Lady Strawberry アパレル君 -36ページ目

第25話 レッドウイング

ダイナーは、いつも活気に溢れていた。

マスターの趣味のハーレーと、マスターが警察OBだった事で、おかしな連中が、いつでも集まっていた。

店は凄く大きく際立っていた。

ハーレーダビッドソン三台を店内に飾り、たまにエンジンをかけるものだから、うるさくてガソリンの匂いがたまらなかった。
テーブルは、8組か10組は、あっただろう。

カウンターもトイレも玄関も、やたら大きかった。

俺の遊び場が、大学のあった静岡から、渋谷に変わった時、一番欲しかったのは、あの空間だった。

何にも無いけど、何でもある。

寂しくて、苦しい時にも、

嬉しくて、騒ぎたい時にも、

ダイナーは、19時までしか開いていない喫茶店だけど、いつもそこにあった。

当時カレーの味は、深すぎて、美味いのか、わからなかった。

乗用車みたいな大きさのエスプレッソマシンは、マスターが退職金をつぎ込んだ店の売りだが、俺達には苦すぎた。

店では、警察もチーマーも、出勤前の水商売の姉さんも兄さんも、コーヒーを飲んでいた。

本を読んでいるOLは、世間の騒がしさが好きだったんだろう。

このあと、事件や事故が立て続けにおこり、ダイナーも巻き込まれるとは、思っていなかった。

OLのオガワさんが話した言葉が、キーワードだった。

「シュウチョウが、タクヤくんに会いたがっているよ。」

トイレから全裸で出てきた、はだかんぼーが、オガワさんに答えた。

「あの店、知ってるから、俺が連れて行くわ」

オガワさんは、マツダの股間に、ホットコーヒーをぶっかけた。

熱さに踊るマツダは、シュウチョウの店レッドウイングの黒い噂を知らない。

大柄、長髪、ハーレー、素肌にバンソン、クロムハーツ、一夫多妻、詐欺師、宗教家そしてトラブルにつぐトラブル。

シュウチョウには、関わりたくなかったのだが…