生産農家さま訪問の報告その3です。
普段なかなか聞けない、生産者としてのストーリーや動物たちへの思い。
すこし長くなりますが、ぜひその想いが届きますように
お読みいただければ幸いです。

3.『AWFC会員農場 「どろぶた」ランチョ・エルパソ』

風土がFOODをつくる」との思いから

食材としての安心安全だけではなく、豚たちの幸せを求めた結果

広大な土地での放牧スタイルになったというエルパソ牧場。

放牧場はさすがの北海道らしく、けた違いの広さでした。

 



写真の中に見えるすべて敷地です

 



 

 

エルパソ牧場は

AWFCアニマルウェルフェアフードコミュニティ・ジャパン

会員農家として、5つの自由を基にした飼養基準を満たしていますが

それとは別に”どろぶた”として飼養環境などの自社基準があるそうです。

 

・飼養面積は2頭で1ha

・床材はおがくずではなく敷き藁

(鼻堀り行動欲求を満たすため。藁を食べたりもする)

・肥育の全期間(生後100日~出荷前まで)放牧

・肥育は生後約8か月体重150kgほどまで

(一般的な養豚は約6カ月120kg)

・母豚のお産は半年に1回(年2回)

・父豚シュヴェービッシュ・ハル種、母豚ケンボロー種

・シュヴェービッシュのみ自家配合飼料を給与

・肉の脂中オレイン酸45%以上含有

(一般的な豚肉は~40%程度)

 ※50%以上含有しているもの「プレミアムどろぶた」

 



ごはんを食べています。

 



ツートンカラーの豚が希少なシュヴェービッシュ・ハル




どろ遊び日和でした

 

 

豚は8カ月齢から妊娠が可能で、妊娠期間は約114日

ご存じのように日本の多くの養豚場では

母豚は、種付け~出産前までを妊娠ストール

出産~子豚の離乳までを分娩ストールで過ごします。

 

出産後約1か月は母豚のお乳で子豚を育て、

子豚が離乳すると母豚は一旦ストールから出ますが

1週間前後でまたすぐに種付け1年に2.回お産をします。

母豚はこのサイクルをお肉として出荷されるまで3年ほど繰り返されます。

 

つまり4年ほどの生涯で最初に種付けをした8カ月齢以降

一年で10日前後しか、くことも、仲間と触れ合うことも、

好きな場所でトイレもできません。

ストールを使用する目的は

管理が楽で、狭い場所でたくさん飼うため

子豚を圧死から守るためですが

”母豚を動けないようにする”のが当たり前になっています。

 

エルパソ牧場でもストールには入れるものの、その大きさは通常の3倍。

子豚を守るために、母豚を動けないようにするのではなく、

子豚が逃げ込める場所を作ってありました

お産の回数としては平均10産くらいで、

お産を休んでいる間はフリーストールに移るそうです。

 



生後4日ほどの

 



 

 

アニマルウェルフェアに配慮された畜産のために

生産者ではない私たちが出来ることはなんでしょうか?

お聞きすると、教えてくださいました。

 

 放牧してもストールに入れなくても

どうせ殺して食べるんでしょう』

とよく言われる。もちろんそう。

命を育てて、その命を頂くのが畜産。

 

農畜産物は運命(生まれてから死ぬまで)が

人間(農家)によって決められている。

豚は種付けから出荷まですべてコントロールしている。

植物でも同じ。

 

豚は家畜として食べられる運命。

でもだからこそ、ここで生きている間

どれくらいのことをしてあげられるのか

放牧であったり、フリーストールであったり

出来る限り幸せに過ごせるようにしてあげることが

動物としての彼らを家畜として扱うための条件だと思っている。

そういう交換条件で、僕たちはやっているんだ。

 

すべての農家が同じように育てるべきとは思わない。

いろんな方法があってもいい。

でもこのような、豚たちに幸せを感じてもらうための、

効率を最優先にしない飼育方法では商品の価格が上がることを

買う人は理解してほしいしそのような理解を広げていってほしい 

 

この広大な放牧場は北海道だから出来ることだと

会長がおっしゃったのはその通りだと思いますし、

実際的な作業面では大変なこともあると思います。

それでも、頂く命に対して最大限のお返しを

このように形にされていることに感銘を受け、応援したいと思いました

 

 

どろぶたの精肉・加工品は通販で購入可能です。

ご贈答シーズンにも普段のごちそうにも、ぜひぜひご利用ください!

 

HP:https://www.elpaso.jp/


SHOP:https://elpaso.jp/shop/


 

 





どこの農場でも豚は好奇心旺盛