第2話 ナイトパーティーは怖いよ 後編
「あーぁ。前歯グラグラだ。痛ぇよー」
後部座席をフラットにしたダイイチロウの車で、
ミズマは、時折、痛みを俺たちに伝えてくる。
「グラグラというよりも、前歯2本位欠けてるぞ」
声をかけても、ミズマと会話のキャッチボールは出来ない。
酔いと興奮が、痛みを解らなくさせているのだろう。
顔は風船のように膨れ上がり、目は充血。
唇の周りも血だらけで、破れたシャツを着て寝転がる。
「今、病院に運ぶから待ってろよ」
電話で今日の救急担当を聞いて、
県立病院に運ぶ最中、運転しながらダイイチロウが口を開く。
「ミズマ、大丈夫かな?」
「大丈夫だろうけど、頭上に何発も男が降ってたからな」
「地獄絵図だったわ。俺気づいたときに、やべぇと思ったもん」
「・・・・・・。しかしさ、マスナガは流石に鍛えてるだけあるな」
「マスナガの親父〇暴だし、度胸あるんだろう」
「そりゃそうだけど、ダイイチロウの親父だって、うなぎ屋なんだからさ」
「そうそう、うちはウナギ屋だからなって、関係ねぇって」
ダイイチロウと話していると、ミズマが起きてきた。
「寝てろって。もうすぐ病院だから」
「いや、俺、病院はいいよ。だってマズいだろ」
「事件にしないから大丈夫だよ。転んだっていって診てもらおうぜ」
「俺、ぜんぜん平気だから、ぴんぴんしてるし」
「今は大丈夫だけどな。帰らなけりゃならない用事あるのか?」
「お前、血だらけだぞ。鏡で見てみろよ」
「ダイイチロウも、なんか言ってやってくれよ」
「ミズマ、さっきから俺の車の中で、
唾をぺっぺっぺっぺっ吐いてるけど、やめてな」
「ダイちゃん・・・・・・悪いな」
「ところで、大丈夫だから、俺の家送ってもらっていいかな?」
バックミラーで、自分の顔を覗き込み、
口を大きく開いて確認した後、血まじりの唾をまた吐く。
こいつは無意識で吐いてるようだ。
「帰って留守電を聞かないと」
「そんなもん、後でいいだろうが、病院ついたぞ」
着いたといった途端に、横になり寝てしまった。
