AKB48“モウソウ馬鹿” -4ページ目

AKB48“モウソウ馬鹿”

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キザキユリアが退院すると聞いて、優子は病院に駆け付けた


「何しに来られたんですか もうこれ以上、わたしたちに関わらないでください」
優子の前に、ナカニシユカたちが立ちはだかる


「話を聞いてくれ ナカニシさん、わたしたちはあと半年余りで引退だ だから、キザキたちが3年になったときのマジ女グループについて話し合いたいんだ 今回の乃木坂との一件でわかったんだが、マジ女は必ずしも磐石とは言えない グループ全体でまとまって、もっと強固な組織にする必要があると思うんだ」
必死に説得する優子を、キザキは澄んだ眼差しで見つめている


「わたしには、おっしゃられてる意味が理解できません 栄は、栄だけでまとまって戦っていきますから 乃木坂でも何でもやったりますよ」
ナカニシは聞く耳を持たない


「総長、いいですか」
キザキが前に出る
「ワタナベ(ミユキ)も同じことを言ってました そして、奴は捨て石になるつもりです マジ女を、なんばを最強にするためなら、自分はどうなってもいいと… 総長、自分は優子さんたちとこの国のてっぺんに立ってみたい マジ女に栄ありということを知らしめたいんです 総長やスダちゃんがいる今のうちに力を尽くしたい それが、自分を育ててくれた総長たち栄の先輩たちに対する恩返しになると考えてます」


キザキとナカニシが無言のまま対峙する 見つめ合うふたりの視線に一点の曇りもない


「そうか…」
ナカニシが微笑む そして、優子に鋭い視線を投げ掛けた
「ユリアをお願いします ただし、わたしたち栄は、ユリアに何かあったらすぐに兵隊を動かしますから 優子さんと言えども容赦しません」


「もちろんだ それじゃ、明日、乃木坂の幹部たちと話し合いをするんで、キザキとナカニシさんにも参加して頂きたい」
優子は、再びキザキの目を見た キラキラと輝く円らな瞳には、相変わらず一点の曇りもなかった












マジ女の二年生ヨコヤマユイが可愛がってる一年にイワタカレンがいる イワタは宮城県出身で、幼い頃に東日本大震災を経験した 様々な風評被害でいわれのない差別を受け、イワタは次第にぐれていった しかし、故郷に対する愛情を失うことはなく、体力に任せてボランティアを行っている ある日、そんなイワタから、ヨコヤマにボランティアを手伝って欲しいとの働きかけがあった ヨコヤマが入部したラッパッパが、介護施設で様々なボランティアに取り組んでいることを知り、思いついたのだった いまだ復興の道筋さへ見えない被災地にも、たくさんの介護を必要とする老人がいる この夏休みに、一緒にボランティアに参加してもらえないだろうか イワタの訴えは、ヨコヤマからマエダアツコに伝えられた マエダは、優子とワタナベマユの父親に相談を持ちかけ、取り敢えずボランティアに参加することを決めた さらに、マユの父親は、マジ女の理事長に交渉して、仙台に分校を作る約束を取り付けた プレハブの仮設校舎を建設して、優子たちラッパッパの部員を先乗り部隊として転校させる算段だそうだ この構想はマスコミにも取り上げられ、マユの父親は時のひととなる 口で綺麗事ばかり言っていても政治は動かない 賛否両論はあるのだろうが、やれることからやるしかないだろ…










