「鳥小屋って何よ わたしの部屋が汚いからって、ひどすぎる」
ハルナが膨れっ面をした
「優子、いったいどうしたんだ さっきからわけのわからないことばかり」
毛皮の少女、マリコが眉間に皺を寄せた
おかしい… わたしは生き返ったわけじゃないのか そういや、サドもトリゴヤも若返ったような…
「てめえは篠田麻里子だよな」
優子はサドを指差した
「優子ちゃん、マリコ様にむかって、なんて口のきき方するの」
ハルナがマリコに向けられた人差し指を制した
「いいんだ、ニャロ 優子は、矢場久根の野郎たちに何かをされたらしい 怪我はなさそうだが、薬でも飲まされたんだろ」
マリコが優子の頭を愛しそうに撫でた
ピンクのスカジャン、トモは相変わらず爪をいじっており、白黒のスカジャン、ユキもずっと床を見つめたままだ
「ニャロ、優子を頼む レナ、見回りに行くぞ」
マリコは、黒のスカジャン、レナを伴って部室を出ていった
「なあ、ハルナ ここは、ラッパッパの部室だよな」
優子は、トリゴヤ、いやハルナに話しかけた
「ハルナって… なんでニャンニャンじゃないの ねえ、優子ちゃん、いったいどうしたっていうの それに、ラッパッパって何よ」
ハルナが泣き出した
「らりってんじゃね」
トモがクスクス笑いだす
「ひどい 優子ちゃんはシンナーなんて吸わないし」
ハルナがトモを睨む
「なんだ、てめえ、喧嘩売ってんのか」
トモが立ち上がった
ユキも立ち上がる 優子は、ひそかに臨戦態勢にはいった
「おしっこ」
ユキが部室を出ていった
「センターに選ばれたからって、調子こいてんじゃねえよ」
椅子を蹴り飛ばして、トモも部室を出ていった
どうやら、ハルナとトモは仲があまりよくなさそうだ…優子は“もうひとつのラッパッパ”の観察をはじめていた わたしは確かに死んだ そして、生き返った しかし、自分が作り上げた馬路須加女子学園ラッパッパに戻ってきたわけではなく、別の世界の馬路須加女子学園に紛れこんだってことなのか
「ハルナ、いやニャンニャン、落ち着いて聞いてくれ 信じられないとは思うが、わたしは違う世界から来たんだ おそらく、この世界の優子の体に乗り移ったんだと思う だから、わたしはニャンニャンのことを知ってる まあ、落ち着け!って、わたしは狂ってなんかいないから 実は、向こうの世界では、ニャンニャンはトリゴヤと呼ばれてて、他人のトラウマをコントロールすることができる怪物だったんだ 落ち着け!って、怪物は言い過ぎた まあ、そういう術を持ってたってことだ で、マリコはサドと呼ばれ、ラッパッパの副部長、トモはシブヤ、ユキはブラック、レナはゲキカラと呼ばれ、トリゴヤと合わせて四天王だったわけ そして、わたしがラッパッパの部長で、向こうの世界では最強だった ラッパッパってのは吹奏楽部のことで、選ばれた者しか入れないんだ」
ぽかーんと口をあけ、ハルナが優子を見つめている
「まあ、信じろって言っても無理だろうな 実は、わたしは死んだんだ そして、生き返った 気がつけば、矢場久根のグランドに倒れてて、捕まっちゃってたわけ この世界の優子はどうかしらないが、向こうではわたしは最強だったからなぁ… まあ、いいや ところで、センターってなんだ?」


