AKB48“モウソウ馬鹿” -12ページ目

AKB48“モウソウ馬鹿”

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「てっぺん、もらいにきたぜ」

吹奏楽部の部室に博多の兵隊たちが押し寄せてきた 部室に上る階段の下には、多くのヤンキーたちが倒れている

「マジ女もたいしたことねえな 私がいた頃は最強だったのによお」
サシハラリノがシノダマリコと睨み合っている

「お前たち、神聖なラッパッパの部室に土足で上がりやがって 無事に出られると思うなよ」
シノダが指を鳴らした

「ラッパッパ? なんだそりゃ(笑) てめえ、オオシマに負けたんだってなぁ でかいツラするんじゃねぇ(笑)」
サシハラの後ろに、美少女が五人立っている 皆、不敵な笑みを浮かべていた 向かって左から、モリヤスマドカ、ミヤワキサクラ、タシマメル、トモナガミオ、コダマハルカ そして、その後ろに、鋭い眼光のオオタアイカが控えている オオタもまたマジ女から博多に転校したのだった サシハラと仲がよかったというのもあったが、マジ女ではキャラが立たなかったのだ 鶏頭牛尾という言葉があるが、博多で活躍するうちに、オオタは開花したのだった



優子に負けたシノダに従うつもりはないと、イタノトモミが吹奏楽部に背を向けた 鼻っ柱が強いところが、シブヤに似ている もしかしたら、あっちの世界とこっちの世界は似ているのかもしれない 優子は、自分と出会う前のサドやシブヤのことを何も知らなかった シノダは優子と出会ってサドになったわけだし、それはこっちでも同じだ てことは、こいつは最狂ってことか 優子は思った レナには激辛なものは控えさせよう




「おい、オオシマ、何をニヤニヤしてやがる シノダに勝ったからって、いい気になるなよ まず、てめえから料理してやるよ」
サシハラが優子の胸ぐらをつかんだ

「ちょっ、ちょっと待ってくださいよ、サシハラさん 私よりも、まずレナと戦ってください 一応、私はラッパッパの部長ですから」
優子が人の悪そうな笑顔を浮かべた

「レナって、マツイのことか あんなもやし野郎とやってるヒマねえんだよ」
サシハラの唾が優子にかかった


「汚ねえな こいつらやっちゃって」
優子がレナに向かってウインクした

吹奏楽部の中では目立たない存在のレナだったが、彼女も名古屋からスカウトされてきたのだった 自らを“マジ女のカスミ草”と称し、前に出たことはない



レナの前にコダマが立ちはだかった


「あはははは、あはははは…」
気が狂ったように笑い出すレナ
「怒ってる?」
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マジ女には、愛知に馬路須加女子付属栄、大阪になにわ女子商業、福岡に博多馬路須加女子学園という姉妹校がある 一番古いのが、栄、次いでなんば、博多は開校して一年余りの新設校である


栄のリーダー(番長)はナカニシユカである 彼女はマジ女の生徒であったが、二年生の時に栄に転校してきた 理由はわからないが、彼女が転校してきてから栄は頭角を現し、東海地方を占めるヤンキー校になっていったとのことである


なにわ女子商のリーダーはヤマモトサヤカであるが、ワタナベミユキもほぼ同等の扱いを受けている しかし、ワタナベはヤマモトの前に出ようとはせず、ヤマモトもワタナベを占めるつもりはない ふたりはまだ二年生であり、この学校で出会って一年余りしか経っていないのだが、紆余曲折しながら現状に落ち着いたのだそうだ 同学年であるヨコヤマユイは、京都時代からふたりと面識があった 京都のヨコヤマを倒さずして、東京に攻め上るわけにはいかない なんばは何度も京都を攻めたが、一枚岩でないためか落とすことができない しかし、ふたりの関係が変化してきたことを察知したヨコヤマは、なんばに落ちるのも時間の問題だと考え、その前にマエダに挑むことを決意したのだった もし、なんばのツートップがひとつにならなければ、ヨコヤマとマエダが出会うこともなかったのかもしれない


博多のリーダーはサシハラリノ 彼女も去年、マジ女から転校してきた 新設された博多校の生徒を指導するために、マジ女から遣わされてきたとの噂もあり、彼女もまたグループのてっぺんを狙う猛者なのである 博多のセンターは一年のタシマメルとトモナガミオであるが、二年のミヤワキサクラ、コダマハルカもグループ全体のセンターを狙える器と注目されている

