AKB48“モウソウ馬鹿” -13ページ目

AKB48“モウソウ馬鹿”

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「介護士さんって、凄いんだぜ 私より小さいおばさんがさあ、でぶっちょの患者さんをベッドから車椅子に移乗させるんだ」

1週間で退院することができたミナミは、アツコから優子を紹介された 別の世界からワープしてきたというアツコの説明に、最初は目を白黒させたミナミだったが、信じざるおえない 実際、ほとんど付き合いのなかったオオシマユウコに助けられたのだから ミナミは、優子に、介護士になる夢を話した 幼い頃に両親を亡くし、祖母に育てられたミナミであったが、その祖母が病に倒れ、介護を必要とする身になったのだそうだ ミナミは、必死になって祖母の面倒をみたが、体力にものをいわせたところでどうなるものでもなかった 途方に暮れ、生活に疲れ果てていたミナミを助けてやることができない無力感にマエダも苛まれ、その怒りを暴力で発散するようになった マジ女のセンター、マエダが荒れ狂っているとの噂は全国に広まり、腕に覚えのある猛者たちが集まってくるようになる そして、そのひとりがヨコヤマユイだった ユイは、なんばのツートップ、ヤマモトサヤカ、ワタナベミユキも手を焼く京都のヤンキーで、アツコにたいまんを申し込んできた これが、アツコにとっての最後のたいまんとなるのだが、勝ったアツコでさへ入院しなければならないほど激しいものだったという アツコは、生まれて初めて死を意識した いうことをきかない自分の体を、ミナミとミナミの祖母に重ね合わせたのだそうだ 結局、ひとは独りでは生きていけない アツコは、ユイが心配になり、見舞うことにした ユイは、アツコよりもさらに重篤な状態であったが、母親とおぼしき女性が付き添っていた マエダは詫びたが、彼女は微笑んでこう言った 「上には上がいるってことですもんねぇ」 実は、彼女も若かりし頃、名前の通ったヤンキーだったとのこと しかし、一念発起して看護士になり、女手ひとつでユイを育てたのだそうだ アツコは、厚かましいことを承知の上で、ミナミの祖母のことを相談したのだった


「アツコがユイのお母さんと出会ってなかったら、私は潰れてたかもしれない 介護って、体力だけじゃどうなるもんでもないんだ」
ミナミの目がマジになった こいつは、生まれてきた意味を見つけたに違いない

「ユイのお母さんのおかげで、お祖母ちゃんはちゃんとした介護を受けられるようになったんだよ そして、ユイもマジ女に転校してきたんだ」
アツコが微笑んだ 初めて見せる少女の顔に、優子はドキッとさせられた あっちの世界のマエダは、こんなに安らかな表情をみせたことがなかった ミナミ、ユイ、こいつには仲間がいる 優子は、少し寂しい気持ちになった もしかしたら、これが本来のマエダなのかもしれない しかし、もしミナミが死んでいたら、おそらくアツコの笑顔は失われていただろうし、今、こうして話をすることもなかった やはり、私は、ミナミを助ける、いや“もうひとりの”マエダに出会うためにこの世界にやってきたに違いない
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優子は“ここ”に来た理由について考えていた 最初は生き返ったのだと思ったが、どうやら違う世界に紛れこんだと考えた方がよさそうだ これが、生まれかわるということなのだろうか 優子は、もしかしたら“何かをするために”この世界にやって来たのではないかと考えるようになった そして、その何かとは…



優子とハルナはマエダたちを探した すると、マエダは介護のボランティアで出かけているという そして、ミナミは、マエダに会いにきた大勢のヤンキーたちと連れ立って学校を出ていったというのだ 間違いない、わたしはミナミを生かすためにこの世界にやって来たのだ 優子には、思い当たることがあった 車椅子を押すマエダは、確かにミナミのことを考えていた マエダは、わたしにミナミを重ねていたのかもしれない また独りぼっちになる… その念の強さ、深い悲しみが優子の魂に伝わってきたのだ マエダ、てめえは独りじゃねぇ、たくさんの仲間がいるじゃねえか そう叫んだとき、体か宙に浮いた 眼下に、車椅子の上で眠る自分をみたのだった







袋叩きにあうミナミを見つけ、優子はまるで羽がはえたかのような速さで飛びかかっていた ヤンキーたちにとって、こちらの優子はたいした脅威ではない

「なんだ、てめえ」
「マジ女のオオシマじゃねえか」
「マエダやシノダはいねえのか」


かかってくるヤンキーたちを撃破し、終わってみれば三十人余りを倒していた






あれが優子か…シノダマリコは、見違えるような優子の強さに脅威を感じた もしかしたら、自分より強いのではないか…

「マジ女のてっぺんは誰にも渡さねぇ」



「マリちゃん」

いつの間にか、マリコが可愛がっている二年生のジュリナが後ろに立っていた

「やっちゃった方がいいんじゃない 私がいこうか」

「ジュリナ、手出しは無用だ 奴は私がやる あれは、私たちが知ってるオオシマユウコとは別人だ てっぺんをはるためには、奴を叩きのめすしかねぇ」







ミナミが一命をとりとめた マエダは、優子をまじまじと見ている マエダが語るには、オオシマユウコは一匹狼的な存在で、喧嘩は強いらしいが、マジ女のために戦うようなキャラではなかったのだという 優子は、あちらの世界のラッパッパのこと、マエダアツコとの出会いなどを話した マエダは理解不能という顔をしたが、現実として、優子のおかげでミナミの命が助かったのだ もし、優子が助けてくれなかったら、もっと酷い目にあっていたのは確実だし、命を落としていたかもしれないのだ