被災地にボランティアに行くメンバーが、優子と乃木坂のシライシマイ、ハシモトナナミとの間で決められた これは、今後の組織構造の叩き台となるべくもので、各校の注目を集めた まず、部長はマジ女のワタナベマユ、部長代理に乃木坂のシライシマイ、副部長にマジ女のヨコヤマユイと乃木坂のハシモトナナミ、幹事にマジ女のマツイジュリナ、シマザキハルカ、栄のキザキユリア、なんばのヤマモトサヤカ、乃木坂のマツムラサユリ、ニシノナナセが選ばれた 優子は、マユを部長にすることをシライシが承諾するか悩んだのだったが、さすがにシライシも大人である 大蔵省がマユの父親であり、またマユの後ろに優子がついていることも考慮して、異論を挟まなかった 別に、部長になったところで何の得もないわけだし、ちっぽけなプライドだけの問題なのだから ところが、そのプライドに拘ったのが、なんば渡辺派のヤンキーたちである 執行部の中にワタナベミユキの名前がないことにいろめきだった ヤマモトサヤカの名前があるのにどういうことか 渡辺派の幹部であるジョウニシケイは、イチカワミオリを通してヨコヤマユイに抗議した そして、ヨコヤマからの解答に渡辺派は愕然となる シライシマイがワタナベの執行部入りを拒否したというのだ ヤマモトサヤカと交わした友好条約を一方的に反古にして、理由もなく喧嘩を売ってくるような人間と行動を共にしたくない 確かに、シライシの言い分にも一理あり、優子はワタナベを人事から外さざるおえなかった しかし、それを納得できない渡辺派のヤンキーは、ラッパッパに対して反旗を翻すことを決めた 同じく執行部から外された博多のヤンキーたちやボランティアに理解を示すことができない者たちの間にも、反ラッパッパの気運が高まりつつあった こうしてワタナベミユキは反乱軍のトップへと押し上げられていき、マジ女版西南の役が勃発することとなる 博多では、サシハラリノ、オオタアイカらマジ女に距離を置こうとする二年生を中心とする勢力と、トモナガミオ、タシマメルら一年生を中心とするグループが対立する構図となった マツイレナがトモナガを可愛がっているため、彼女たちはラッパッパに吸収されることとなる 栄は、ナカニシユカ、キザキユリアを中心にまとまっているが、キタガワリョウハ、アズマリオンら一年生の動向については定かではなかった また乃木坂にも、シライシ率いる番長グループと距離を置く二年生のヤンキーたちや、ホリミオナを頭に掲げる一年生のグループが存在する こうして、渡辺派の蜂起は、各校にくすぶっていた権力闘争の火種を燃え上がらせ、優子たちの目指す世界を切り拓くための最終戦争へと突入していくのだった
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キザキユリアからなんばの仲間たちに連絡するように促されたワタナベミユキは、コンドウリナにメールした そして、ジョウニシケイ、ヨシダアカリらと共に、乃木坂学園に殴り込みをかけようとしていることを知ったのである ワタナベはヤマモトサヤカに電話し、ジョウニシたちを止めるように頼んだ しかし、逆にヤマモトから助けて欲しいと泣き付かれる始末 ワタナベは病院を抜け出して、渡辺派が宿泊しているホテルへと向かった


「ミユキ、大丈夫なん」
ヨシダがワタナベに抱きつく


「あんたら、何考えてんねん 乃木坂に殴り込みをかけるやなんて、気狂ってるんとちゃう」
きつい口調に反して、微笑むワタナベ


「ミユキかて、殴り込みかけたんやろ なんで、うちらが行ったらあかんの?」
ジョウニシが険しい顔で反論する


「なんで殴り込みかけるんや? 理由のない喧嘩は、虚しいだけや うちには理由があった ただ、それはうちの問題やから、皆には言えん うちは、サヤカも、あんたらも信頼してる しかし、これはなんばと乃木坂の戦争やない うちとシライシ(マイ)の戦争なんや ただ、うちが独りでかちこんでも、シライシには辿り着けん そやから、ダメ元で、キザキ(ユリア)さんに頼んだんや 彼女は、理由も聞かんと、協力してくれた 悔しいけど、うちよりもずっとでかい うちはな、うちらの時代では、マジ女、栄、なんば、博多が力を合わさんと、大きくなれんと思てんねん こないだのジュリナさんとのたいまんで、キザキさんの実力はだいたい見えた ほんでな、度量も見てみたいと思うたんや 何の義理もない、ましてやライバル関係にあるなんばの人間の頼みを、二つ返事で引き受けてくれたんやで キザキさん、どない言うたと思う? 自分にしか頼まれへんから、頼んだんやろ 困ってるひとを見殺しにすることはできんって言わはってん うち、惚れてもうたわ」
顔を赤らめるワタナベに、コンドウが拗ねた仕草をする ワタナベは、コンドウを、目の中に入れても痛くないくらいに可愛がっていた
「そやから、あんたらはアホなことをしたらあかん 優子さんも、これ以上もめることを望んではれへん」












