神龍になにをお願いするか考えてたら「死」が思い浮かんだ
とある日のカルテに書いてあった 神龍にわざわざ願わなくても人間である限り忘れた頃に死ねるのに
死にたいと思うのを鍵付きのお部屋にしばりつけてまで繋ぎ止めておくのはどうしてだろう、生きたい人も死にたい人も、自由にしちゃいけないのだろうか、鍵付きで得られる安心なんて、死後の世界よりもつまらないと思うのだけれど。
たしかにあのひとが死んだらわたしはとても悲しい。あのひととここで出会ったのでなければ、よき友人になれたのではないかと思う。もしかしたらかりそめに愛し合ったかもしれないし。それはわからない。だから、確かに今死んだらもったいない。だけど、だからってお金払って薬で想いを消して、鍵付き小箱に入れられるなんて、それがあのひとに必要なのか、わからない。
妻がきらいで、おさな子もきらいで仕事もいやでいつもベッド上でスマホ弄ってた人は、 おなじ小箱に仲良しの女の子ができて みんなから影でやいやい責め立てられて 距離をおくようにたくさんの白衣からどやしつけられ
自殺した
あの鍵付き小箱での縛られながらの談笑が、かれにとっての最初で最後のオレンジデイズだったのだ。女の子は泣いた。吐いた。被ってた布を捨てて、自傷もやめた。
生きて息してんならその間じゅう、幸せな気持ちになったっていいよね?いいでしょ?自由でしょ?そうだよね?なのに、鍵付き小箱に入っていたせいで、おひめさまとキスをすることさえ、許されなかった。
この箱は、過剰になりすぎた脳の暴走をとめるためにあります。この箱で起きたことは、すべてフィクションであり妄想です。この箱は鍵がついており、一旦入ったら涎が流れて全身が硬直するまで、過敏な頭が不感症になるまで開けられません。
よくなるひともいる。わるくなるひともいる。力を尽くして。手を握るしかない。
でも本当に彼らが欲しいのは白衣ではなくハグであり、屹度たったひとりの自分を愛してくれるこいびとなのだろう。