「風土がFOODをつくる」との思いから
食材としての安心安全だけではなく、豚たちの幸せを求めた結果
広大な土地での放牧スタイルになったというエルパソ牧場。
放牧場はさすがの北海道らしく、けた違いの広さでした。
←写真の中に見えるすべて敷地です↓
エルパソ牧場は
AWFCJ(アニマルウェルフェアフードコミュニティ・ジャパン)の
会員農家として、5つの自由を基にした飼養基準を満たしていますが
それとは別に”どろぶた”として飼養環境などの自社基準があるそうです。
・飼養面積は2頭で1ha
・床材はおがくずではなく敷き藁
(鼻堀り行動欲求を満たすため。藁を食べたりもする)
・肥育の全期間(生後100日~出荷前まで)放牧
・肥育は生後約8か月、体重150kgほどまで
(一般的な養豚は約6カ月120kg)
・母豚のお産は半年に1回(年2回)
・父豚シュヴェービッシュ・ハル種、母豚ケンボロー種
・シュヴェービッシュのみ自家配合飼料を給与
・肉の脂中オレイン酸45%以上含有
(一般的な豚肉は~40%程度)
※50%以上含有しているものは「プレミアムどろぶた」
ごはんを食べています。
ツートンカラーの豚が希少なシュヴェービッシュ・ハル種
どろ遊び日和でした。
豚は8カ月齢から妊娠が可能で、妊娠期間は約114日。
ご存じのように日本の多くの養豚場では
母豚は、種付け~出産前までを妊娠ストール、
出産~子豚の離乳までを分娩ストールで過ごします。
出産後約1か月は母豚のお乳で子豚を育て、
子豚が離乳すると母豚は一旦ストールから出ますが、
1週間前後でまたすぐに種付け、1年に約2.5回お産をします。
母豚はこのサイクルを、お肉として出荷されるまでの約3年ほど繰り返されます。
つまり4年ほどの生涯で最初に種付けをした8カ月齢以降、
一年で10日前後しか、歩くことも、仲間と触れ合うことも、
好きな場所でトイレもできません。
ストールを使用する目的は、
管理が楽で、狭い場所でたくさん飼うためと
子豚を圧死から守るためですが
”母豚を動けないようにする”のが当たり前になっています。
エルパソ牧場でもストールには入れるものの、その大きさは通常の3倍。
子豚を守るために、母豚を動けないようにするのではなく、
子豚が逃げ込める場所を作ってありました。
お産の回数としては平均10産くらいで、
お産を休んでいる間はフリーストールに移るそうです。
生後4日ほどの子豚
アニマルウェルフェアに配慮された畜産のために
生産者ではない私たちが出来ることはなんでしょうか?
とお聞きすると、教えてくださいました。
「 『放牧してもストールに入れなくても、
どうせ殺して食べるんでしょう』
とよく言われる。もちろんそう。
命を育てて、その命を頂くのが畜産。
農畜産物は運命(生まれてから死ぬまで)が
人間(農家)によって決められている。
豚は種付けから出荷まですべてをコントロールしている。
植物でも同じ。
豚は家畜として食べられる運命。
でもだからこそ、ここで生きている間
どれくらいのことをしてあげられるのか
放牧であったり、フリーストールであったり
出来る限り幸せに過ごせるようにしてあげることが
動物としての彼らを家畜として扱うための条件だと思っている。
そういう交換条件で、僕たちはやっているんだ。
すべての農家が同じように育てるべきとは思わない。
いろんな方法があってもいい。
でもこのような、豚たちに幸せを感じてもらうための、
効率を最優先にしない飼育方法では商品の価格が上がることを
買う人は理解してほしいし、そのような理解を広げていってほしい 」
この広大な放牧場は北海道だから出来ることだと
会長がおっしゃったのはその通りだと思いますし、
実際的な作業面では大変なこともあると思います。
それでも、頂く命に対して最大限のお返しを
このように形にされていることに感銘を受け、応援したいと思いました。
どろぶたの精肉・加工品は通販で購入可能です。
ご贈答シーズンにも普段のごちそうにも、ぜひぜひご利用ください!
どこの農場でも豚は好奇心旺盛