AKB48“モウソウ馬鹿” -5ページ目

AKB48“モウソウ馬鹿”

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栄のスダアカリが、優子とレナを相手に暴れたという噂はなんばの渡辺派に衝撃を与えた イチカワミオリの仲介で乃木坂攻めを見合わせていた渡辺派だったが、栄に先に動かれて辛酸を舐めさせられた格好となったのだ

「くそっ、やられた まさかマジ女に乗り込むとはなあ それにしてもスダって、どんな奴なんやろ ラッパッパの部室で暴れたらしいで」
ジョウニシケイが荒れている なんばの栄に対するライバル意識は半端ないのだ

「なんでも、運動能力は東海地方でもトップクラスらしいで ブリッジの態勢で動き回れるねんて」
ヨシダアカリが険しい表情で応える

「ほんまかあ エクソシストに出てきそうやなあ まあ、ええわ うちらは乃木坂を攻めるで」
ジョウニシの言葉に、一同が活気づく

渡辺派は、ミユキと同級生のジョウニシ、ヨシダ、コンドウリナ、タニガワアイリ、一年生のヤグラフウコ、ヨギケイラ、ヤブシタシュウ、カトウユウカ、オオタユウリらが属していた ミユキが積極的に派閥をつくったわけではなく、側近のヨシダとコンドウの人脈も結集して渡辺派ができたのである ヤマモトサヤカが近づきがたいキャラクターであるのに反して、ミユキは後輩の面倒見もよく、親しみやすい したがって、一年生の多くは渡辺派であるといっても過言ではない 忙しいミユキの代わりに、ジョウニシやヨシダが一年生の指導にあたっている なんばの一年生は、ミユキに認めてもらおうと精進し、切磋琢磨しながらお互いを高めあっているのだ











「マジ女がもめてるよ」
ご機嫌な様子でコジママコがホリミオナに話かける
「ババアは頭が固いからさあ うちらみたいに、要領よく立ち回らないと」


「そうだね 栄となんばが攻めてくるって噂だから、イクちゃん(同級生のイクタエリカ)を介して、番長グループと協定も結んだし 総大将はサクライレイカってことになったよ ババアの相手は、ババアにしてもらわないとね」
ホリがケラケラと笑う


「シライシ(マイ)は、関西連合と手を結んで全国制覇するつもりだったみたいだけど、うちらだけでじゅうぶんじゃん 実は、博多のトモナガミオ、タシマメルにも声をかけてあるんだ 博多の一年もサシハラ(リノ)のババアがうざいらしくて、クーデターを企ててるみたい ほんとババアはうざいよね」
コジマも腹を抱えてゲラゲラと笑った
「ところで、ホシノ(ミナミ)って、何者だ? なんかうちらのことを嗅ぎ回ってるみたい」


「ミナミはヤンキーやめちゃったから、関係ないだろ ババアの介護しなけりゃならないとか このババアってのは、お祖母ちゃんのことだよ」
ホリが相変わらずケラケラ笑っているのに対して、コジマの顔からは笑みが消えた


「介護…」
コジマは、そう呟いたきり、黙り込んでしまった












優子はキザキユリアを見舞った
「どおして(ワタナベ)ミユキとふたりっきりでかちこんだりしたんだ トモ(イタノトモミ)と(マツイ)レナでさへやられたんだ てめえらふたりじゃ無理に決まってるだろ」


「無理かどうかは、やってみないとわからないじゃないですか マジ女のセンター候補のジュリナよりも、ワタナベの方が強いと思いますよ」
キザキが口を歪めて笑う


「そうかい… ヤマモト(サヤカ)の話じゃ、シライシから私とのたいまんを急かされてと言うんだが、てめえは何か知ってるんじゃねえか?」
優子が優しく微笑む


「私は栄の人間ですから なんばのことなんか、知るはずないじゃないですか ワタナベに聞いた方がいいんと違いますか」
キザキが遠い目をする


「そう言うだろうと思ったよ ミユキがてめえに頼んだ理由がわかった 実は、スダアカリにぼこられてよお 喧嘩に負けるの初めてだ 皆、てめえのことを心配してる 信頼されてないと勘違いしてるんじゃねえか メールしてやれよ 皆、てめえに会いに来たいのに、我慢してるんだ 元気そうな顔を見せてやりな」
キザキの頭を撫でて、優子が席を立つ


「優子さん、すみませんでした スダちゃんが優子さんに勝てないことはわかってます 許してやってください」
キザキの顔がようやくほころんだ 脳裏に、必死に戦うスダの姿が浮かぶ


