あたしが教えた言葉を使って、君が遠くにとんでゆく。
想像した以上にそれはもやもやすることだった。
きっと、喜ばなきゃいけないんだろうけど。
いままで遠くの星のBGMとしてしか聞こえていなかった、楽しそうに声を響かせて笑ってる声と、私の胸元でわたしだけが聞いていた笑い声がイコールになる。そして君はわたしのそばを離れていて、わたしはわたしだけの部屋のなかでひとり隠れている。大王みたいな迫力の恥が、そこから出ようとすることをゆるさない。
わたしは変わらないまま。
それどころかどんどんおちていっている。
君はわたしを置いて悪気なくどんどん飛んでゆく。
どんどんわたしの知らない言葉をみにつけて。
砂鉄をまとった砂場の磁石みたいに。
気づいたらわたしがみたことのない君になっているんだ。