に耐えて、飼い猫「ばぶちゃん」として幸せになるまでをまとめました。
私がこの記事で伝えたいことは大きく2つです。
1.猫は完全室内飼いでお願いしたい。
2.プレートやボルトを使わない骨折の治療法がある(トーマス副子固定)
以下、時系列でまとめましたので、お付き合いください。
2024年11月中旬、NDN代表の岡田さんから突然の着信がありました。
ふだんはLINEのやりとりで済んでいるのに、何か緊急事態!?と思って出てみると、
「骨折した猫を保護できないか」というお話でした。
聞けば、長岡市にある新潟県動物愛護センターから、骨折による負傷猫の引き出し依頼があったとのこと。センターでは対応が難しいのでで、NDNに引き受けて欲しいとの相談でした。
先日、2匹の子猫たちを無事に正式譲渡したタイミングだったこともあり、我が家で引き受けることにしました。
翌日、長岡まで車を走らせ、初めて訪れた新潟県動物愛護センター。
骨折した猫は、「性格がとても良い子です」という事前情報どおり、センターの職員さんにスリスリしながらくつろいでいました。
キジ白のオス猫で、推定2〜3才。
燕市内で動けなくなっているところを保護されたそうです。
保護時は未去勢でしたが、愛護センターで手術をしてくれていました。
骨折したのは右後ろ足の大腿骨。
レントゲンを見ると、痛々しい折れ方をしていました。
事故にあったのか、高所から落ちてしまったのか…。
人懐っこい様子を見ると、外で人間に餌をもらいながら生活していたのかもしれません。
折れた時は想像を絶するような痛みだったと思います。
トイレもしづらいし、餌も水も摂取しづらい。
歩いたり走ったりもできないのが気の毒で、見ていて辛くなりました。
岡田さんの話では、野良猫や外飼いの猫が骨折してセンターに収容されるケースが少なくないそうです。
改めて、完全室内飼いの重要性を実感します。
「外に出たがっているから」「家の中じゃ退屈だろうから」という考えはもう古いです。
”猫のため”と思って外に出している飼い主さんは今すぐやめてほしいです。
怪我をして痛い思いをしたり、自由に遊べなくなったらそっちのほうが不幸です。
最悪、命を落とすこともあります。そんなの悲しすぎます。
私がこの記事でまず一番伝えたいことが、完全室内飼いの大切さです。
さて、長岡で猫ちゃんを引き受け、そのまま動物病院へ。
通常、猫や犬の骨折治療は、骨にピンを入れる、プレートやボルトで留めるなどの方法が一般的なようですが、先生からは「トーマス副子固定(ふくしこてい)」という治療法の説明を受けました。
「トーマス副子固定」は、ずれた骨折部位を牽引しながらできるだけ元の位置での自然癒着を目指します。プレートやボルトのような手術をするよりはるかに安価で済みますが、その分、骨が癒着するまで慎重にケアする必要があるとのこと。
費用は2万円ほどで、こちらの方法を選択することに決め、2日間入院しました。
入院の間、我が家では骨折した猫さんのための環境づくりを急ぎました。
NDNから大きめの1段ケージを借り、トイレも段差の少ないものを用意。
ふわふわの毛布を敷いて、治療中の猫さんがくつろげるようにしました。
毛布の上には、どこで排泄しても大丈夫なようにペットシーツを敷き詰めました。
翌週月曜、いよいよ骨折した猫さんが我が家に来ました。
エリザベスカラーをつけて、骨折した足は大きな金具で固定されて動きづらそう。
なんだかギプスというより「剣」のような感じでした。
固定している間は痛みを感じづらいようで、私もすこしホッとしました。
それからの介護はなかなか大変でした。
ごはんは人間がお皿を傾けないとあげるのが難しく、お水もカラーがあって飲みづらそう。
我が家の猫が自由に室内を歩き回っているのと対照的に、猫さんはケージの中で安静にしていなければなりません。
先住猫がケージ越しに挨拶に行くと、すぐに仲良くなってくれました。
一緒に遊んだりできない日々は、相当なストレスだったと思います。
ごはんをあげる時、なでたり抱っこすると、嬉しそうにゴロゴロ言いました。
また、我が家での生活に慣れてくると、むにゃむにゃおしゃべりもするようになりました。
甘えん坊で、成猫だけど小柄だから子猫みたい。
いつしか我が家ではこの猫さんを「ばぶちゃん」と呼ぶようになりました。
トーマス副子固定は週1回病院に行って巻き直す必要がありました。
2週間に1回はレントゲンを撮影し、だんだんと骨がくっついていくのがわかりました。
11月中旬から、約2ヶ月間治療が続きました。
我が家は自家用車が1台しかなく、平日は家族が仕事で使っています。ボランティアさんが送り迎えを快く引き受けてくださり、毎回の通院を助けてもらいました。
また、他のNDNの皆さんも「骨折してたあの子、調子どう?」と気にかけてくれました。
寄付で頂いたペットシーツやカリカリ、ウェットフードにもたくさんお世話になりました。
ばぶちゃんに関わってくれた皆さん、どうもありがとう。
たくさんの人に支えてもらいながら、ばぶちゃんは懸命に治療に励みました。
そして2025年1月上旬、ようやくばぶちゃんの治療が終わりました。
治療の経過はこんな感じ。離れていた骨はしっかりくっつきました。
エリザベスカラーをとって、固定も外して、自由になったばぶちゃん。
足はちょっと短くなりましたが、元気いっぱいです。
里親探しをする予定でしたが、このまま我が家の一員になりました。
今では先住猫とおいかけっこしたりプロレスするのが日課になっています。
また、夜寝る時はむにゃむにゃ言いながら、私の布団にもぐってきます。
体重も我が家に来た時は3キロちょっとでしたが、4キロになりました。
野良で生活して、骨折してつらい思いをしたばぶちゃん。
小さな体で乗り越えた様子に、私はたくさん勇気をもらいました。
これからはずーっとあたたかいお部屋で、幸せに暮らそうね。