AKB48“モウソウ馬鹿” -8ページ目

AKB48“モウソウ馬鹿”

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イタノトモミから呼び出され、マツイレナは乃木坂学園にやってきた シマザキハルカをマジ女のてっぺんへと押し上げるために乃木坂をやるのだと、イタノは言う しかし、レナにとっては、シマザキのことなどどうでもよかった 名古屋からスカウトされてマジ女に入り、適当な高校生活を過ごしてきた ヤンキーのエリート校の生徒であるのにもかかわらず、たいして場数も踏んでいない マジ女の生徒はセンター争いにうつつをぬかし、乃木坂をはじめとするライバル校たちの動向に無頓着だった そして、気が付いたときには、乃木坂の方が強いという噂が立つようになっていたのだ レナは、このまま静かに卒業するつもりだった 別に、マジ女にたいして思い入れもなかったからだ しかし“優子”が現れてから、心の奥のモヤモヤが増大し、鮮明になってきたのだ 汚い手を使って勝ってしまったと泣くトモナガミオに、マジ女の誇りを託したいと考えた イタノとふたりで乗り込んだところで、ぼこぼこにさ
れるのが関の山 そんなことは、イタノだってわかっているに違いない しかし、先輩として残してやれるのは、母校の誇り、そして自分たちの生きざま ミオ、負けるのは決して恥ずかしいことではない 大切なのは、悔いを残さないことなんだ…












シマザキの右ストレートが、ムカイダマナツのこめかみをとらえた しかし、疲れ果てているためか、ムカイダを沈めるほどの威力はない

ジュリナは、脅威を感じている 自分の知るムカイダは、これほど強くはなかった 栄の四天王のひとりとなったと聞いてはいたが、自分が勝てるかどうかわからないシマザキにたいして、一歩も譲らず戦っている 要するに、自分もムカイダに勝てるかどうかはわからないってことではないか…

ムカイダも拳を奮うが、シマザキが倒れることはなかった 両者の顔は無惨に変形していたが、戦いに悲壮感はない むしろ楽しんでいるかのように微笑みを浮かべ、最後の力を振り絞っている 死闘に終止符を打ったのは、シマザキのクロスカウンターだった スローモーションのように崩れ落ちるムカイダ そして、シマザキも大の字に寝そべった ふたりに近づく者は誰もいない いや、誰も動くことができなかったのだ ムカイダの強さもさることながら、ベールを脱いだシマザキに優子でさへ鳥肌がたったのだった



ムカイダがシマザキに右手を差し出す 勝ったシマザキの方が、立ち上がることができない
「実は、わたし、栄をやめるの 祖母が体を悪くしたっていうのもあるんだけど、介護の勉強をしようと思って だから、どうしてもシマザキさんと戦いたかった」
そう言うと、ムカイダはジュリナを指差した
「ジュリナ、わたしのぶんまで頑張れよ シマザキさんと力を合わせて、マジ女を日本一にしてくれ 栄はわたしの誇りだ ジュリナ、てめえは栄に背中を向けてマジ女に行ったんだろ なら、マジになれよ 今のてめえじゃ、シマザキさんには勝てない」


ジュリナの膝がガクガク震えている さっき感じた脅威は、ムカイダの強さにではなく、マジにだったのだ とかくひとはマジな人間を馬鹿にしたがる しかし、それはマジな人間の恐ろしさに気付かないふりをしたいがための強がりに過ぎない ジュリナは、必死に戦うムカイダに、自分にはないマジをみた 下に見ていたムカイダが、シマザキと死闘を繰り広げている なのに、自分はどうだ マジ女のてっぺんを目指すと言いながら、結局はシマザキとたいまんさへはっていない 挙げ句の果てに、ムカイダによってシマザキは覚醒し、その実力を見せ付けたのだった



シノダがジュリナの前に立つ
「ムカイダ、よくやった ただし、今の発言は聞き捨てならねぇ ジュリナはマジだぜ 今からこいつのマジを見てもらう キザキ、ジュリナの相手をしてやってくれ 今日のメインイベントだ」

うなだれるジュリナの肩を抱き、前に押し出した
「いいダチを持ってるな しかし、惜しいぜ ムカイダみたいな野郎が、栄をやめちゃうなんてよう さあ、思いっきりやってこい キザキのマジに答えろよ」



