美津子と午後 | ぴいなつの頭ん中

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殻付き。そにっくなーすが言葉を地獄にかけてやる

わたしが2番目に愛してるのは、美津子。

顔もスタイルもファッションも普通以下の、目立ちもせず、好かれも嫌われもせず、またそれを求めない。でもとてもやさしい。

無関心に囲まれながら、無関心の波にのって、教えられた通り人を愛し、ただ愛し、愛し続ける。植物に水をあげるかのように。
無学な美津子がただひとつ教わったのは人の愛し方で、教えてくれたのは母の乳でも父の温(ぬく)みでもなく、磔の傷だらけ男だった。

美津子は自分に対して無頓着だ。飾ったりしない。飾ることにとくに面白みも感じないし、飾ったところで素敵になるほど上手に自分を飾れない。

自分に対して無頓着だから、傷つけられても、はねのけられても、捨てられても、信じ続ける。愛し続ける。かわいそうな美津子。
求められたら断らない。惜しまず自分を捧げてしまう。そんなにきれいでもないからだは、どんどん汚されてゆくけれど、美津子はそれをやめられない。心にいつの間にかたまっていった寂しさや無力感、浮遊感、自分のからだがちゃんとここにあって、見ず知らずの他人にも見えているということを、確かめるために。

かわいそうで美しくて、よごれた女、美津子。
化粧っ気のない黄色い顔には、紅をささずとも頬と唇のピンクが浮かんでいる。