前回のエントリーからすでに3ヶ月近く経ってしまっています。


もう少し色々な意味で充電してから再開しますので、よろしくお願いいたします。

前回のエントリーからずいぶん間があいてしまいました。


今回は燃料電池自動車(FCV)と電気自動車(BEVもしくはEV)のお話をしていきたいと思います。


まず最初にお断りしておきますが、

現時点でコストという面では、FCVはガソリン車よりもさらに高いというBEVにすら届いていません。

そして、FCVに水素を供給するためインフラである水素ステーションも、建設コストはガソリンスタンドに比べるとかなり高いというのが現状です。


これは両者の開発フェイズや、普及に関するロードマップの違いもあることから、

コストの話は一旦置いておきたいと思います(もちろん、後日多少なりとも触れさせていただきます)。




では、まず

FCV(燃料電池自動車)の利点を。



(1)走行中は、水(水蒸気)しか排出しない(最初に書いた通り、水素製造過程ではCO2が出ます) 


(2)ガソリン車並の航続距離(トヨタの最新型では10.15モードで約800km)


(3)燃料(水素)の充填時間が短い(将来は5分以内)



次に、

FCV(燃料電池自動車)の不利な点



(1)構造が複雑(現在のハイブリッド車とほぼ同じ) 


(2)貴金属(Pt, Ru)や特殊材料を使用するので高コスト 


(3)高圧(350~700気圧)で水素をタンクに充填することから日本の厳しい規制では車両・インフラともに高コスト体質





対する

BEV(電気自動車)の利点 



(1)構造が簡単(極端な話、シャーシと車軸と車輪、モーターとバッテリーがあればできちゃう) 


(2)燃料電池のように極端に高価な貴金属は使用しない 


(3)充電インフラの整備が容易(家庭でも充電可能)



BEV(電気自動車)の不利な点


(1)航続距離が短い(バッテリーのエネルギー密度が小さい。三菱i-MiEVで10.15モード160km) 


(2)道路交通状況、エアコン使用状況(気候の差)により航続距離が大きく変わってくる 


(3)充電時間が急速充電で20~30分(チャージ80%) 家庭では約8~16時間(フルチャージ)かかる




FCVとBEVのメリット・デメリットをあげるとこんなところでしょうか。




そんなわけで、水素・燃料電池業界としては、

短距離(シティコミュート)はBEV、中・長距離(都市間移動)はFCVという住み分けして

共存できるのが一番望ましいと思っているわけです。





とはいえ、昨年の11月に、

日本EVクラブ というNPO法人がダイハツ・ミラを改造して、汎用Li-ionバッテリー(18650)を約8000本積んで、

東京-大阪間550kmを無充電で走破するというデモンストレーション を完遂されています。



そして、日本EVクラブのデモの1週間ほど前には、

JHFCプロジェクト(水素・燃料電池実証プロジェクト) が、

FCV(最新3車種)で東京-北九州間1100kmを、2回の水素充填で走りぬくというデモンストレーション

実施して完遂しています。




この両者のデモで見えてくるのは、

BEVは無理してバッテリーたくさん積めばガソリン車並に走れる(先のデモを行った車両のバッテリー総容量は三菱i-MiEVの4.5倍)。

FCVは標準仕様でもガソリン車並に走れるという構図が浮かびます。



そこで先に書いた共存という考えに行き着くわけです。



さて、次回は展示会などでよく聞かれる水素の安全性について、お話したいと思います。


結局、1週間経ってしまった・・・。

ということで、燃料電池の種類について続きです。

◆りん酸形燃料電池 (PAFC)
 電解質にりん酸(H3PO4)水溶液を使用することからこの名がついています。
 アルカリ形に次いで商用化された燃料電池と言って良いでしょう。
 運転温度が200度前後とPEFCより高めです。
 とはいえ、電極の触媒としてPtやRuなどの貴金属を使用するのでコストは高めです。
 
 また、燃料水素(改質ガス)に一酸化炭素が多量に混入すると電極触媒が劣化しますが、PEFCよりも
 運転温度が高いので、少々の一酸化炭素ならば問題ありません(~1%ぐらいまで)。
 ですから、天然ガスやバイオガス対応機の場合、PEFCと違い一酸化炭素除去器という反応器が
 不要になっています。

 PEFCがブームになるまでは、国内大手電機メーカーがこぞって開発していましたが
 コストダウンに成功しなかったため、現在は世界で2社しか手がけていません。
 富士電機が100kWコージェネレーション、UTCが200kW及び400kWコージェネレーションを販売中。
 
 商用機で唯一、6万時間もの運転時間を誇っているのは、今のところこのPAFCだけとなります。
 
 主要メーカー:富士電機
        United Technologies(アメリカ)


◆溶融炭酸塩形燃料電池 (MCFC)
 溶融した炭酸塩(炭酸リチウム等)を電解質として使用することからこの名が付いています。
 常温で固体の炭酸塩を溶融させなければならないので、運転温度も600℃以上と高いです。
 また発電効率もPEFC・PAFCよりも高いとされています。

 実は、このMCFCは、PEFCやPAFCとは若干原理が異なり、水素イオンの代わりに炭酸イオンが
 電解質中を移動して水素と反応します。
 (PEFCやPAFCは、水素イオンが電解質を移動して酸素と反応)
 また、詳細は省きますが、一酸化炭素を多量に含んだ水素(合成ガス等)でも発電が可能です。
 電極触媒には、貴金属等は使用しないのでコストを抑えられると見られています。

 さらに、炭酸イオンが水素と反応することから、アノードから排出されるガスには高濃度の
 二酸化炭素が含まれます。この性質を利用してCCS(CO2回収・貯蔵)の試みも行われています。
 
 良いこと尽くめと思われるこのMCFCですが、起動時間がかなり長く
 コールドスタートでは発電までに72時間ほどかかるとされています(聞いた話ですが)。

 主要メーカー:Fuel Cell Energy
 
  なお、上記のFuel Cell Energyの日本代理店は、丸紅系の日本燃料電池(株)ですが
  現在は、Webサイトが閉鎖されるなどその業務を急速に縮小している模様です。


◆固体酸化物形燃料電池 (SOFC)
 イオン伝導性セラミックスを電解質として使用することからこの名が付いています。
 運転温度は1000℃近くと高く、発電効率も高いとされています。
 また高温を利用してコンバインドサイクル化も可能でより高い効率が望まれています。

 こちらも、PEFCやPAFCとは作動原理が異なり、SOFCの場合は酸素が電子を受け取って
 酸素イオンとなり電解質中を移動して、水素と反応します。
 
 PAFCの開発が全盛の頃は、セラミックスの電解質が割れるなど開発に困難を極めていましたが
 現在はセラミックスの焼結技術が向上し実用化一歩手前まで来ています。

 1kWの家庭用からMW級の大型のものまで作れるとされており、PEFCによるエネファームの
 後継と見なされ、開発が続けられています。
 また、MCFCと同様に、触媒に貴金属を使用しないことから、大幅なコストダウンが期待されるタイプでもあります。

 主要メーカー:京セラ
        TOTO


以上、簡単に、主要な燃料電池についてご紹介してきました。
今後も折に触れて、最新の情報をご紹介していきます。

 次のエントリーからは、水素インフラと燃料電池自動車FCVの現状について触れていきたいと思います。