キザキユリアが指の関節を鳴らしている
「お久しぶりです、ジュリナさん」
真ん丸な顔に、大きな瞳をらんらんと輝かせている



ジュリナは言葉を発することができなかった 勝てる気がしない ユリアはムカイダよりも確実に強い 運動能力が半端ないし、蹴りの威力は自分より上だ ジュリナの体が大きく振るえている そして、ユリアの傍らにはスダアカリがついていた ジュリナは、何を考えているのかわからないこの先輩が苦手だった スダの運動能力は、ユリアのそれを上回る ナカニシユカやタカヤナギアカネも、スダには一目おいていた そのスダが、ユリアに何かを耳打ちしている 怖い… 足が動かない… もし負けたら、わたしは誰からも相手されなくなるに違いない…
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マエダアツコから優子にメールがあった 例の認知症の母親が電車にはねられた件で訴えられていた息子に、敏腕の弁護士がついたことによって、勝てないとふんだ鉄道会社側は訴えを取り下げたというのである もちろん息子に、そのような著名な弁護士を雇う余裕などあるはずもなく、マユの父親が口をきいてくれたのだそうだ 優子に興味を持ち、周辺を調査していると、この案件にたどり着いた 敏腕弁護士をつけても裁判に負けるならば、彼に非があると言わざるおえない 介護に関しては素人なので、どちらが正しいのかはわからなかったが、結局は告訴を取り下げたのだから、息子に罪はなかったということだ これを機会に、介護について勉強しようと思うし、君たちの力になりたい もちろん、自分の仕事にもプラスになると考えているのだが…とマエダたちに話したのだそうだ 国は、介護の必要なお年寄りに、できるだけ自宅で生活していただこうと考えている 特に、認知症の患者さんを、地域の人々が協力し、見守っていこうという地域包括ケアへの取り組みを推進しているのである にもかかわらず、在宅で母親の面倒を必死で観ていた息子を、公共性の高い鉄道会社が訴えるとはどういうことなのか 優子たちは、息子のために街頭で署名活動を行い、無実を訴えていたのだった













「カノン、頼んだぞ」
中西から指名され、キモトカノンが飛び出してきた 二年生の四天王のひとりであり、栄のエース候補にもあげられている

「来いよ」
キモトがジュリナを指差した

無言で前に出るジュリナ 顔には自信が漲っている
「偉くなったんだなぁ、ノンちゃん」
唇を歪めて笑った



「てめえ、舐めてんのか」
構えるキモト





「ちょっと待ってください」
コジママコがジュリナを制した
「私にいかせてください」


「なんだ、てめえ なんで私が一年坊主とたいまんはらなきゃならねえんだ」
背中を向けるキモト



「逃げるのかよ、チビ」
コジマがキモトを挑発する
「チビじゃ相手不足だなぁ ユリアさん、勝負してもらえませんか」
コジマはキザキユリアを指差した

キザキは栄の二年生で、特攻隊長をつとめている もちろん四天王のひとりだが、栄の執行部にも名を列ねているのだ 今回の栄・博多連合軍の総大将にも任命されており、一年生のコジマがたいまんを申し込むのは無礼としか言い様がなかった


「カノン、どうする?」
キザキが前に出ようとする

「こいつは私の獲物だ」 キザキを制して前に出るキモト
「おい、ペチャパイ、かかって来いよ 二度とでかい口叩けないようにしてやる」


「ありがとうございます そのお言葉、そっくり返させて頂きます」
にっこり笑うと、コジマはキモトに向かって突進していった 呆気にとられて、一歩も動けないキモトの顔面に、コジマの空中飛び膝蹴りが入った 鼻からの夥しい出血により、勝負が決したことは誰にでもわかる マジ女史上、後世に語り継がれることとなるコジマの秒殺劇に、さすがの優子も度肝を抜かれた こいつは馬鹿か もしかわされたら、悲惨な目に合わされるに違いない 余程の自信がなけりゃ使えない攻撃だ それにしても、凄い瞬発力だったなぁ


「あらら、本当にきまっちゃった ごめんなさい、キモト先輩」
にっこり微笑んだコジマは、キザキを指差した
「先輩、お願いします」



「失礼な奴だな 私が相手してやるよ」
ムカイダマナツが指の関節を鳴らす



「あなた、誰ですか」
コジマが微笑む


「調子に乗るな」
ジュリナがコジマを制した
「てめえ、まじでマナツを知らねえのか それとも、しらばっくれてるのか どちらにしろ、無礼な態度は許せねぇ」



「はあ?先輩、何言ってるんですか(笑) マナツか真冬か知りませんか、私は劣等生ですから 頭悪いんっすよ」
そう言い放つと、コジマはムカイダを指差した
「来いよ」





「やめろ」
優子がコジマの前に立つ
「ジュリナの言う通りだ あんまり調子に乗るんじゃねぇ」




優子を睨み付けるコジマ しかし、すぐに微笑むと
「すみませんでした」
と引き下がった




「ムカイダさん、申し訳ない コジマだけを特別扱いするわけにはいかないんです たいまんは一戦限りで 誰が他にご指名は?」
有無を言わせない迫力が優子にはある


「あ、はい、それじゃシマザキさんを」
たじろぐムカイダ


「了解」
微笑んだ優子は、シマザキハルカをみた いよいよてめえの出番だな 二年の3強のひとりと聞いているのだが、どうにも要領を得ない まるで昼行灯だ





シマザキがムカイダの前に立ち
「指名してくれて、ありがとう」
と、右手を差し出す




可愛いじゃねえか…優子はシマザキの笑顔にときめいた こいつ、猫を被ってやがったな…
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タシマメルの強烈なボディに、シブヤナギサが膝から崩れ落ちた

