サドは、ユウコの言動に不信感を抱いていた まず、二手に別れようと言って、ブラックとトリゴヤを連れていった てっきり、最強のゲキカラを自分に与えてくれたのだと感謝した しかし、夜中に、校舎の探索に出る際には、ブラックとトリゴヤを連れていくように指示された その時には、何も感じなかった トリゴヤが射たれてからのユウコの言動が癇に触ったのだ まず、トリゴヤの亡骸を見ても、涙ひとつ流さない それから、トリゴヤのことを“腐る”と表現した 何かおかしい… わたしの崇拝してきたユウコさんではない… そして、トリゴヤのピースした右手と、オッケーした左手 もしかしたら、ピースじゃなくて“Y” オッケーじゃなくて“O”なんじゃないか
“Yuko Oshima”
いわゆるダイイングメッセージ 息を引き取る直前に、わたしに何かを伝えようとしたのはわかっていた 言葉にすれば、ブラックに気付かれる ただ、狙われていたのが自分だなんて…
シブヤ
「実は、あたしも、プロファイルとやらを見に来たんだ ダンスが、オタベのことが気になるって言うから」
サド
「どうして、助けた」
シブヤ
「さあ…気が付いたら、振り下ろしてた」
サド
「ありがとう」
シブヤ
「あたしとトリゴヤは、中坊ん時からダチだったんだ いっしょに、マジジョに入って、ラッパッパにスカウトされて ところが、トリゴヤは、ユウコに惹かれていきやがった できてたんだよ ユウコは、両刀使いだ サド、てめえは大丈夫か(笑)」
サド
「こんな時に、冗談はやめろ」
シブヤ
「あながち冗談でもねえ 実は、トリゴヤに打ち明けられたんだ ユウコは、マエダともできてたらしいんだ それで、相手してもらえねぇって」
サド
「何…」
シブヤ
「なんだ、その面は(笑) さすがのサドさんも、そっちの方は、からっきしみたいだなぁ あたしは、思うんだ ユウコは、マエダと合流する気なんじゃないかってな」
サド
「ゲキカラが危ない…」
ドアの陰にネズミが
「ほーっ、ユウコさんがねぇ… いよいよクライマックス あっしは、戦わずに勝つつもりっす 脳ミソの種類が違うんっすよねぇ…」
勝負はついた ボロボロになった歌舞伎シスターズが転がっている
ユウコ
「そろそろ終わらせようか」
ウォーレットチェーンを大歌舞伎の首に巻き付け、思い切り締めあげた 赤黒く変色する顔面 やがて頸骨の折れる音が響いた
その凄まじい様を見て、ゲキカラが嘔吐した
「姉貴…」
小歌舞伎が舌を噛み切ったようだ 口から血が滴り落ちている
ユウコ
「あははは、江戸時代でもあるまいし 舌を噛んで死ねるかよ」
小歌舞伎も同じように、チェーンで締めあげた
ゲキカラは、ユウコのことが恐ろしくなった 物心がついてから初めて恐怖を感じた
ユウコ
「どうしたんだ、その面は 化け物に、化け物を見たっていうような顔をされたくねぇなぁ(笑) 待ちあがれ」
逃げ出すゲキカラに飛び掛かり、チェーンを首に巻き付ける
ユウコ
「あたしはレディだよ さすがに握力がなくなってきたぜ あはははあははは」
ゲキカラが動かなくなった
ユウコ
「あばよ、キチガイ(笑)」
満面の笑みを浮かべ、ユウコがプレゼントを取りにいった
ユウコ
「ヤッホー、チャカだぜ これで、頂きだ 待ってろよ、敦子…」
ゲキカラ、そして歌舞伎シスターズの亡骸に黙祷するサドとシブヤ
シブヤ
「ゲキカラ…許せねえ」
サド
「それにしても、恐ろしいひとだ ゲキカラを素手で殺ったのか」
シブヤ
「プレゼントも、ユウコが持っていったんだろう やっかいだな」
サド
「そういやシブヤ、オタベがどうしたって?」
