次の日―
早朝から2人はグレイの墓の前にしゃがみこんでいた
ブラキは少し果実をかじっていたがブライの方はあの事件以来一切食べ物を口にしておらずおまけに昨夜はブライもブラキもあまり眠れてはいなかった
墓の前でブラキがいう
「ねえさん、何か食べたら・・・・? 気持ちは分かるけど睡眠不足も重なって道中で倒れちゃう・・・・」
「心配有り難う…でも・・・・どうしても・・・・・食べたい気分じゃないの・・・・」
「睡眠も出来ない・・・?? おれも昨夜は眠れなかった・・・・」
しばし沈黙が続く
「早く・・・・・真実を知らなきゃね・・・・」
「うん・・・・きっとわかるよ…いや・・・分からなきゃ駄目なんだ…」
ブライはこくりとうなずいて立ち上がった
そうして家の中へ戻りあたりを眺めた
「この家ともしばらくお別れだね・・・・」
ブライは苦い顔でいった
「ここは俺たちの育った大事な場所だよ…母さんと・・・過ごした・・・・」
「ええ、またいつか戻ってこれたらいいわね・・・・その頃には何もかも解決してるといいわ・・・・」
そういってブライは布に包んだ食料と飲料を腰に巻いた
ブラキは大事な剣を同じく腰に巻きつけた
「俺・・・まだこの剣完全に扱えてないんだよ・・・・いや・・・まだ全然だ・・・姉さんは、本を使わなくても出来るようになったのに…」
ブラキの言うとおり、ブライはこの7年で”魔法書”を使わなくともルートファイアが打てるようになっていた
それほど強くなったということだ
「ブラキだって・・・まだって言うけど、しっかりと構えが出来るようになってるわ…」
「それくらい・・・出来るよ…・・・・・・ それよりそろそろ行こう!!」
「そうね・・・・」
2人は悲しい顔をして家を出た
ところがここで重大なことに気付いた
ブライが足を止める
「ねえ・・・・・・・・・」
「どうしたの??」
「どっちへ行けばいいのかしら」
「!!!!」
そう、2人は他に大陸が存在することは分かっているものの、それがどこにあるのかまでは知らない
グレイはただ『大陸が他にある』という漠然とした話しかしなかったのだ
「どうしよう・・・・・」
「と・・・とりあえず行ってみようよ…ほら、この木々の向こうって未だ行ってないよね??・・・・もしかしたら、このさきにあるのかもしれないし―」
ブラキは深々とした森の向こうを指差した
こんなに家の近くにあったが、あまりに木々が生い茂っておりグレイに危ないからと言われたこともあって2人はそれまで近づかなかったのだ
2人がいつも追いかけっこしたり、剣や魔法の訓練をするときはその反対側の広大な草原で行っていたのだ
「確かに…この森は入ったことがないわ・・・・」
「行こうか・・・・」
2人は顔を見合わせ決心したようにうなずくと、ゆっくりと森へ入っていった
森は本当に視界が悪く、木々の他にもツタや草で進むのがやっとだった
もはやジャングルに近かった
それでも2人は徐々に道なき道をかき分けて進んだ
何処まで来ただろうか・・・・2人は汗だくになり、息を切らしながら進んでいる
あたりは日も傾きかけている
「はあ・・・・・少し…休憩しましょう・・・・」
「姉さん大丈夫??」
「平気よ…このくらい・・・・・休めばすぐに・・・・」
ブライはそういいながらも明らかに疲れ切っていた
もともと足元がおぼつかないのもあれだが、昨夜のこともあって道中何度も何度も転びそうになった
そのたび後ろからブラキが支えていたのだ
「無理しないで・・・・」
「有難う・・・・」
この時2人の様子を奥の木々から見張る者がいた
「まただ・・・・・動物人間!!!!!!」