Lady Strawberry アパレル君 -42ページ目

第20話 ヒッピー

「タクヤくん、他の場所に移ろうよ」

チェンチョンは、海の沖を見ながら聞いてくる。

チェンチョンの隣で、板にワックスを塗る俺は、夏用にしようか、それとも汎用にしようかと悩んでいた。

夏は終わったので、それ程暑くない。

「タクヤくん、場所変えようよ」今度は、宇宙を見るような遠い目で、空を見上げながらつぶやいた。

チェンチョンは、右隣の俺を、まったく見ていない。俺を見ると、浜に上がってきた不良達が見えるからだろう。

アメリカンヒーローみたいな全身タトゥーの男が大麻を吸っているのを見た。ピンク色の長髪は、脇が短いモヒカンだった。

「変なのいるから、逃げようよ」

「逃げなくても、いいよ。海にマナーの悪いヒッピーがいるだけだ。」

音楽は、アンスラックスから、いきなりジャニスに変わった。

「タクヤくん、あの人達、こっち見てないか」

終始違う方向を見ながら、よくわかるもんだと感心した。

俺は、板にワックスを塗りながら、右を向くと、確かに、こっちを見ている。

「お~い、あんたら、聞こえるか?」サングラスをかけたドレッドヘアが、俺達に声をかけた。

胸と腕にはトライバルのでかいタトゥーが見える。