今回は、前回記事「ユニバーサル(後のアルゼ)のピンボール」をご高覧くださったおにたまさんとCaitlynからいただいた貴重な追加情報です。お二方、いつもありがとうございます。
◆ユニバーサルのピンボール第一号機は「HARD ROCK」ではなかった
まず、レトロゲーム界隈のレジェンド(他にもインディーズゲームのパイオニアとかプログラミング言語開発とか何かとすごい)であるおにたまさんから、「HARD ROCKの前に『オリエンテーリング (ORIENTEERING)』が発表されている」とのご指摘をいただきました。
おにたまさんは、「オリエンテーリング」は1976年10月に開催された第14回アミューズメントマシンショウに試作品として出展されていたとおっしゃるので調べたところ、業界紙「ゲームマシン」1976年11月1日号の同ショウを報じる記事「各社出展内容一覧」において、ユニバーサルのブースの写真にオリエンテーリングの筐体が写っていました。ただし出展概要の文中では「試作機のフリッパー」と言うのみで、「オリエンテーリング」の名は述べていません。
▲「ゲームマシン」1976年11月1日号の記事「各社出展内容一覧」(P.17)より、ユニバーサルの出展内容を報じる部分。男性が寄りかかっているピンボール機が「オリエンテーリング」だが、「試作機のフリッパー」と言及するのみになっている。推奨サイズでなるべく大きく表示するために上下二分割している。
拙ブログではおなじみのカナダのCaitlynからも、彼女自身のブログ「外国人のためのエレメカアーケードゲームガイド」(ブログのタイトルで言っている「外国人」とは、「日本でない人」の意味)で「オリエンテーリング」のカラー画像を掲載していると教えてくれました。このブログは日本製のエレメカゲーム機を網羅することを目指しており、大変貴重な情報に溢れているので、この機会にぜひブックマークしておくことをお勧めします。
▲Caitlynのブログに掲載されている、「オリエンテーリング」のカラー画像。オリジナルは業界誌「アミューズメント産業」1977年2月号に出稿されたユニバーサルの広告と思われる。
この筐体画像を見ると、「オリエンテーリング」はスコア表示を7セグ(7セグメント)で行っているようです。これはSS機であれば然るべきことではありますが、やはり「CPU搭載」を謳っていた次作(HARD ROCK)及び次々作(HERCULES)のスコア表示をなぜEM機のようにリール式にしたのか、実に不思議です。
ユニバーサルは業界紙「ゲームマシン」の1977年1月1日号に同社の新製品を一挙に紹介する全面広告の中で(ゲームマシン紙では)初めて「オリエンテーリング」を「近日発売予定」として記載しました。
▲ゲームマシン紙1977年1月1日号に掲載されたユニバーサルの全面広告から、オリエンテーリングの部分(赤枠)。「近日発売予定」とある。
ユニバーサルはその後も月二回刊の「ゲームマシン」に1977年9月1日号まで17回に渡って「オリエンテーリング」を「近日発売予定」として記載し続けましたが、1977年9月15日号から記載されなくなり、そして10月5日に開催された第15回アミューズメントマシンショウで第二作目となるピンボール機「HARD ROCK」を出展しています。
ワタシは1977年いっぱいの「ゲームマシン」を調べましたが、「オリエンテーリング」を紹介する新製品情報記事はありませんでした。果たして「オリエンテーリング」は量産されたのでしょうか。なお、ワタシ自身は市場で見た覚えはありません。
◆ユニバーサル最後のピンボール「ASTEROID KILLER」
前回記事の最後で、「スコア表示をCRTで行っていた機種がHAREM CAT以外にもう一つあったように思うが確信が持てずモヤる(趣旨)」と述べていますが、それが「ASTEROID KILLER」であったことを、やはりおにたまさんとCaitlynから教えていただきました。おにたまさんは、「1979年のAMOAショー(米国で行われるAM業界の見本市)に出展され、Playmeter 1979/12に掲載されている」と教えてくださり、Caitlynも同様にこの機種について、自身のブログでPlaymeter誌の記事の画像とともに述べていると知らせてくれました。
