第13話 牡蠣拾い 前編
~ウチヤマの事故より1ヶ月前~
ピンポーン
ドアのチャイムが鳴る。
滅多にならないチャイムは、勧誘か郵便物だろう。
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーン
…絶対マツダだ。
外から、タクボンの声も聞こえる。
「センシュウ殿、遊びに来たぞ!」
声と同時に、チャイムが連打される。
ピピピピピピンポーンピンポピンポピンポピンポーンピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピン……………ポーン
いちいち頭に来る男だ。
「うるさい」と玄関を開けると、マツダとタクボンが、立っていた。
ライダースに皮パンツのタクボンは、ニコニコしている。
ヘルメットとサングラスを外さないマツダは、俺の家のチャイムをまだ鳴らしている。ピピピピピピピピピピピピンポーン
「センシュウ殿、高橋名人の16連射!」
言う事が古いし、面白くない。
ニヤニヤしているマツダは、ラモス瑠偉みたいなロン毛も含めて漫画のようだ。
「ちょっと待ってくれタクボン、何するの?」
俺は、洗濯もしたかったし、NFLのカードも買いに行きたかったし、頼んでいるローラーホッケー用のスティックも駅前の丸井に、取りに行きたかった。
マツダが、タバコをくわえながら答える。
「牡蠣」
「はぁ?」
「だから牡蠣」
「カキ?」
「ていうか牡蠣」
こいつ何言ってんだ。
まぁ、いいさ。一旦ドアを閉めて、ラングラーのGジャンとジーンズに着替え、フライト型の俺専用ヘルメットを持って出る。
着替え中も、チャイムは、ピピピピンピンピンポーンと鳴らし続けるのは、マツダだろう。
ガキだ。
しかし、カキって何だろう?