「やってみないとわからないんじゃないのか スダは強かったよ いい仲間を持ってるな 奴は、卒業しても、てめえのことを守るにちげえねえ」
優子はウイングし、病室を出ていった


キザキは考えていた ヤマモトのことを思って、ライバルである栄の私に頭を下げたワタナベのことを きっと、なんばの連中も、ワタナベのことを心配してるに違いない しかし、ときには、仲間を裏切ってでも、戦わなければならないときがある キザキには、ワタナベの気持ちがわかる気がした 奴は、ヤマモトを守ったのではない なんばを守ったのだ そして、自分は栄のプライドを胸に戦った それが、ライバルってもんだろ… キザキは携帯を取出し、スダにメールした “ありがとう”
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「みなみちゃん、ちゃんと勉強してる?」
タカハシミナミとマエダアツコが少女に駆け寄った


「あっ、こんにちは はい、頑張ってます」
少女の名はホシノミナミ 乃木坂学園の一年生で、以前は、乃木坂七福神に名を列ねていた


「お父さんは元気にしてる? 就職先が決まったらしいじゃん」
ホシノは、例の電車にはねられた認知症のお婆ちゃんの孫である


「はい、ちゃんとした会社に就職できるみたいです 裁判で逆転勝利したことが話題になって、それが縁で仕事を紹介してもらえたって言ってました」
ホシノが嬉しそうに笑う あどけない少女の顔に戻っていた ホシノは、鳴り物入りで乃木坂にスカウトされ、番長グループに入った 同級生のイクタエリカ、イコマリナとともに七福神に数えられ、将来は乃木坂の番長候補と期待されていたのだった しかし、祖母の介護に苦しむ父を助けるために番長グループと距離をおくようになる 現在は、介護の専門学校にいくために勉強しながら、ミナミたちが所属するボランティア団体の一員として活動しているのだった


「みなみちゃんに頼みたいことがあるんだけどさあ マジ女のワタナベマユを知ってる?」


「あ、はい まいやんと仲がいいひとですよね 直接話したことはありませんが、お見かけしたことはあります」


「まいやんて、シライシのことだよな 実は、お父さんに弁護士をつけてくれたのが、マユのおやじさんなんだ 隠していたわけじゃないんだけど、話す必要もないかと思って」


「はあ…」
ホシノは怪訝そうな顔をした


「別に恩着せがましい意味じゃないんだけど、マユとシライシたちがもめてるんだ それが、なんばや栄にまで飛火しちまった 知ってるかとは思うけど、シライシたちを病院送りにしたのは、なんばのワタナベミユキと栄のキザキユリアなんだ」


「はあ… まいやんが入院してるのは知ってますが、誰にやられたのかまでは知りませんでした ふたりでまいやんたちをやったんですか 凄いですねぇ」


「ワタナベもキザキも入院してるよ そして、ワタナベをやられたなんばの兵隊が乃木坂に仕返しをしようと鼻息を荒げてるんだ こうなったら、どっちが悪いとかじゃなく、憎しみの連鎖ってやつでな ただ腑に落ちないのは、マユにしても、ワタナベたちにしても、乃木坂にかちこみをかける理由が見当たらないんだ みなみちゃんさあ、ちょっとシライシに探りを入れてくれないかなぁ これ以上、マジ女と乃木坂がもめても意味ねえからさあ 真面目に勉強してるみなみちゃんにこんな面倒なことを頼むのは気かひけるんだけど、力になっちゃもらえねえか マユがこれ以上やばいことにでもなったら、俺たちの活動に支障をきたすことになる 今、マユのおやじさんに手を退かれたら、すべてが水の泡になりかねねえ」


「わかりました 実は、まいやんのグループにも、身内に要介護者がいたり、介護に興味を持ってるのが結構いるんですよ ですから、そっちの方面からこじつけて、まいやんの周囲の状況を調べてみます」


「すまないなあ みなみちゃんにはまだ紹介してなかったが、優子のおかげでマユのおやじさんと知り合うことができた しかし、マユやミユキが勝手に動いたってことが、優子を悩ませている 優子は、マジ女グループをまとめて、そこから日本中に広く同志を募ろうとしているんだ 奴は策士だが、真っ直ぐなんだよ だから、俺たちも乗れる なあ、アツコ」
ミナミの言葉に頷くマエダ その眼差しに、一点の曇りもない












栄のナカニシユカがスダアカリ、マツムラカオリを伴って優子に会いに来た 言うまでもなく、キザキが乃木坂と戦った理由についての説明を求めるためである
「ユリアは、優子さんの命令で乃木坂にかちこんだんっすか?」