▲Caitlynは米国の業界誌「Playmeter」誌に掲載されていた「ASTEROID KILLER」の二つの画像を編集して自身のブログにも掲載している。ここではその画像を再編集して、推奨サイズでなるべく大きく表示するために上下に二分割している。
Playmeter誌は「ASTEROID KILLER」についてやや長い評論(レーティング)を行っています。それは原則として好意的には見えるものの、どうもフリッパーが弱いらしく、狙ったところにボールを弾き返すのが難しいと複数個所で指摘しています。また、中にはアドバイスめいた意見もあり、発展途上の新興メーカーに対するピンボール先進国の優越感のようなものが若干感じられる気もします。
(プレイメーター誌による評価の抜粋とその超訳)
・このショーにおいてピンボールを展示したわずか2社の海外メーカーのうちの1社として、同社は海外の主流市場に明るい希望の光を投げかける。
・興味深いショットやプレイが楽しめるマシンだが、フリッパーの挙動やパワーに関してはやはり物足りなさが残る。プレイフィールド上部を狙うロングショットを打とうとすると、反応の鈍さも気になる。
・レイアウトは左右のバランスが良く魅力的だが、結局のところピンボールはフリッパーが命でありパワーがなければ他の要素も意味をなさない。
・特筆すべき細かい点としては、ボールが一時的に留まるスペースが設けられたキックバック・キッカー周辺(かつてピンボールマシンを見て回った際、ハリー・ウィリアムズが好んでいた仕様)や、プラスチックのオーバーレイが施された金属製プレイフィールドなどが挙げられる。
・日本の色彩感覚や色使いは確実に向上しており、本機は(見た目において)多くの国内モデル(注・米国製品のこと)と遜色ないレベルに達している。
・得点を稼ぐのが難しいのは、盤面に得点要素がないからではなく、フリッパーの性能上、狙ったエリアにボールを運ぶのが困難だから。もし別の種類のコイルを使っていたらこのゲームはどれほど素晴らしいものになっていたことか。
・フリッパーに根本的な問題を抱えている点が、この『アステロイド・キラー』の最大の弱点と言える。(そのため)ゲーム展開の大部分は下部のドロップターゲットやロトスピン(回転ターゲット)周辺での近距離のやり取りに終始してしまう。
・より大きな問題は、横方向へのボールの動きが乏しいことで、ボールの転がりやリバウンドの動きが全体的に鈍い。実際、このゲームは業務用として設置するよりも、個人で楽しむためのマシンとして家庭に置く方が向いている気がする。
・エクストラボールやスペシャルが発生すると、得点表示エリアがちょっとしたビデオゲーム画面に変わる。ユニバーサル社の開発陣が、小さな画面に踊るキャラクターを登場させるなど、興味深いグラフィックを組み込んでいる。見た目のインパクトは抜群かもしないが、動作の「もたつき(スローダウン)」がアーケードゲームとして許しがたい。
これらの評論の全文は、こちらから読むことができます(英語)。
ワタシにはこれらユニバーサル製ピンボール機をゲーセンで見たとはっきり言える記憶が無く、ひょっとしたら一つくらい新宿のゲーセンで見たことがあったかも知れないが定かではないと言う程度です。結局のところ、ユニバーサルのピンボール機は広く普及することはなかったように思います。
ユニバーサルはそれから程なくしてAM機器メーカーであることをやめてパチスロの開発に注力するようになり、AM業界に対しては海外のカジノ向けに開発したスロットマシンをメダルゲームとして供給するくらいに変化していきました。ユニバーサルが再びAM機器メーカーとして名乗りを上げるようになったのは、社名を「アルゼ」に変更し、sigmaやSNKを買収した2000年以降になってからでした。








































































