第15話 孤独 前編
夕方の海岸、飛び入りにより盛り上がる牡蠣拾いを横目に、俺は海の家 潮の親父さんに、焼きそばの値下げ交渉をしていた。
30人前の焼きそばを七千円にしてくださいと交渉する俺の横に、パールが立った。
パールは、鉄板に手をいいと言われるまでつくので、七千円で30人前を売って欲しいと、潮の親父さんに訴えた。
親父さんだけでなく、俺も、今夏の海の家アルバイトのマサとユウダイまで、その言葉にひいていた。
パールは、そんな少年だった。
「手に入らないものは壊すか殺すか。それしかないでしょう」
あいつが、よく言った言葉だ。
結局、その日の牡蠣の大物競争は、マツダの勝ちだった。
パールは、よほど悔しかったのか、俺達が帰る夜8時まで、海に入って牡蠣を拾い続けた。
俺達が帰った後も、ずっと牡蠣を拾い続けていたと、マサとユウダイが、翌日教えてくれた。
月夜で、パールは、何を考えていたのだろう。