猛暑続く7月18日(日)に、酪農家 坂根涼太さんが経営する坂根牧場を訪問しました。
牧場のある大樹町は北海道十勝の南部に位置し、ロケットの町として知られ、また酪農が盛んな町です。



代表の坂根さんは、2007年から4代目として牧場を営み、現在は放牧地 15ha、採草地 48haで約160頭の牛を飼育しています。
全国では6番目にアニマルウェルフェア認証を取得し、国内ではアニマルウェルフェアの先駆者とも言える牧場です。
ところが、意外なことに坂根さんはもともと酪農に興味はあまりなかったそうです。

子供の頃から家業として牛と触れ合っていた坂根さんですが、
品評会で見かける牛はピカピカで輝いている反面、その牛を育てている酪農家の姿はくたびれているように見え、
ご家族が忙しく働いている背中を見て育ったこともあり、酪農家は「辛い」、「汚い」、「格好悪い」というイメージを持っていて、
ご自身が酪農家という職業に就きたいとは思わなかったと話します。

そんな坂根さんですが、20代前半にアメリカへ農業研修に行き、現地の酪農家の働き方を知ることから少しずつ考え方が変わったそうです。
酪農を学ぶと共にフィールドトリップという学外活動で様々な農場を訪れた際、
仕事とプライベートのオンとオフを分け、趣味を持ち、家族とゆっくり過ごす時間を持つという、
日本とは違う働き方の酪農家の生活に共感を受けたという坂根さん、その後奥さんや仲間たちとの出会いを経て帰国、地元へ戻り就業します。



先代が2001年から放牧を初め、坂根さん就業後は良質の牧草を育むための土壌づくりに着手、
当初アニマルウェルフェア認証を取得することは簡単だと考えていましたが、初年度は審査に通りませんでした。
審査で指摘されたことは、自分達では全く気付けなかったと話します。

厳しい審査で指摘を受けた点いくつかあります。
1つ目は哺乳。
それまでは子牛にバケツで乳を与えていましたが、指摘を受け哺乳瓶で与えるようにしました。
ところが、1頭の子牛に人の手で哺乳瓶を10分以上かけて吸わせるのは大変な時間と労力がかかります。
そこで特注で哺乳瓶ホルダーを作りました




2つ目は足の傷。
牛道が雨でグチャグチャになるのを何とかしようともろい石くずを入れました。

3つ目は体の擦り傷。
首の後ろにストールが当たり、擦れて傷ができていたことを指摘されました。
そこでスタンチョンの位置を10㎝上にあげ、バーも25㎝前に出しました。
すると牛の首に当たらずエサが食べられるようになり、自然と体の擦り傷はなくなりました。

人間も靴擦れひとつで痛くてストレスを感じたり、歩けない時もあります。
牛だって同じ。
言葉は交わせなくても、牛の立場に立って寄り添えば、気づくことがあります。




4つ目は人間への牛の反応です。
当時牛たちは人が近づくと逃げていまうような反応だったそうです。
指摘を受けた当初、「知らない人だから逃げるんでしょう」と思ったそうですが、
その後、牛に話しかけ撫でるなど、牛にやさしく接するようになると自然と牛との距離も縮まりました。


5つ目は牛のご飯。
「配合飼料を与えれば乳量増えるのに」と思いながら、
早刈りの草のラップサイレージなど年中草を与えるようにしました。
すると牛の病気や蹄病が減ったそうです。
(配合飼料を減らすと胃腸だけでなく、蹄の病気が減るというのは驚きました)





 

 

 

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