シブヤ
「ああ… ダンスが言うには、西の方では、殺人鬼ってあだ名で呼ばれてたそうだ どっかで見た面だなあって思ってたらしくて それで、確認しにきたってわけ ちゃんと“殺人鬼”って記してあった(笑)」
サド
「人を殺したのか?」
シブヤ
「何でも、強姦魔を二人、サバイバルナイフで刺し殺したらしい もちろん、未成年だし、正当防衛で、お咎めなしだが ただ、ダンスが聞いた話では、人を殺したいから、強姦事件のよくある場所を教えてくれ、って聞いて回ってたらしい とにかく、暴れ出すと手がつけられねえらしくて、西の方では無敵と恐れられていたらしい」
「桜組の諸君、殺し合ってますか(笑) ただ今、ブラックさん、歌舞伎シスターズのおふたり、ゲキカラさんの死亡が確認されました 慎んでお悔やみ申し上げます」
学ラン
「歌舞伎シスターズに、ブラック、ゲキカラまで」
チョウコク
「皆、我慢の限界が、近づいているんだろう」
学ラン
「確かに 俺たちも、いつまでもつか…」
センター
「なら、楽にしてやろうか?」
学ラン
「独りで来るとはいい度胸だな ネズミちゃんにふられたのかい(笑)」
センター
「くだらねえことをさえずってないで、早く勝負つけようぜ チョウコクさんもいっしょでかまわないよ」
チョウコク
「そうか(笑) じゃあ、遠慮なくいくぞ」
七時前だというのに、外はまだ明るい ミナミとマエダは、できるだけ動かないようにして、息を潜めている ミナミには、自信があった 生き残るのは、自分たちだという ただ、無駄な労力は可能な限り使いたくはなかった ミナミには夢があった マエダとともに介護士になって、いつになるかは想像もつかないが、二人で施設を運営したいと思っていた マエダとなら何でもできる ミナミにとって、マエダは永遠のパートナーに他ならなかった…
マエダ
「ミナミ、お腹減ったね いつまで、こんなことやってるんだろ」
ミナミ
「さあ(笑) そろそろ勝負つけにいこうか?」
マエダ
「まだ半分くらい残ってるよ もうちょっと我慢しよ」
チョウコク
「強いな、センター 早く殺せ やらなければ、お前がやられるぞ 卑怯とか関係ない 息の根を止めればいいんだ」
「すまん、チョウコク」
センターは、ヘッドロックし、いっきにひねりあげた
学ランは、センターの強さに恐れをなし、どこかに消えてしまった チョウコクが動かなくなった センターは、着ていたカーディガンをチョウコクの顔に掛けてやった 怒りにふるえるセンター 生きることは、死ぬことよりも、辛いということを思い知った
あまりの恐ろしさに嘔吐する学ラン 人間は、あんなにも簡単に壊れるんだ 次は、自分かもしれない それにしても、センターは強過ぎる チョウコクが、両足の骨を砕かれるまでに、何分もかからなかった こうなったら、どこかで武器を手に入れるしかない
ヲタ
「尺、トリゴヤ、ミャオ、ラブタン、歌舞伎シスターズ、ブラック、ゲキカラ…」
アキチャ
「あと、生き残ってるのは誰だ?」
オタベ
「バトルロイヤルでは、一番気ぃつけないかんのは、味方なんや きっと、ラッパッパは、仲間割れ始めたんやで」
ヲタ
「それにしても、オタベ このホルモン、どこで手に入れたんだ 変わった味だが、なかなかいけるじゃねえか(笑)」
オタベ
「秘密や(笑) 食べ物の在処を教えたら、あんたら、うちを仲間外れにするやろ」
バンジー
「ムクチは食わねえのか?」
ムクチ
( ̄~ ̄;)
アキチャ
「変な野郎だ(笑)」
ムクチの怒りに充ちた視線を、オタベは気付かないふりをしてやり過ごした…