東海地方選抜はキザキユリア、スダアカリ、フルハタナオを残すだけとなった 一方、マジ女側は、オタベ、ネズミ、センター、サヤネエ、パル、マイヤン、ナナミンが残っている ただし、スダとナカニシユカが盾となって戦ったので、キザキの体力は温存されているのに対して、マジ女側は全員ボロボロだった もし、キザキを倒すことができなかったら、マジ女が負けたことになる ネズミは、センターの体力に賭けるしかないと考えた まず、マジ女の方が人数が多いので、たいまんで決着をつけようと提案する そして、センターを最後にまわして、残りのメンバーでスダとフルハタを倒す どれくらいセンターの体力が回復するかわからないが、スダ、フルハタの力を考慮すると、乱闘ではキザキを倒すことができない 体力が少しでも戻れば、センターに勝機はじゅうぶんある ネズミは、オタベに相談した
「そやなあ… しかし、サヤネエやマイヤンが承諾するやろか なんでセンターを立てなあかんねやってならんやろか」
珍しく優柔不断なオタベ
「あっしは、つの字がキャスティングボードを握りたいから、言ってるんじゃないっす ただ、がむしゃらに殴り合っても、キザキは落とせないっすよ」
ネズミが天を仰ぐ
「ユイさん、うちもネズミの考えに賛成や」
サヤネエが割り込んできた
「たいまんやったら、センターが一番強いやろ それにはったりもきく 有名人やからなあ うちが、マイヤンらに話すわ ネズミが言うたら、怪しまれる」
返す言葉がないネズミ
「頼むっす…」
「わかった ほな、向こうさんに言うてくるわ」
オタベが、キザキらに話をつけに行った
「うちらはマジ女や 卑怯な真似はできん ここからは、たいまんで決着つけましょ」
オタベが余裕の素振りを見せた
「別に乱闘でもいいですよ 早く決着つけましょうよ」
スダがしゃしゃり出た キザキは、目を閉じて思案している
「袋にされてもいいんやな マジ女は、たいまんを売りにしてる そやのに、全国統一をかけた最後の大一番で、たった3人を袋にしたっちゅうのはカッコ悪い そっちが3人やったら、2人倒した方が勝ちでもいいんやで」
「舐めんなよ 3人でも、簡単に袋になんかされるか」
スダがあかんべをした
「いや、たいまんでいいだろ」
キザキが微笑む
「で、組み合わせは」
「そちらのブサイクなお姉さん、私とたいまんしよ」
マイヤンがスダを指差した
「マイヤンは捨て石になる覚悟なんや」
サヤネエがネズミに耳打ちする
「あの野郎もかなりできる 今のうちらの体力では、おそらく勝てない」
「ブサイクって、むかつくう よし、相手してやる かかってこい」
スダが構えた 普段はかなりの切れ者だったが、傷だらけでも美しいマイヤンの顔に嫉妬したのかも知れない
マイヤンはスダとの距離をはかる カウンターをくらっては、時間稼ぎができない
スダが飛び込んできた 凄い瞬発力だ マイヤンは、防戦一方となったが、カウンターを食らうことはない 今、自分が何をすべきか 例え、カッコ悪くてもいいじゃないか
「てめえ、たいまんなのに逃げてやがるな 喧嘩は顔でするんじゃねえ」
スダが顔を歪めて笑い、マイヤンを挑発する
マイヤンは自分に言い聞かせる 喧嘩に負けて、勝負に勝つ マジ女は、永遠なんだ
スダの連打がマイヤンをとらえる その姿をみて、相棒のナナミンの頬を大粒の涙が 基本的に、たいまんにTKOはない マイヤンが戦えなくなるまで、スダの攻撃は続く 地べたに崩れ落ちるマイヤンを、スダが容赦なく蹴る 美人のマイヤンにブサイク呼ばわりされたスダは、残虐性を増しているのだろう
「やめろ、スダちゃん 相手はダウンしてる 休ませてやろう」
「甘いぞ、ユリア 息を吹き返したら、やられるかもしれない」
「いつものスダちゃんらしくないよ 冷静になろ たかが、ヤンキーの喧嘩 死んじゃったら、どうするの」
「マイ!」
ナナミンが抱き起こす
「まだまだやれるぜ」
笑うマイヤン 口の中から夥しい血液がたれ落ちた
「もうやめよし よう頑張ったなあ」
オタベの頬を涙が伝う
悲壮なマイヤンの戦いぶりに、キザキはすべてを察した マジ女は、時間稼ぎをしている おそらく、センターの体力が戻るのを待っているのだ なら、自分はラストでいい センターに時間をやろう
「ナオ、決めちゃって」
フルハタに微笑みかけるキザキ
作戦がばれた…敵に塩を送るのか…オタベは、無意識のうちにキザキに黙礼していた それを、見て見ぬ振りをするキザキ 負けるかもしれない…喧嘩が強いだけではてっぺんには立てない…ユウコさん、キザキユリアをマジ女に引っ張ってもよろしいなあ…
「パルでええか」
オタベが、サヤネエに聞く
無言でうなずくサヤネエ 悔しさで、色が変わるくらいに唇を噛み締める
「ええか、パル うちは、あんたを認めてる ポンコツいうあだ名は、ここに捨てて帰るんや」
オタベがパルを見つめる ガタガタと震えるパルの足をそっと撫でた
「勝つか負けるかは時の運や しかし、気持ちで負けたらいかんえ」
「ユウコさん…」
オタベがユウコに見えた ネズミの頬に大粒の涙が
“マジ女はナンバーワンでなけりゃならねえ 誰がてっぺんに立つかなんて、どうでもいいことなんだ”
「ユウコさん…」