“二人のセンター”
「あれあれ、マエダさん、どうしたの、顔に痣なんかつくっちゃって」
大歌舞伎がマエダの隣に腰掛けた
「本当はお強いんじゃないんですか?」
「おい、うちのパシリにちょっかいかけるんじゃねえよ」
2人をチームホルモンがとり囲んだ
「こいつ、金を持って来なかったんでお仕置きしてやったんだ それにしても、こんなへたれはみたことないぜ まったく抵抗しやがらねえ」
「てめえら誰に口聞いてんだ あねき、やっちまいましょうか」
小歌舞伎がヲタの胸ぐらをつかんだ
「よしな こんな奴らと喧嘩したって、疲れ損になるだけだよ 悪いけど、わたしはマエダさんとお話がしたいだけだから ねえ、マエダさん、いったい何を企んでるんですか」
「別に… わたしはこの学校に喧嘩するために転校してきたわけじゃないですから」
「まあ、そのうち尻尾を出すでしょう わたしたちの儀式は、ホルモン野郎たちとは比べものにならないですよ 楽しみにしておいてくださいね」
歌舞伎シスターズが立ち去った
「なあ、てめえ、いったい何もんなんだ 歌舞伎シスターズに警戒されるって、ありえねーぞ あいつらには、ラッパッパでさへ簡単に手出しできねえ」
「ラッパッパって、なんなんですか?」
「馬鹿野郎、声がでけえよ ラッパッパの連中に聞こえてみろ ただじゃ済まねえだろ それじゃあ、教えてやるからよお、静かに聞いてろよ まず、ラッパッパっていうのはよお、吹奏楽部のことだ 部長はユウコさんって言って、おそらく関東、いや日本で一番強いヤンキーだな それから副部長が学ランっていって、自分のことを男だと信じてやがる かなりのイケメンで、うちのウナギがご執心だ(笑) それから、ゲキカラ こいつがかなり危ない奴で、暴力を純粋に楽しんでる 実は、こいつとユウコさんは留年してきたんだ ユウコさんは病気で、ゲキカラは院にぶちこまれていて、出席日数不足ってわけだ あと、京都の学校から転校してきたオタベっていうのと、二年生までは真面目な方だった尺っていうのがいるぞ 去年の副部長だったサドさんや、四天王だったトリゴヤさん、ブラックさんははんぱなく強かったから、今年は、ラッパッパの存続が危ぶまれてたんだが、ユウコさんと四天王だったゲキカラが留年したんで、まあ無敵には変わりねえだろうなあ さっきの歌舞伎シスターズは、ユウコさんたちの留年を知って、ラッパッパ入りを断念したらしい 入っても、パシリ格だからなあ(笑)」
「みなみってコはいませんか?」
「さあ、聞いたことねえなあ 確か、尺もみなみだぜ おーっと、個人情報を漏らしちまったぜ 今のは聞かなかったことにしてくれ」
「二年がなんの用だ」
入り口付近で喧嘩が始まったようだ
「うるせー、てめえ、このセンター様に楯突こって言うのかい」
オレンジ色のカーディガンをはおった凛々しい雰囲気の女の子が暴れている
「知るかあ 二年に舐められて、黙ってられねえんだよお」
「仕方ないっすねえ センター、皆殺しってことで、問題ないっすよねえ」
もう一人、グレーのフードを被った小柄な可愛らしい女の子が現れた
あっという間に数名が地べたに這いつくばらされ、助けに入ったチームホルモンのウナギとアキチャも劣勢のようである
「メガネ、お勉強はこれまでだ 俺もいってくるぜ あっ、それから、あのオレンジ色の奴が二年生のセンターだ 覚えとけ」
そう言い残すと、ヲタはセンターに飛び掛かっていった 大人と子供とはこのような状態をさすに違いない ヲタのパンチがセンターに当たることは一度もなかった 血塗れのチームホルモンたちを執拗に蹴りまくるセンター その視線はずっとマエダに向けられている
「来いよ…」


