Lady Strawberry アパレル君 -64ページ目

第13話 牡蠣拾い 後編

ペタしてね

5月も終わっていないのに、三保海岸へ到着するや、タクボンとマツダは、さっさと脱いで、海に入っていった。

このいさぎよさは、見習いたい。

腰まで海に浸かった状態で、浜辺からは、10メートル位の距離かな。

タクボンは、海の中で何かやっている。

マツダは、こちらをチラチラ見ながら、パンツを上げたり下げたりしている。

内海には、観光客らしい数名と俺達三人しかいない。

5月の海は冷たく、俺には入水など、考えられなかった。

パンツのアゲサゲを繰り返すしつこいマツダを横目に、タクボンは、海で何か拾い続けているようだ。

こんなところに牡蠣がいるのか?

浜辺に座りながら、こいつらを見ていると、不思議な気分になる。

チェンチョンも、外に連れてくればよかったな。

家とテレビとパソコンさえあれば、普通に生きていける俺やチェンチョンから見たら、自由奔放なこいつらは、違う世界の住人だ。

タクボンが、両手に牡蠣を山ほど持って、浜辺にあがってきた。

「コレ、牡蠣じゃん。本当に採れるんだな。」

「ああ、いっぱい海に落ちているね。」

「カッコいいな、タクボンは、何でも出来るんだな。」

烏龍茶のペットボトルを渡すと、タクボンは、ハッキリと言った。

「俺からしたら、真面目に生活するお前や、あそこでロボットダンスしているマツダの方が凄いし、カッコいいよ。」

やっぱり、ひきこもりのチェンチョンも、連れてくればよかった。

「まだまだ採れるから、今日はみんなで牡蠣パーティーをしよう!」

「…いいけどさ、チェンチョンも誘っていいかな?」

「もちろんさ。」

腰までの海にいる偽江口洋介は、こちらから見えるように、下手くそで単調なロボットダンスを踊り続けている。

「タクボン、あいつは、牡蠣を拾ってるの?」

「いや、拾う気は、ないと思うな」

タクボンは、貝殻を一つ拾うと、マツダに向けて、ビューっと投げつけた。

貝殻に命中したマツダは、「いてぇ」と叫んで海に倒れた途端に直ぐ起き上がり、「牡蠣だー!」と叫んだ。

空に突き上げたその右手は、タクボンが採ってきた牡蠣よりも、明らかにでかい牡蠣だった。

久しぶりに、笑いが止まらない。

大声で笑った。

タクボンの横では、見覚えのない金髪の美少年が、腹を抱えて笑っている。

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