日刊工業新聞ビジネスリーダーズアカデミーのブログ -42ページ目

第10話 「明日破綻してもおかしくない!」

こんにちは
NBLA講師のホリコンこと堀内智彦です。


「大阪府株式会社」のバランスシート(平成18年3月31日現在)を再掲すると、


     借方(左側)           貸方(右側)
流動資産    740億円   :流動負債   2307億円
固定資産 5兆7423億円   :固定負債 5兆 179億円
投資等  1兆 257億円   :純資産  1兆5940億円
となります。

企業会計においては、「バランスシート」は、光と影でいうと「影=実態」です。

光は、そう「損益計算書」ですね。

何故か?損益計算書は、「収益-費用=利益」という風に利益を計算するものなのですが、この「利益」とは概念であって、利益を直接見ることができないのです。どうしてこのような不思議なことが起きるかというと、「収益の代表である売上」計上プロセスでみてみましょう。

会計制度には、発生主義の原則といって、取引が認識された時点で、帳簿に仕訳データが書き込まれます。

「お客様から注文を受けて、倉庫から出荷した。代金は一ヵ月後に回収予定」という取引が発生したときに、取引金額は分かりますから、これによって、売上という収益を認識すると同時に「売掛金」という債権が発生するのです。複式簿記ですから、仕訳で書くと、「(結果=)売掛金/(原因=)売上」となります。これを悪用すれば?お化粧(粉飾)できます。架空取引で伝票を起こし、さも出荷したように、「売掛金/売上」というデータを追加すれば、いくらでも増やせるわけです。費用についても同じようです。

誤解を恐れず言えば、私達がみている”光”はお化粧することができるものであるため、その損益計算は概念であって、収益と費用の評価(見解の相違)によって、操作ができるのです!

つまり、収益(認識で変わる)-費用(認識で変わる)=利益(目に見えない:差引で認識)だからこそ「バランスシート」に影としての実態があるかどうかを確認するしかありません!

 上の例だと、計上された「売掛金」残高は、バランスシートに載っています。「架空」だから回収されません。つまりずーっと残ります。それから、出荷するということは、在庫である商品残高や現物の出し入れなどの変化がなければなりません。

この「売掛金/売上」というデータは、バランスシート上では、「売掛金残高や商品残高」すなわち影として、投影されているはずです。その影が本当かどうか?実態があるかどうかを会計監査で、実地棚卸などで確認するわけですね。ですから、プロは損益計算書よりバランスシート(貸借対照表)を良く見るのですね!。このようなことから、「バランスシート」の分析は主に、会社の財産がきちんとあるか?そして負債(返済義務のある借入金など)がどの程度か?資産と負債の割合はどうか?など主に、安全性(会社が財務的に安定しているか?)の分析で使われます。


さて、前置きが長くなりました。

冒頭の「大阪府株式会社のバランスシート」は、このような監査をする以前に驚愕の事実?があります。

それは、安全性の分析で必ずみる「流動比率」と「当座比率」です。

流動比率=流動資産÷流動負債です。短期の支払能力で、債務である負債より、手持ち資産が多いのが当然(つまり最低100%以上)というか望ましいのです。
流動比率=740億円÷2,307億円=32.4%!
当座比率=25,747百万円÷2,307億円=11.2%!
(当座比率はさらに分子が現預金だけになり小さくなる。)

さて、中小企業では、例のサービス業で売上高5億円超のデータでは、「流動比率:161.4%」、「当座比率:125.0%」となっています。

 当然なのですが、流動負債(通常1年以内など短期に支払うべき債務)より、手持ちの資産とくに現預金が多くなければ、資金繰りがショートして即アウト!です。

 最近になって、原油価格やサブプライム問題などの影響が深刻化しており、とくに建設や不動産をはじめ、毎日のように経営破たんする企業の報道があります。先日も今年最大の倒産(負債総額2,558億円)がありましたが、私達中小零細企業はおろか大資本企業であっても、毎日倒産の恐怖と闘っているのです!。このように、「大阪府株式会社」はバランスシート上では経営破たん寸前なのに、なんで倒産?しないんでしょうか?普通なら、取り付け騒ぎ?が起きても不思議はないのに?

・・・あくまでも、「大阪府株式会社」という(架空の)民間企業の話ですからね。