ナカニシの怒気を含んだ問いかけに、優子は言葉を失った
「いや、それは…」


「ユリアはうちの兵隊っすよ どうしてマジ女のもめ事に駆り出されなきゃならないんっすか」


「落ち着いてくれよ キザキとワタナベは勝手に乃木坂に行ったんだ」


「なんっすか、それ ユリアがなんで乃木坂と戦わなきゃならないんっすか マジ女が関係してるに決まってるじゃないっすか まあ、いいっす マジ女は関係ないんっすね じゃあ、好きにやらしてもらいますよ ダースー、カオタン、行こう」
ナカニシたちが、優子に背中を向けた


「ちょっと待ってくれ」
優子がナカニシの腕を掴む
「これ以上、乃木坂と揉めるのはよくねえ」


「あんた、何言ってるんっすか うちはうちのやり方で、きっちり片つけさしてもらいますから」



「待て、ユカ」
マツイレナがナカニシを制止した
「悪いのは私なんだ 私が乃木坂に乗り込まなかったら、こんなにややこしいことにならなかったんだと思う」


「裏切り者は引っ込んでろよ 名古屋を捨てて、マジ女に魂を売ったてめえの出る幕じゃねえ ユリアは栄の宝なんだ この私が育てたんだよ それを、てめえらの好き勝手にされてたまるか」
ナカニシの頬を大粒の涙が滴り落ちる


「レナさん、自分はスダアカリ、そしてこっちがマツムラカオリといいます 自分たちは、半端もんで、適当にワルやってたんですが、ひょんなことからユリアと出会って、惚れちゃいました 栄がどうとか、てっぺんがどうとかどうでもよかったんですが、ユリアのためならやったろうじゃねえかって なあ、ツーマー それで、ユカさんのグループと組んで、頑張ってきたんです あなたに、私たちみたいなこっぱの気持ちがわかりますか ジュリナなんてどうでもよかったんですが、それでもマジ女に行かれた時にゃ落ち込みましたよ マジ女、マジ女って ああ、もう頭にきた ユカさん、うちら暴れていいっすか こいつら、みんな、やっちゃいましょうよ」
スダもマツムラも泣いている 皆、キザキが可愛くて仕方ないのだ そのキザキが、自分たちに何の相談もなく、独りで乃木坂に乗り込んだなんて考えたくない 怒りのはけ口をどこかに見つけなければならなかったのだ



優子もレナも本気で戦う気などない しかし、スダの気持ちがわかるから、戦わざるおえなかった いくら殴られても、痛みなど感じない それよりも、心に突き刺さったスダたちの叫びが、優子を内面から苛んでいた お前たちは決してこっぱなんかじゃねぇ 優子の魂の慟哭がスダたちの耳に届くことはなかった…
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優子は、何故、ワタナベミユキとキザキユリアが、ふたりっきりで乃木坂に乗り込んでいかなければならなかったのかを考えていた 問いただしてみたところで、本当のことを話すわけもあるまい しかし、理由もなく乃木坂と戦うことなどあり得ない イタノトモミとレナでさへ病院送りにされたのだ マユも独りで乗り込み、重傷を負わされた しかし、優子は、マユにも理由を聞いていないし、マユも口をつぐんだままだ 優子は悩んでいた 乃木坂は、これからのラッパッパにとって障害となるのだろうか ならば、しかるべき手をうたねばなるまい










「イコマちゃん、遊んでくんない」
コジママコが、待ち伏せしていたイコマリナに声をかけた


「はあ?」
イコマの鋭い眼光が、コジマを突き刺す


「先輩達、入院しちゃったから、寂しいでしょ」
コジマがイコマの顔を覗き込む
「イコマちゃん、遊んでよ」


「またいじめられたいのか」
イコマが口を歪めて笑う
「それ以上ブサイクになったら、お嫁にいけませんよ」


「あはははは、イコマちゃん、冗談きつい まあ、いいや イコマちゃんと遊べるなら、多少の減らず口は我慢するね さあ、遊ぼ」
コジマが構える


イコマがフットワークを使いながら、距離を測る リーチはコジマの方が長いので、懐に飛び込みたいのだ しかし、コジマにすきはみられない
「遊んで欲しいんだろ 来いよ」
挑発するイコマ


コジマが動いた それに反応してイコマが飛び込む ボディーブローがコジマをとらえたが、一瞬早くコジマのストレートがイコマのこめかみに食い込んでいた 膝から崩れ落ちるイコマ 地べたに這いつくばり、動けないイコマを蹴り続けるコジマ
「でかい口をたたく前に、もっと腕を磨いとけ あははははあはははは…」