マジ女の一年生は、粒ぞろいであると評判が高い 中でも、コジママコ、オカダナナ、ニシノミキのトリオは秀逸であった この学年には、博多のトモナガミオ、タシマメル、栄のキタガワリョウハ、アズマリオン、なんばのシブヤナギサ、ヤブシタシュウらがいるのだが、喧嘩の強さだけなら、コジマが一番だろうと考えられていた キモトカノンを一撃で倒した空中飛び膝蹴りはもはや伝説で、あれ以来、コジマは“キックの鬼”と呼ばれいる そんなマジ女に転校生が現れたことで、勢力図が微妙に変化してきた 少女の名はオオワダナナ 中学時代は空手のチャンピオンだったという強者で、同級生からも恐れられていた オオワダの噂は、姉妹校にも鳴り響いており、特に博多のメルミオが興味を示していた コジマは、メルミオとオオワダを戦わせる算段を練った それで、オオワダの実力が読めたら、たいまんをはるつもりだった もし、メルミオが勝つようならば、はなから自分の相手ではない キモトに空中飛び膝蹴りを使ったのは、かわされて負けたとしても言い訳がつく しかし、あれをかわせなかったということは、キモトも自分の敵ではないということだ オオワダをやった暁には、いよいよキザキとたいまんをはる キザキに勝てば、オカダもニシノもひれ伏すに違いない コジマは、早速メルミオにメールした オオワダがでかい顔をしている このままじゃ、われわれ一年生のてっぺんにオオワダが立つことになるぞ…











優子がシライシに土下座した タカハシミナミとマエダアツコは、その姿を一生忘れまいと心に誓う


「マジ女側から詫びを入れたってことでいいんだな」
シライシは優子を見下ろした


「はい、もう二度と乃木坂さんには楯突きません 申し訳ございませんでした」
もう一度土下座する優子に、マユが近づく
「まいやん、悪いのは私だ 私が馬鹿だから、皆に迷惑をかけてしまった」
マユも土下座した
「優子さんだけに土下座させるわけにはいきませんから」


「マイ、もういいだろ ところで、(ホシノ)ミナミから聞いたんだが、おたくらボランティアしてるんだって 実は、うちの祖父ちゃんも呆けててよ 母ちゃん、大変なんだ 糞親父はよ、母ちゃんばかりに自分の親の面倒みさせてよ 私は、母ちゃんにいっぱい迷惑かけてきたからよ、助けてやりてえんだ もしよかったら、私も仲間に入れてくれないか」
ハシモトナナミが、シライシの肩を抱いた
「なあ、マイ この人になら乗れると思わねえか」


「マジすか?」
優子は思わず立ち上がった


「普通ならよ、お礼参りとか言ってかちこんで来るんだろうけど、あんたは土下座をしに来た 噂に聞いたが、あんたはシノダマリコらマジ女の吹奏楽部の連中にたいまんで勝ったんだろ おそらく、私もマイも勝てないと思う なのにあんたは、戦わずに土下座した 本当に強い奴てのは戦わないんだな いつかたいまんしてもらえますか あんたが卒業するまでに、戦ってみたい 意地とかプライドとか関係なく、思い出にしたいんです 勝ち負けなんて関係なく、マジ女のてっぺんと戦ってみたい」
ハシモトが歯を見せて笑う とても爽やかな笑顔だった


「たいまんならいつでも相手させてもらうぜ それよりも、さっきの話、信用していいんだな 乃木坂さんと組めれば、鬼に金棒だ 一緒に頑張ろう 大人たちにヤンキーソウルを見せてやろうぜ」
優子とハシモト、シライシが握手を交わす




それをこっそりとうかがうコジマとホリミオナ
「馬鹿じゃね なにがヤンキーソウルだよ ぼけた年寄りの面倒みて、なにが楽しいんだよ それにしても、ホシノって奴にはむかつくぜ てめえは、坂本竜馬かつうの」


