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すぐ調子に乗るしわがままで生意気な
末っ子の典型だった私は
一歩外へ出ると
たちまち閉じた貝のようになる。
（家で飼っていたチャウチャウ犬と・・・左が私）
幼稚園へ入園してもなかなか馴染めずに
何ヶ月も泣いていた。
みんなはすっかり慣れて駆けまわってるのに
いつまでも馴染めず、仲間に入れず
担任のようこ先生はいつも気にかけてくれた。
そして
クラス替えのある年長さんになった始業式の日。
もじもじして園へ着くと
「とこちゃん、また先生のクラスだよ！」
と笑顔で迎えてくれてとてもホッとした。
大人になってから知った話だが
自分のクラスに入れたい子を
ひとりだけ選べる制度があったそうで。
ようこ先生はそのひとりに
私を選んだそうな。
当時はそんなこと
誰も知らずにいたけれど、
お遊戯会では真ん中のポジション。
音楽会では目立つ楽器。
運動会の鼓笛でもひときわ目立つ
ものをあてがわれたりと
とても気に入られてるのは
子どもながら肌で感じていた。
私は運動や勉強は苦手だとしても
音感やリズム感はあったので
幼稚園時代には重宝する人材だ。
だから先生は私に一際良いポジションを
あてがってくれたのだ。
けれども
とこちゃんは自信がない。
折角の良いポジションなのに
「やりたくない」といって泣いていた。
ようこ先生は手書きの木琴を作ってくれて
「とこちゃんなら出来るよ！」
といっぱい応援してくれた。
母も嫌がる私に
「せっかく選ばれたんだから頑張ってみよう。」
と何度も励まし応援してくれた。
でも。
実を言うと
嫌がる私には自信がない以外にも理由があった。
クラスのある女の子に目をつけられてて
ちょっと怖かったのだ。
うちの母はとてもセンスがよく器用で
子どもにいつも可愛いものを着せていた。
だからみんな真っ白な上履きの中
私だけトマトの絵が描かれていたり。
みんな無地のスモックの中
私と兄だけ母の刺繍が施されていた。
それをいつも揶揄されるのだ。
「こんなの着たらいけないんだ！」
と指摘されてたけど
一生懸命に刺繍をしてくれてる母には
そんなことは到底言えるはずもなかった。
だから元々の自信のなさだけでなく
その子がやりたがっていた楽器を
自分がするなんて・・・とは誰にもいえず
心の中はとても戸惑っていた。
（幼稚園の頃）
とはいえ・・・
年長の中頃になると
仲良しの友達も増えてきて
だんだんと外の世界でも「自分」を出し始める。
その子とペアを組み
大好きなピンクレディを
みんなの前で歌って踊ると
先生たちは大笑いをして写真を撮る。
他のクラスの先生や子どもたちが
集まってきて
囲むようにして見ている。
時間を忘れるほど歌い続け
バスに乗り遅れたこともあったが
みんなが笑って注目してくれることが
なんだかとても気持ちよく感じた。
「注目される」「笑ってもらう」ことの楽しさを
初めて体感したのがこの時だった。
これも大人になってから聞いたことだが。
いつももじもじして自信なさげだけど
この子は手をかけ目立つ場所に立たせたら
きっと輝けるはず・・・
もっと前に出て欲しい・・・
それが、先生が私を選んだ理由だった。
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