優子は、マジ女の総務委員長をつとめるミネギシミナミに、グループ全体の成り立ちについて詳しく教えてもらっていた 例えば、ヤマモトサヤカとヨコヤマユイは、何度も戦ううちに友情を育むようになったとか いわば武田信玄と上杉謙信のような関係だそうだ 二年のマツイジュリナは、グループのてっぺんを目指すために栄から転校してきて、シノダマリコと姉妹の契りを結んでいる このふたりの関係は、血を分けた姉妹よりも濃いと考えられている 優子は、姉妹校間に交流があることに目をつけた あっちの世界のラッパッパとは別の方法で、最強の軍団をつくりたい それは、トップダウンによって統制されるのではなく、多くの人間の考えが反映されるような組織であった マジ女グループは、中央のマジ女と、地方の姉妹校が、お互いに牽制し合っているように感じるのだ この構造を上手く利用できないものだろうか 優子は、マエダとミナミに相談してみることにした

「姉妹校のことなんか考えたことがなかったなぁ マツイが転校してきたときには構えちまったが、結局はマリコの舎弟だ しかし、栄や博多の頭は、うちにいた奴だからなぁ」
ミナミが難しい顔をしている

「自分で言うのもなんだけど、私たちはてっぺんを争っていたわけじゃない しかし、ナカニシやサシハラは、うちじゃ目立ってなかった 上に立つってことと、私たちの考えるてっぺんはイコールじゃないのかもしれない」
マエダの顔はいつもマジだ 優子は、そんなマエダに好感を抱いていた こいつらとならやれる

「てめえらは、介護士になる勉強をしてるんだよなぁ 私は、向こうの世界で、長いこと入院していたんだ 楽しかったぜ いろんな入院患者がいて、毎日遊んでた 看護士さんたちも親切でさぁ いっしょになってほたえてたよ 若いひとが多かったからなぁ どうだい、このマジ女の力を利用してみる気はねえか てめえらなら、ヤンキーの世界を変えれるかもしれねぇ マジだぜ、介護される側も、介護する側も…」
マエダとミナミの視線が優子を貫いた こっちの世界のマジに触れ、優子は残してきた友を思う

マエダ、てめえは独りじゃねえ…
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「お前はいったいなにものなんだ」
優子と対峙するシノダマリコ
「お前がいると、ここからの景色が見えにくくて仕方ねぇ」

吹奏楽部の幹部、イタノトモミ、カシワギユキ、マツイレナをたいまんで倒し、優子はシノダとマジ女のてっぺんをかけて戦うこととなった 屋上は、サドとの思い出の場所 このたいまんに勝てば、シノダのことを“サド”と呼ぼう(笑)



「なにがおかしいんだ 舐めやがって」
シノダの右ストレートが優子のこめかみにヒットした 膝から崩れ落ちる優子 間髪入れず、シノダの回し蹴りが優子を吹っ飛ばした 普通なら、これで決まるのだが… 立ち上がる優子

「あはははは、楽しい」
唾とともに、折れた歯を吐き出した
「いくぜ」



足を止めて殴り合うふたり お互い相手のパンチをかわすことなど考えていない 優子のボディーブローが入った 胃液を吐き出し、うずくまるシノダ


「まだまだ…」
シノダが立ち上がる


再び、殴り合うふたり 顔は原形をとどめていない


優子は考えていた あっちの世界では、病魔に冒された体を駆使していたが、この体は健康らしい 全然、体力が違う まだまだやれるぜ


優子のアッパーが炸裂した シノダが仰向けに倒れる

「ハアハアハア…」
どうやら勝負は決したようだ 立ち上がれないシノダ


「マリちゃん…」
ハルナが駆け寄る



「てめえみたいな戦い方をする奴はふたりめだ てめえもサドだな(笑)」
優子が右手を差し出した
「てめえは、これからサドだ(笑)」


シノダが優子の手をつかむ
「負けたぁ、生まれて初めて負けたぁ…」
シノダの頬を涙が零れ落ちた しかし、それは悔し涙などではない シノダは感動していたのだった








優子がシノダを倒した このニュースは、すぐに日本中を駆け巡り、マジスカグループのてっぺん争いがあわただしくなる 特に、なんばのヤマモトサヤカ、ワタナベミユキの鼻息が荒い 彼女たちは、京都のヨコヤマユイ、名古屋のマツイジュリナらが壁となって、なかなか上京できなかったのだった しかし、現在は、ヨコヤマもジュリナもマジ女の一員、邪魔する者は誰もいない 機は熟した シノダマリコとオオシマユウコが戦ったということは、マジ女は一枚岩ではないということ…

「サヤカちゃん、やるなら今や」
ワタナベミユキの目が輝いている

「てっぺんとったんで」
ヤマモトサヤカの号令に、なんばが燃え上がった








栄にも、キザキユリアやキモトカノンら、てっぺんを狙う猛者がいる マジ女でぐずぐずしていると、彼女たちが責め上ってくるかもしれない マツイジュリナはいささか焦っていた シノダが負けたことによって、後ろ楯を失う可能性も否めない マジ女の次期センター候補としては、ジュリナの他、ワタナベマユ、シマザキハルカが有望視されていた

やるしかないな… ジュリナはてっぺんへと続く階段を上り始めた