妹背牛牧場は
牛との信頼関係・牛のストレスフリーを第一に考える
牛ファーストな農家さんです。
30代の社長さまと奥さまから、お話を伺いました。
こちらは町内唯一の酪農経営で、乳牛が約100頭
(経産牛65、未経産牛37 ※R3.11月)
10年前に新規就農した30代の社長夫婦とスタッフ4名での経営で
乳の生産量・乳質ともに高い水準を維持されています。
とくに個体乳量は、一般的に1頭あたり平均の年間乳量が
8~9,000kg(一日約20~30L)といわれているところ
妹背牛牧場では12,900kgという成績をだしているそうです(1.5倍!)
ただしそれは乳量をたくさん出させることを”目標”にして
牛に無理をさせて搾り取っているわけではなく、
牛ファーストでシステム構築をしていったことによる
牛自身のパフォーマンス向上と
合理的な理由に基づきロボット導入したことなどによって得られた
”結果”であることが社長さんのご説明でよくわかりました。
以下、頂いた資料からの引用も含みます。
初めての人が触っても逃げません。同業者の方も驚くそうです。
●搾乳
こちらでは1台のロボットによって全自動で行われます。
牛たちが絞ってほしいタイミングで
自分の意志で搾乳スペースまでやってきて
24時間いつでも、何回でも!搾乳できるそうです。
見学中も順番待ちの列ができていました。
導入の目的は、労働力削減というより
『牛主導の搾乳』にするためだったとのこと。
一日3~5回も搾乳に来る子がいると聞き、
牛の搾乳は朝晩2回、そう思いこんでいましたが
奥様の言葉に納得しました。
「人間だって、子供がおっぱいを飲みたがるのは
1日2回じゃないし、私も子育ての経験上、
張ってきたな~そろそろ飲んでほしいな~と思う時があった」と。
たくさん乳量が出る子は、朝まで絞ってもらえないことで
乳房炎になる可能性も。でも好きな時に絞れれば、
その可能性を減らせるということになります。
人間が5回も絞ってあげることは難しいけれど、ロボットを導入することで
労働力とリスクも削減することに成功されています。
しかも首輪のセンサーで1頭ごとの搾乳量と反芻時間まで記録でき、
体調不良の早期発見や発情にも気づくことができるのだそうです。
●餌寄せ
「餌寄せロボットは一時間に一度動きます。
人がいない時間に牛たちが必ず餌を食べられる環境を
作ってくれるのが餌寄せロボットの凄さ。
どれだけ栄養満点、バランスの考えられた餌を与えても
食べられなければ意味がありません。
環境制限で体調を崩さないように、牛達のための餌寄せロボットです」
餌寄せは、とっても大事な作業です。
牛は食事をすると体内に熱が発生するので、特に夏の昼間などは
あまり食事をせず、涼しくなった夜中に頑張って食べます。
それを人がスコップやブラシで寄せてあげるのが普通の作業。
手でやってみるとエサは結構な重さで
数メートル掃いただけでもかなり疲れます。
しかも夜中のエサ寄せ。。。
人間では難しいけれど、これもロボットが大活躍!
牛たちの健康を維持することと労働力の削減どちらもかなえています。
↑奥に見えるモノが餌寄せロボットです
●哺乳期90日間の可愛がり
「この期間は牛と人の信頼関係を築くのに最も重要。
顔や体に沢山触れ、話しかけ、
人間が怖い生き物ではないことを教える。
牛たちの性格がおとなしくハンドリングしやすくなり、
世話や発情観察もしやすくなる」
妹背牛牧場のすばらしいところは
ロボット導入などで労働力が削減された分を
牛たちに還元していることだと思います。
コミュニケーションと観察の時間をたくさんとるので
人なつこい牛たちになり、ケアが必要な時も早期発見。
仔牛の部屋に同じ目線で座ってみて
「ここは隙間風があるから毛布を掛けよう」
「ミルクをうまく飲めない子は目隠しをしてみよう」など
小さいようで大きなケアが行き届いていることが
牛たちの快適につながるのだなぁと思いました。
オスの仔牛が生まれてすぐに別の農場へ行くとしても
行った先でストレスを感じないよう
どの子にも同じように接するそうです。
「人間と牛を同じ哺乳類と捉え
自分と置き換えてどうすべきか?
人のために働く経済動物、家畜だからこそ
より幸せを充実させるべき」
というお考えの元、ほかにもたくさんの改善に取り組まれています。
●除角のストレス軽減 = 信頼関係を壊さないため
●胃・腸・肝臓の健康を守るサプリメントの給与 =病気にかかりにくい
●牛の改良。
小型化 = お産の負担減と、女性でも扱いやすくするため。
ゲノム解析で遺伝情報を数値化し能力の高い個体を選定して種付け = 経営の安定化。
ストレスで扱いにくい個体がいなければ
お互いの心的負担が少なく
体調不良の個体が少なければ治療に充てる
時間・経費などもかけなくてすむので
牛も人も楽、といいことづくめ。
生産乳量が突出していることは”結果”ではあるけれど
「彼女たちの生きた証を刻むために、結果を出す」
とおっしゃった社長の言葉が印象的でした。
それが評価されることは、牛の幸せ = 人の幸せ
その結果としての最大パフォーマンスの発揮
の証明になるからだと思います。
愛情いっぱい注がれたストレスフリーの牛たちの牛乳だけれど
今は一般的な方法で、区別なく出荷されています。
設備投資の負担が大きいため、6次産業化に取り組むことは
簡単ではないそうですが、実現されたときには
ぜひとも応援させてほしいと思いました。
同業者さまの視察も多いとのことだったので、
牛ファーストのスタイルがどんどん広まることを期待します。
HPやSNSの発信もすごいので、見たことがない方もぜひご覧ください。
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