「優子ちゃんの話を聞いていると、向こうのユウコってひとが、命と引き換えにミナミを助けてくれたみたいだね」



優子の目から涙が溢れだした そうか…私は死ぬときに、マエダに叫んだ、てめえは独りじゃねえと その思いが、こっちの世界の扉をこじ開けたのかもしれねぇ 優子は、ラッパッパを愛していた 仲間たちを愛していた そして、ラッパッパをマジにしてくれたマエダを愛していたのだった

「なあ、マエダ ミナミと力を合わせて、ラッパッパを作っちゃくれねえか マリコとは決着をつける てめえが、吹奏楽部をラッパッパに作り直してくれ もし、私の考えが当たっていれは、ミナミを助けたら、私がここにきた役目は終わる 残された時間はそんなにねえにちげえねえ 私がオオシマユウコに戻る前に、ラッパッパを見せてくれ、頼む もしかしたら、てめえのラッパッパは、私に、生まれてきた意味を教えてくれるのかもしれねえ…」

マエダは優子の目に“マジ”を感じた そして、それは、ミナミが介護の話をするときの目にそっくりだと思った
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優子は、ハルナの話を整理していた…


馬路須加女子学園には、一般的な高校では手に負えないようなヤンキーが集まっているが、マリコが2年でトップの椅子に座ってからは、喧嘩は基本的にはたいまん、そして素人衆に手を出すことを固く禁じたのだった 優子は副番格であり、ハルナとは“こじゆう”というコンビを組んでいたのだそうだ 体は、この世界の優子のものだから、染み付いたハルナとの思い出はなんとなく感じることはできる もしかしたら、細かい内容も、時間が経って体に慣れてくれば、思い出せるのかもしれない

馬路須加女子学園には、名古屋に付属栄、大阪になんばマジ商、博多にマジ女博多という姉妹校があり、この国のヤンキー界をリードしているのだそうだ センターというのは“ミス馬路須加”のようなもので、姉妹校の生徒全員の中から選ばれるグループの顔であり、選挙で選んだり、じゃんけん大会で決めたりと、様々なセンターが生まれるのだか、今回のセンターは、上層部が、各校の番長から推薦を受けた数名の中から選んだものであるという いわばセンターの中のセンターで、ハルナはマリコともうひとりの番格であるタカハシミナミからの推薦によってコンテストに参加したのだという



タカハシミナミ、タカハシミナミ…そんな奴は、向こう側のマジ女にはいなかったぞ

優子は、タカハシミナミに会ってみたくなった 体は覚えているのだろうが、今の優子には思い出せない

「タカハシって、どんな野郎なんだ 番格なんだから、喧嘩は強いんだろ」




「もちろん 体は“優子ちゃん”よりも小さいけど、たいまんで負けたことがないんですって マリちゃんとも優子ちゃんともけりはついてないんだけれども、別に勝敗をはっきりさせる必要もないわけだし それに、ミナミにはマエダアツコっていう恐ろしく強い相棒がいるの アツコはセンターの常連で、このふたりを相手にしては吹奏楽部も手出しはできないでしょうね」


「ハルナ、今、なんて言った マエダアツコだって なんてこった こっちの世界では、マエダもマジ女の生徒なのか」


「どうしたの?優子ちゃん、鳩が豆鉄砲くらったみたいな顔して」



「いや、なんでもない」

ちょっと待てよ マエダは確か、親友を死なせていたよな まさか…

「ニャンニャン、タカハシとマエダは介護士になる勉強をしてないか」


「思い出したのね だから、アツコはセンターコンテストから卒業したんじゃない 喧嘩しない生徒に、センターをはる資格はないからね」


「た、大変だ ニャンニャン、マエダとタカハシに会わせてくれ 実は、向こうの世界では、タカハシはマエダをかばって死ぬんだ 用心するにこしたことはないだろ ニャンニャンを推薦したってことは、ダチなんだろ?」


「そうだよ わたしとみぃちゃんとミナミでよく遊んでた」


「みぃちゃんって、峯岸みなみのことか 向こうでは真面目キャラで目立ってなかったが、こっちではブイブイいわしてんだなぁ…って、そんなことはどうでもいい マエダとタカハシに合わせてくれ」