独り言をつぶやくコジマを冷ややかな目で見るホリ しかし、コジマはホリのことなど気にしていない


「どいつもこいつも馬鹿ばっかだな」
コジマの鋭い視線は、優子にのみ注がれていた
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「お久しぶりです」
ホシノミナミがシライシマイの病室を訪れた
「具合はいかがですか」


「ミナミじゃねえか たいしたことねえんだけどよお、案外居心地がいいんでな 飯は不味いんだが、ダイエットになりそうだし ところで、祖母ちゃんの具合はどうなんだ」
シライシはホシノを妹のように可愛がっていた


「電車にひかれて死んじゃいました」
微笑むホシノ
「実は…」
ボランティアでタカハシミナミとマエダアツコが祖母の介護を手伝ってくれていたこと 適切な介護を怠ったとして、父親が鉄道会社に訴えられたこと ワタナベマユの父親が敏腕弁護士をつけてくれたおかげで勝訴したこと タカハシ、マエダと共に介護のボランティアに携わり、介護士になるために勉強していることなどをシライシに話した


シライシはホシノの頬を伝わる涙を指で拭いながら
「てめえの言いたいことはわかった マジ女とのことだな」
と鋭い眼光を向けた


ホシノはドキッとしたが、後戻りはできない 大恩のあるタカハシたちのために、シライシを説き伏せるつもりであった
「ミナミさん、マエダさん、それから優子さんってひとと話し合ってもらえませんか (ハシモト)ナナミさんも、マジ女とここまでこじれた原因がわからないと言ってました マイさんは、どうしてマジ女と戦うんですか ミナミさんたちは、私が乃木坂のヤンキーだと知ってても助けてくれたんですよ」


「てめえ、誰に口きいてんだ」
端正なシライシの顔が、鬼のような形相へと変わっていった


「気が済むまで、私を殴ってください その覚悟でここに来ました」
小便をちびりそうなくらいにびびっているホシノであったが、シライシを睨み付けた


先に目を逸らすシライシ
「ミナミ、しばらく見ねえうちに度胸ついたな わかったよ 可愛いミナミちやんの頼みだ その代わり、マジ女側から詫びを入れてもらうぞ」


「ありがとうございます」
ホシノがシライシに抱きついた


「いてえよ 骨にひびか入ってるんだぜ」
シライシは内心ホッとしていた 自分でも、マジ女と戦う意味がわからなくなっていたのだ ワタナベマユはぼこったし、もうマジ女に用はないはずだった しかし、コジママコが… そうだ、あの野郎…













「あははは… こだわる野郎だな」
優子は腹を抱えて笑った


「じゃあ、オッケーなんだな」
ミナミが優子の顔を覗きこむ


「いくらでも頭くらい下げるぜ」
優子がミナミをはぐした 「ありがとよ これで、落ち着いて仕事ができるよ 上手くいけば、乃木坂も引き込める あっ、そうだ レナを乃木坂に送り込もう あいつは可愛い女の子が好きだから」
優子がひとりでうけている


「優子と出会えて、よかったよ なんか周りが皆、小さく思えてきた」
マエダが優子を見つめている 相変わらず、その瞳に一点の曇りもない


「よせよ、照れるじゃねえか」
優子の屈託のない笑顔に、癒されるミナミとマエダであった 上に立つ者は、周囲を癒す存在でなければならない












「ヤマモト、乃木坂と手打つからよお てめえんとこの兵隊、きっちり抑えろよ もし暴れたら、てめえんとこは孤立するぞ」


優子の迫力にたじろぐヤマモトサヤカ 時間を巻き戻せるなら、どこまで巻き戻せばいいのか
「自信ないです…」
力なく応えた


「ワタナベ(ミユキ)に頼めよ プライドとかそんな問題じゃねえんだよ」
優子が背中を向ける
「信じてるぜ」




「将棋の駒だね…」
優子の背中に毒づくコジママコ
「てめえは、自分が王さんのつもりなんだろ、ばーか 偉いのは、王さんじゃなくて、棋士なんだよ あははははあはははは…」