「SARS-CoV-2 オミクロン変異体の
独自の発病メカニズムを解明:
細胞老化の選択的誘導」
概要
背景:
SARS-CoV-2 の変異種は、
スパイクタンパク質の立体構造に さまざまな変化を伴って、
絶えず出現しており、
その結果、ウイルスの侵入メカニズムが変化する。
オミクロン変異体だけが、エンドソームのクラスリン
(細胞小器官から細胞内への輸送に重要な役割を果たすタンパク質)
媒介侵入を使用する。
ここでは、細胞の早期老化に対する影響を研究するために、
定義された変化したスパイク形成の影響を調査する。
方法:
私たちの研究では、
SARS-CoV-2 変異型デルタ (B.1.617.2)
およびオミクロン (B.1.1.529) の in vitro 感染は、
ヒト初代小肺胞上皮細胞とヒトの体外肺スライスを使用して分析された。
私たちは、新型コロナウイルス感染症患者のヒト肺における細胞老化を確認した。
感染したヒト初代肺胞上皮細胞の全体的な遺伝子発現パターンが、
mRNA シーケンスによって同定された。
結果:
SARS-CoV-2 のオミクロン変異体のみが、
細胞周期遺伝子の発現に影響を及ぼし、
これはヒト初代肺細胞および、ヒト体外における p21
(ヒト6番染色体に位置する遺伝子にコードされるタンパク質)
発現の増加によって強調された。
さらに、上方制御された老化関連分泌表現型 (SASP) が検出された。
トランスクリプトームデータは、
オミクロン感染肺細胞における p16 (がん抑制タンパク質)
および p38
(細胞の分化、アポトーシス、オートファジーに関与するタンパク質)の
遺伝子発現の増加を示している。
結論:
ヒト初代肺胞上皮細胞における
さまざまな SARS-CoV-2 感染に起因する、
早期の老化に対する
全体的な影響を伴う
重大な変化が特定される可能性がある。
オミクロン感染細胞における細胞周期、
炎症およびインテグリン(細胞接着分子)関連経路の
上方制御を伴う実質的に異なる細胞応答は、細胞の早期老化を示す。
※オミクロン対応型の一価、二価ワクチンからも、影響があると思います。