綿毛いつからか 焦げついた肉のにおいがたちこめる質の見えなくなった御茶ノ水駅 地下道をつなぐ橋をつくってよ 底の見えない沈殿の巣窟 人々を惹きつける闇を通って あたしは電車を待つ 何もなかったふりをして 蝶々の幻覚と、天使の綿毛が手元をはしる死にゆくたましいの思い出なのか 白く浮かぶ 生きることを与えられた 天使の落とし物なのか かるく浮かぶ 手にすればちいさくつぶれ そっと掌で眠る 得た喜びよりも 儚い悲しさをうずめて