ミユキが病院送りにされたとの噂を聞き、なんばのジョウニシケイ、ヨシダアカリ、コンドウリナら渡辺派のヤンキーたちが大挙押し寄せてきた ヤマモトサヤカに詰め寄るジョウニシたち ヤマモトはミナミの帝王と称される快物であるが、決してワンマンではない ミユキたちとの調和を保ちながら、なんばを率いてきた しかしながら、渡辺派が存在することからもわかるように、決して一枚岩とは言えない ジョウニシたちは、自分たちを頼ってもらえなかった苛立ちを、ヤマモトにぶつけようとしていた
「サヤ姉、どういうことなん ミユキちゃんと何があったん なんでキザキさんなん」
ジョウニシはヤマモトに直接ものを言える大幹部である
「このままでは、なんばが舐められる 関西連合にも示しがつかん」

「うちもわけわからんねん なんでミユキが」
狼狽えるヤマモト

「なんやねん、それ もうこれからは、うちらがミユキの傍におるわ アカリン、今から乃木坂にかちこむで もう二度とでかい口たたけんようにしたろ」
ジョウニシがヤマモトに背を向ける

「待って、ケイッチ これ以上、乃木坂ともめん方がいいって」
ヤマモトがジョウニシの腕を掴む

「放せ、われ ミユキの仇はうちらが討つんや もうあんたにはついていかん」
ヤマモトの手を振り払い、ジョウニシたちは部屋を出ていった











「うちの兵隊が乃木坂に戦争をしかけようとしてます」
途方にくれたヤマモトは、優子に相談した


「そうか… どうしてワタナベはキザキとふたりでかちこんだんだろう マユもそうだ」
優子が頭を抱える


「プライドだよ」
気付かないうちに、タカハシミナミとマエダアツコが立っている

「話は聞かせてもらった わたしたちは仲間に違いないが、一個の人間だろ 誰かを頼るより、自分を優先する マユもミユキも、自分を中心に考えた結果が、ああなったんじゃねえか 優子は仲間を信じ過ぎる 所詮、他人の寄せ集めなんだ」
そう言い放つと、ミナミは優しく微笑んだ

「なんでだよ わたしたちは仲間じゃねえか プライドなんて糞食らえ 人は独りでは生きていけねえんだ ご、ごめん 興奮しちゃった」
うつむく優子

マエダが優子の肩を抱く
「そうだよ、私達は仲間だよ きつい言い方かもしれないけど、ミユキってコは、まだ優子を仲間だと思ってないのかもしれない プライドを分かち合うためには、お互いを認め合わないと…」

ヤマモトが落ち込んだ声で話し始めた
「実は、乃木坂のシライシマイから、優子さんと早くたいまんしろって急かされてたんです 理由はわかりませんが、ミユキは自分を引き止めました」


「なるほど… ミユキはてめえを守るために乃木坂に乗り込んだんじゃねえか もし、乃木坂の求めに応じて優子と戦ったとすれば、てめえは乃木坂側についたことになる ミユキもそう考えたんだろ 優子とたいまんはるためにやって来たてめえにしてみれば、どっちだって同じだと思うかもしれねえ しかし、物事には理由が必要なんだ てめえが優子とたいまんはる理由はなんだ 優子、この一件、私たちに預けてはもらえねえか 実は、乃木坂にちょっとしたつてがあるんだ そいつに調べてもらうよ それから、てめえは、仲間の暴発をなんとしてでも押さえろ 乃木坂とこれ以上もめても、何の利もねえ」
ミナミとマエダは、思い立ったが吉日とばかりに、教室を飛び出していった









乃木坂学園には、シライシ、ハシモトナナミらを中心とするいわゆる番長グループの他に、いくつかの勢力があった ミユキたちが戦ったのは番長グループだけであり、乃木坂学園に勝ったというわけではない 一年生のホリミオナ、キタノヒナコらの勢力の鼻息が特に荒く、番長グループと対立関係にあった

「ホリちゃん、イコマをぼこってきたよ 救急車呼んどいたから、今頃は病院のベッドの上かな」
コジママコとホリミオナがハグする

「マコちゃん、ありがとう 私がリナをやったら、シライシのばばあともめるからねぇ マジ女とトラブってるときに、乃木坂が割れるのはよくないし でも、最近、リナの野郎が、ばばあの威を借ってでかい面しやがる むかつくんだよ、あのキツネ野郎」
ホリが苦虫を噛み潰したような顔をした

「キツネ狩りは任せてね ばばあたちの顔色をうかがう野郎は、みんなキツネだ あははははあははははあははははあはははは…」