「決まったな」
成績はキタガワリョウハやアズマリオンよりも劣ってはいるが、おそらくポテンシャルはタシマの方が上だ コジママコは、誰が自分と戦うのかをシュミレートしていた キタガワ、アズマの喧嘩には意外性がない 優等生だから、体裁を気にするのだ それに比して、タシマはその高い身体能力を生かして、予想しがたい技を繰り出す 決して美しくはないが、戦いにくいことこの上ない コジマがさらに気にしているのは、トモナガミオの存在だった 中学時代は無名で、成績もよくないのに、博多の一年をタシマとふたりで牛耳っている 博多といえば、ミヤワキサクラとコダマハルカの名前が全国に轟いていたのだが、メルミオの登場で勢力図が一変した 確かにタシマは強いが、ミヤワキやコダマを黙らせられるほどのタレントでもあるまい ってことは、トモナガが何かをもってるってこどだろう さあ、次はヤブシタシュウとトモナガが戦う コジマはヤブシタと手合わせをしたが、なかなかの使い手だ
った なんばでは“くそがき”と呼ばれ、ヤマモトサヤカやワタナベミユキも舌を巻くやんちゃぶりだそうだ コジマは、一年のてっぺんは、オカダナナでもニシノミキでもなく、ヤブシタと争うことになるだろうと考えているのだった


ベビーフェイスに笑顔を浮かべたトモナガが指の関節を鳴らしている そして、傍らにはレナが
「卑怯な真似をするなよ」
レナとトモナガが額をくっつけた


「じゃかましいわ 舐めとんか」
ヤブシタの両脇にはヤマモトとワタナベが固めている ヤマモトがレナに向かって吠えた
「われ、手出すなよ」


ヤマモトを無視して、レナとトモナガが見つめ合っている それを不思議そうに眺めているサシハラリノ どうやら、レナの行動は、台本にはなかったようだ


ヤブシタとワタナベが額をくっつけた
「ええか、しゅう 相手の動きをよう見るんやで レナさんは気にせんでいい うちとさやかがおるから大丈夫や ぼこぼこにしたり」



トモナガが手招きしている 相変わらず笑顔は絶やさない
「早くしよ」


ヤブシタが指の関節を鳴らしながらトモナガを睨み付けた
「何が可笑しいや」


トモナガの顔が急に険しくなった
「お前の顔がおかし…」


ヤブシタのローキックで、トモナガの小さな体がぶっ飛んだ
「うちは可愛い われの目は腐ってんのんか」


素早く起き上がり、構えるトモナガ
「早く家に帰って鏡を見てください」
同時にパンチを繰り出したが、トモナガのクロスカウンターがヤブシタをとらえた

ヤマモトが飛び出す すると、レナも


「レナさん、ありがとうございます 私、大丈夫ですから なんばの大将もいっしょにやっちゃいます」
トモナガがレナの手を握る



「サヤカさん、手出しは無用です 心配かけてごめんなさい」
ヤブシタがファイティングポーズをとった


距離を計りながら、チャンスをうかがうトモナガとヤブシタ 先に動いたのはヤブシタだった トモナガにタックルし、地面に押し倒した 体格にまさるヤブシタは、柔道の寝技のようにトモナガの体を固めた みるみるうちに、トモナガの顔が紅潮する




決まったか… コジマは、ヤブシタに寝業をかけられた記憶をたどっていた とそのとき



トモナガは、苦し紛れに掴んだ砂をヤブシタの顔に押し付けた それが目に入ったのか、ヤブシタがトモナガを放し、苦しんでいる 立ち上がったトモナガは、ヤブシタを蹴ろうとした しかし、うずくまるヤブシタをみて、ひざまずくと
「私の反則負けです」
と目を閉じた






優子が出てきた いきりたつヤマモトを制すると
「確かに卑怯だった しかし、砂をかけちゃいけないってルールはない ヤブシタが復活するのを待って、たいまんを続けるか」


「やります 続けさせてください」
立ち上がるヤブシタ 肩で息をし、苦しそうである




「ヤマモト、てめえはどう思う ヤブシタはやるっていう しかし、トモナガの攻撃をかわすことはできないだろう なんばの意地を通すか、兵隊の体をいとうか」
優子の鋭い視線がヤマモトを突き刺す



ヤマモトはヤブシタの肩を抱いた
「シュウ、もういい これまでだ」



優子はヤブシタを抱きしめると
「今日はてめえの負けだ たいまんは格闘技じゃねぇ、なんでもありだ この負けをこれからの人生の教訓にしろよ」



優子はトモナガを立ち上がらせた
「辛い勝ちだな しかし、勝ちは勝ちだ 一瞬の判断で、相手の人生を狂わすこともある 寝業を決められたんだから、ギブアップするっていうのもありだったんだぜ」



トモナガは唇を噛んでいる 頬には一筋の涙が 勝った方も、負けだ方も肩を震わせて泣いている コジマは、自分ならとどめをさしただろうと考えた まるで茶番だぜ… コジマは、自分に非情であれと言い聞かせた 苦い唾を飲み込みながら…