アニマルホーダーという言葉をご存知でしょうか?自分の飼育能力を超えた数の動物を飼い、適切な飼育や治療ができないにも関わらず、本人にその自覚がなく手放さない人を指すと言われています。そして動物たちの苦痛を感じることができないとも言われています。多頭飼育崩壊でも様々な飼い主がいますが、今回はまさにアニマルホーダーと思われる事例でした。

①始まり

令和3年12月、村上市福祉課と下越動物保護管理センターから生活保護世帯の多頭飼育崩壊について協力依頼がありました。当事者は高齢親子二人暮らし。未手術の猫30匹(成猫20子猫10)を室内飼い。

生活保護でこれだけの猫の適正飼育は不可能なので猫の数を減らすようセンターが指導中であり、子猫はセンターが引取り里親探しするので、残りの成猫の不妊去勢手術を会で支援してもらえないかとのことでした。

②自宅訪問

スタッフ二人で訪問したところ、ゴミ屋敷ではありませんでしたが、6畳二間の部屋で小さな石油ストーブと1台のコタツに猫達が群がっていました。10年前に貰い受けた猫が脱走し妊娠して戻ってきて増えたそうです。

一見みんな健康そうでしたが、く見ると、太ったオスがいる反面、口内炎で口が真っ赤にただれた猫、風邪症状の子猫など健康状態の差が激しく、コタツの中には成猫に混じって目が潰れた乳飲み子や子猫がぐったりと横たわっていました。餌皿には炊いた白米のみ。

病院に連れていったことはなく、状態の悪い子を指しても「ちゃんと食べてる。どこも悪くない。フードも足りている。」と言います。強がりではなく、本当に状況を把握できていない様子でした。







③飼い主との話し合い

成猫は春になる前に手術、子猫はセンター引取りを提案したところ、手術はしたいが1匹たりとも手放さないと譲りません。フードが足りなく飢餓状態、必要な治療もせず苦しませて死んでいくのは平気なようです。明らかな虐待で犯罪ですが、自分たちは可愛がっていると思っているのです。これがまさにアニマルホーダーなのでしょう。対話ができませんでした。

虐待なので強制的に取り上げても良いのではと思ってしまいますが、実は今の法律では、どんなに虐待していても飼い主に所有権があり、飼い主が同意しなければ連れ出すことができません。動物虐待で逮捕はできても、それをもって動物を取り上げることはできないのです。

手術もしないと言いだしたので、引取りはやめて子猫含めて全頭手術で話をおさめました。ただし、せめて乳飲み子など今治療しないと手遅れになる子だけでも預からせてほしいとお願いし、元気になったら返す約束しその日に子猫4匹を緊急保護できました。




両目が潰れ毛が禿げ上がり、お乳も飲めていなくて干からびていました。一生懸命生きようとしていましたが残念ながら助かりませんでした。




↓この子は保護後、こんなに美猫になりました。片目はその後摘出しましたが頑張って手術を乗り越えました。




その2へ続く

 

 

 

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