第7話 吊し 後編
単車は、キレイに一人はねて、モヒカンの前にとまる。
俺はモヒカンに伝えた。
「やぁ!この前は、どうも」
ギンギンにキレてるモヒカンが、チェーンを振り回す。
マツダが左手で受けるが、後部の俺に、長いチェーンが重たくぶつかる。
死んじまうじゃねぇかと思う痛みで、戦闘スイッチが入る。
モヒカンが言った。
「なめんじゃねぇよぉ~!俺が誰か知ってんのかよぉ」
喧嘩の時には、こんなセリフいらない。
奴が喋っている間に、バンダナを右拳にバンテージがわりに固めて近付き、
ガラガラの左脇腹にフックをニ発叩きこんで、アゴに短く入れたところで、
ドレッドがチェーンで、後ろから俺の背中をぶっ叩く。
こいつら、何本チェーン持ってんだ。
「お前ら、生意気だから吊すからぁ」
8対2
狂気が凶器を持つ、コレは、コワイ。
苺狩りシーズンは遠いが、道路は俺達の喧嘩で通行止め。
モヒカン、ドレッドはチェーン。金髪のでかいのはバット。
メットを構えているアホは、マツダに任せて、弱そうな奴は相手にしないで、モヒカンを倒しちゃおうかな。
ライダースで、チェーンを受け止めて、モヒカンにタックルをかまし、あごにひじを落とす。
ついでに、頭突きも顔面に落としたところで、一丁あがり。立ち上がると、ドレッドのチェーンが空を切る。
ライダースで受け止めても、しなって背中に痛みが走る。
ドレッドは、喧嘩慣れしていて厄介だ。
ジリジリと囲むアホどもに突っ走り、前蹴りをくらわしかがんだところに、右アッパー。
ああ、気持ちよくはいったなってところで、また、チェーンでドレッドに叩かれる。
完全にミミズばれだ。
マツダがバットマンを倒して、気付けばニ対ニ。
無傷の皮ベストとドレッドが残り、マツダ血だらけ、俺ミミズばれだらけ。
「お前ら、絶対吊すからな」
皮ベストが、声を震わせ、虚勢をはる。
「コワいですね。それは、なぁマツダ」
「みんな殺すからぁ」とタフなモヒカンがおきあがりそうだ。
俺は、モヒカン目掛けて突っ走り、途中で殴りかかる皮ベストを交わして、
ヤクザキックをモヒカンにかますと、奴は海に向かって転げ落ちていった。
「ドレッド、モヒカン助けないと、ヤバいかもな。あと宜しく!」
ドレッドは、「お前らは全員吊すから」と捨てセリフを残して、モヒカンのもとに飛びこんだ。
その時は、わかっていなかった。
何にも。
