真っ暗な闇の中に響き渡る坂本の声で、自分がまだ生きていることを実感した いったいどれくらいの時間、こうしてじっとしているのだろうか 時々、本当に死んでしまったかのような錯覚に陥ることがある この実の姉妹よりも強い絆で結ばれた二人でさへも、お互いの気配が感じられなくなっていた 極度の緊張と疲労から、すべての感覚が麻痺してしまったのかもしれない
小歌舞伎
「姉貴、あたしを殺してもいいよ」
大歌舞伎
「どうして、そんなことを言うの」
小歌舞伎
「いや、どうせ死ぬんなら、姉貴に殺られたいって思ったから」
大歌舞伎
「あれあれ、弱気だね あたしはお前に殺られるわけにはいかない お前と生きるよ あたしたちは、歌舞伎シスターズだ 最期までね」
小歌舞伎
「ごめん、姉貴 それにしても、ラッパッパから死者が出るなんて 仲間割れかなぁ いったい、誰と誰が組んでるんだろう?」
大歌舞伎
「わからない ただ、所詮は烏合の衆 あたしたちのような絆はないでしょ」
歌舞伎シスターズの話を盗み聞きする影が… 右手には、金属バットを握りしめているが、二人が相手では勝てそうにない 息を潜めて、闇に紛れている
東の空が明らんできた バトルロワイヤル2日目の朝がやってきた
ユウコ
「ここを出るぞ」
サド
「危険では?」
ユウコ
「銃声を聞いただろ 誰かが、機関銃を手に入れやがった もし、撃ち込まれたらどうする」
サドは、珍しく浮き足だっているユウコに、違和感を感じていた 自分は、死ぬのは怖くないと信じている しかしユウコは、死を恐れているのかもしれない ユウコと一緒にいて、負けることなど考えたことがなかった 喧嘩が強いということと、死なないってことは、イコールではないのだ…
サド
「わかりました ユウコさん、わたしたちを信用してください ゲキカラ、ブラック、そして、ユウコさんとわたし 誰にも負けるはずがありません」
ユウコ
「わかってるよ(笑)」
学ラン
「いったい、どこに隠れてやがるんだ」
チョウコク
「わたしたちが思っているよりも、皆、バラバラでいるのかもしれない」
学ラン
「歌舞伎シスターズ ユウコとサド チームホルモン これは、間違いないだろう」
チョウコク
「それから、マエダとミナミもな(笑)」
学ラン
「うっせーよ で、あとは誰だ ゲキカラ、ブラック、シブヤとダンスも一緒だろ 案外、ラッパッパも、バラバラかもな えーっと、チハル、わからなくなってきた 他に誰がいた…」
ダンス
「シブヤさん、マユゲが消えちゃいました」
シブヤ
「そんなもん、また、書きゃいいだろ」
ダンス
「その眉毛じゃないっす 前田亜美のことですよ」
シブヤ
「そんなのいたっけ…」
ダンス
「シブヤさん、うちらだけで、ばっくれませんか? どうも、山椒姉妹が苦手なんっす なんか、わたしのことを目の敵にしてるっていうか それに、チハルも何を考えてるかわからないし…」
シブヤ
「山椒姉妹はあたしの舎弟だ そうだな、マユゲとチハルってのは、殺っちゃってもいいかもな お前、殺ってこい」
ダンス
「ちょっ、ちょっと待ってくださいよ 無理っす 山椒姉妹に殺らしてくださいよ」
シブヤ
「てめえ、役に立たねえ奴だな ぶっ殺すぞ」
ダンス
「すっ、すいません パラパラ踊りましょうか?」
山椒姉妹は常にダンスの動きを見張っている バトルロワイヤルでは、近くにいる者に気を付けねばならない
ミャオ
「ダンスの野郎、ぶっ殺す」
ラブタン
「シブヤさんと引き離さないとね」
ミャオ
「チハルとマユゲか…」
ラブタン
「奴らも、ぶっ殺しちゃいましょうか で、シブヤさんと三人で、ラッパッパもマエダも殺っちゃいましょう(笑)」
シブヤ
「てめえら、チハルとマユゲを連れて来い」
ミャオ
「了解です」
ラブタン
「いよいよですね」
シブヤ
「ああ、いよいよだ」
シブヤたちは、山椒姉妹のあじとである化学実験室を拠点にしていた 彼女たちの武器や使えそうな薬品がたくさん揃っているからだ 山椒姉妹は、チハルたちを探すべく、隣の美術室にやってきた
ミャオ
「おかしいなあ どこに隠れやがった」
ラブタン「奥の倉庫に行ってみよう」
ガチャン
ドアの閉まる音が…
ラブタン
「何か臭くない?」
ミャオ
「何の臭いだ やっべぇ、出よう」
ラブタン
「ドアが開かないよう」
ミャオ
「何やってんだ そんなわけねえだろう」
