第1回のNコン、昭和7年「第1回児童唱歌コンクール」をプレイバック | Nコンブログ【NHK全国学校音楽コンクール合唱ファンブログ】

第1回のNコン、昭和7年「第1回児童唱歌コンクール」をプレイバック

第1回のNコンの詳細が過去の新聞から見えたので、
せっかくなので紹介してみます。
※「第1回児童唱歌コンクール」ですが、
便宜上「第1回Nコン」と表記します。


まず、コンクール当日の新聞でどう紹介されているか、
当時の新聞から引用して紹介します。

今晩は児童唱歌コンクールという日本で最初の試みが行われます。
コンクールということで、つまり日本中での唱歌の上手な子供さん方の唱歌競技会です。
今度はいろいろな都合で、東京・大阪・名古屋・広島・熊本・仙台・札幌の十四の学校が選ばれました。

この予選には、遠くから遥々出場した学校が沢山ありました。
例えば、東京へは新潟から出てくるとか、熊本へは鹿児島や福岡から集まるというような有様でした。

出場する生徒さん方は、いずれも五年生の男・女生徒十五人ずつです。
そして課題曲として出された二つずつの歌を歌う他、それぞれの学校が自分で選んだ曲、つまり随意曲を一つずつ、合わせて三つずつ歌うことになるのです。

さて、どこの学校が一等になるか楽しみにして待ちましょう。

(当時の朝日新聞より引用)
※表記を現代表記に改めています。



第1回は7地方で開催されたことがわかります。
四国は、広島で予選がなされたのでしょうか?
九州が熊本での予選開催となっていますが、
熊本放送局が大きかったからなのか?
移動が厳しい時代なので九州の中央で開催したのか?
そのへんがわかりませんね。

7つの地方から14の代表が選ばれているのは、
男女別で代表を決定していたからです。
また、参加は尋常小学校5年生に限定されていました。

あと、意外だったのが課題曲。
課題曲はてっきり選択制なのかと思いきや、
2曲とも歌っていたということ。
これはアーカイブページではわからないことです。



それでは第1回Nコンを見てみます。

1932年(昭和7年)11月26日
午後7時30分~午後9時
※生演奏かは不明
※放送と同時に審査が行われた。
※審査結果発表は11月30日


東京音楽学校講堂


十数名の審査員がスピーカー前で審査
※得点表は、コンクール終了と同時に厳重に封印され、東京音楽学校の金庫に保管された。
※11月30日正午に改めて集まり、得点を発表、その日の午後6時にラジオで放送した。


<男生>
(イ)「冬景色」(文部省唱歌)
(ロ)「スキー」(新尋常小学唱歌)

<女生>
(イ)「海」(文部省唱歌)
(ロ)「田舎の冬」(新尋常小学唱歌)


(男)熊本県葦北郡佐敷尋常小学校
「太平洋」(新尋常小学唱歌)

(女)熊本市碩台尋常高等小学校
「星の界(よ)」(日本語詞:杉谷代水、曲:コンヴァース)


(男)広島市中島尋常高等小学校
「朝の歌」(文部省唱歌)

(女)広島市中島尋常高等小学校
「秋の夜半(よわ)」(詞:佐々木信綱、曲:ユーベル)


(男)神戸市兵庫尋常高等小学校
「秋曉」(詞:吉丸一昌、曲:北村季晴)

(女)大阪市高津尋常小学校
「朝の歌」(文部省唱歌)


(男)名古屋市高田尋常高等小学校
「加藤清正」(日本語詞:藤村、曲:フォスター)

(女)名古屋市山口尋常小学校
「夕の星」(新尋常小学唱歌)


【優勝】(男)東京市杉並第一尋常高等小学校 ※当時は東京市
「松島」(詞:武島羽衣、曲:英國)

(女)府立女子師範学校 ※当時は東京府
「夢の人形」(詞:西條八十、曲:大和田愛羅)


(男)仙台市立町尋常小学校
「星の界(よ)」(日本語詞:杉谷代水、曲:コンヴァース)

【優勝】(女)仙台市東二番町尋常小学校 ※当時の新聞とNHKのホームページの表記に従います。
「朝の歌」(文部省唱歌)


(男)札幌師範附属小学校
「夕の星」(新尋常小学唱歌)

(女)札幌市大通尋常小学校
「みがかずば」(文部省唱歌)

※演奏順は上記通り。


  • この2年前に文部省が児童の対抗競技を禁止した趣旨に反し開催し、教育上の批判があった。
  • 放送上のコンディションが甚だしく不同。
  • 熊本の斉唱が甚だしくかすれ濁っており、審査委員長席の聴取機のコントロールを試みるも、熊本放送局のヴォリュームコントロールが悪かったと判明、熊本の女子の斉唱が終わるまで続いた。
  • 広島も同様、声が大きくなったり小さくなったりした。
  • 大阪・名古屋は無難に進んだ。
  • 東京は最も良い放送コンディションだった。
  • 仙台も、東京から距離が近いため、良いコンディションだった。
  • 札幌は最もコンディションが悪く、ほとんど満足に聞き取れなかったくらいだった。
  • 東京からの距離に比例して状況が低下した。
  • 名古屋の男子、仙台の男子のように、音程が明白に下ったような場合は、不良でも判明する。
  • 中継状況を綿密に調査せずに行った無謀さに驚くとともに、この状況で採点し、しかも等級をつけたら、幾多の童心を傷つけることか。
  • 主催者は大いに反省して欲しい。



生演奏だったかはわかりませんが、
放送・審査は午後7時半から1時間半でした。
審査後に得点表を金庫に保管し、
その4日後に集計発表だったようです。

放送コンディションは残念だったようですね。
かなり厳しい調子で非難されています。
翌年、放送同時審査ではなく、
審査員の地方派遣という形になります。
しかも参加料を徴収したので、参加校が減りました。

その後、放送同時審査でも同等の審査ができることを確認し、
翌年から再び参加無料・放送同時審査になりました。


ちなみに、第2回・第3回の優勝校の随意曲(自由曲)も紹介します。

(男)東京市目黒区碑尋常高等小学校
「助船」(検定唱歌集)

(女)仙台市東二番町尋常小学校
「朝の歌」(文部省唱歌)


(男)東京市目黒区碑尋常高等小学校
「我國兵士」(日本語詞:旗野士良、曲:キュッケン)

(女)仙台市南材木町尋常小学校
「朝靄(あさもや)」(児童唱歌)