第1話 暴力金曜日 前編
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さっきまでのミズマは、ワインボトルを
抱えて暗いホールをふらふらしていた。
パーティーを仕切るスタッフの意識が、
あいつには無いようで、バーカウンターから
ドリンクを出す艶男組の仕事を切り上げて
ナンパに精をだしていたはず。
でも今、そのミズマは鼻から耳にピアス
チェーンを垂らしたゴリラのような男に
踏まれてノックダウンしている。
「てめぇ・・誰の女に声かけてんだぁよ・・」
「俺の女ぁ・・なんだわぁ・・・」
汚く下品な声で半殺し状態のミズマに
声を掛けるが、反応は無い。
フロアを埋め尽くす100人を超える
客が我先にと一斉に出口を目指す。
客同士の喧嘩は、よくある事だが、
あのゴリラ達はヤバい。
テーブルから順番にジャンプした馬鹿達は、
仰向けで失神しているミズマの顔面に着地し、
フロアは血だまり。
ポーズを決めた馬鹿の一人がワインボトルを
ミズマの頭に叩き付けて割る。
ここまでやるか。
セキュリティ役の極真は、どこに行ったんだ。
ゴッチ君もいない。
会長は別の場所で喧嘩売られてる。
あー、マツダも連れてくりゃよかった。
パールの件よりやっかいになりそうだ。
「やめなさいって。」
「もう、やりすぎだ。死ぬよ。」
さっき弾かせてもらったジョンレノンを、
もう一回弾いても和まないだろうな。