バァァァン、ドカァァァン
校内に、爆発音が鳴り響いた
坂本
「おはようございます ただいま、山椒姉妹のおふたりが亡くなられたみたいです 爆発音、聞こえましたか 遺体の損傷が激しくて、はっきりとは確認できませんでしたが、おそらく、おふたりに間違いありません 残すところ、あと2日 ちょっとペースが遅いような気がします それでは、ハッスルハッスル」
ヲタ
「爆弾かよ 何でもありだな」
アキチャ
「部屋に籠もるのも、危ねえな」
バンジー
「これで、死んだのが、尺、トリゴヤ、ミャオ、ラブタンの4人かぁ」
ウナギ
「まだまだ先はなげえなぁ」
ムクチ
( ̄~ ̄;)
センター
「あたしは卑怯なのは好きじゃない 臆病なのもな」
ネズミ
「どうする?」
センター
「ここで、お別れだ しかし、お前とは、最後までダチだからな 全員、殺ってくる そして、ふたりで、坂本と戦おう」
センターの背中を見つめるネズミ
「ダチ、ダチって、うるさいっす あっしは、最期まで、こんなゲームに付き合うつもりなんてないっす」
まだ梅雨の季節だというのに、激しい陽射しが照りつけ、室内はかなり蒸し暑くなってきた
ユウコ
「トリゴヤの死体が腐り始める前に、ここを出るぞ」
サド
「埋葬させてください」
ゲキカラ
「あははは、トリゴヤの奴、ピースしてやがる こっちの手はオッケーか」
ブラック
「ユウコさん、急ぎましょう」
ユウコ
「よし、二手に別れるぞ まずは歌舞伎シスターズから血祭りだ 三時に一階のトイレで落ち合おう」
ブラック
「サド、トリゴヤも連れていこう」
ユウコ
「ゲキカラ、行くぞ ブラック、あとは頼んだぞ」
サド
「トリゴヤの奴、ピースだなんて(笑)」
ブラック
「最期まで、馬鹿な奴だ(笑) サド、急ごう」
サド
「そうだな…」
ヲタ
「暑いなぁ 生ビールに、ホルモン食いてぇ」
オタベ
「あんたら、こんなとこにおったんか うちは、ずっと独りで、あんたらを探してたんや 他の連中は信用ならんからなぁ」
アキチャ
「お前がいっしょなら心づええ 噂じゃ、マエダと互角の腕前らしいなぁ」
オタベ
「かいかぶりなや(笑) そんなん噂や うちは、運動オンチや」
ウナギ
「腹減ったなぁ」
バンジー
「死にそうだぜ」
オタベ
「ホルモンって、内臓やろ 人間の内臓って、食べられるのん?」
バンジー
「知らねえよ」
オタベ
「ムクチはん、美味しそうやなぁ(笑)」
ヲタ
「変な冗談言うな、気持ちわりい…」
坂本
「皆さん、二階美術室付近にプレゼントを用意してます きっと、役に立ちますよ ただし、爆弾には気を付けてくださいね」
ユウコ
「よし、行こう もしかしたら、誰かに巡り会えるかもな」
ゲキカラ「あはははは、ぶっ殺してやる」
ユウコ
「ほーら、誰か来やがった 歌舞伎シスターズだ」
大歌舞伎
「誰もいなさそうだねぇ プレゼントとやらに興味がないのかな」
小歌舞伎
「爆発があったの、この辺じゃない 姉貴、罠じゃないよねぇ」
ユウコ
「罠じゃねえよ ただ、死んでもらうがな」
大歌舞伎
「簡単には死ねないですね」
ゲキカラ
「怒ってる? あはははは」
小歌舞伎
「姉貴、あたし、ゲキカラとやるの」
大歌舞伎
「当然でしょっ 死ぬ気でやるんだよ」
ユウコ
「ぶっ殺してやる」
ブラック
「サド、どこに行くんだ」
サド
「職員室だ わたしたちのプロファイルがあるはずだ」
ブラック
「いったい何を」
サド
「ちょっと気になることがあってな」
生徒のデータが保存されている戸棚や机の引き出しの中を必死で探索するサド
「あった 桜組プロファイル 大島優子Yuko Ohsima 特技 弓道… やっぱり おい、ブラック、うっ…」
ブラックの手に、血の滴るサバイバルナイフが
「余計なことを… やっぱり気付いたんだね」
サド
「なんで、トリゴヤを」
ブラック
「お前を狙ったんだよ ところが、トリゴヤの野郎、ユウコさんに気付きやがった」
サド
「なんだと… 何故、わたしを」
ブラック
「鬱陶しいんだよ わかったような面ばかりしやがって」
サド
「ぶっ殺してやる」
ブラック
「その体で何ができる 早く止血しないと、出血多量で死ぬよ その必要はないか(笑) 死ねぇぇ」
その時、ブラックの頭蓋骨を、金属バットが打ち砕いた 崩れ落ちるブラック
サド
「シブヤ…」


