私のもっている知識も持っていない知識も総動員して作り上げた。
プランニング段階は、NHKさんとともにお仕事をさせていただき、実施施工レベルでは、大手の展示会社の元お仕事をし、引き渡した後も保守を閉館するまでの間、携わらせていただくことができた。
一つのプロジェクトの誕生から終了までを身を持って体験することが出来たことは、これから、大きなプロジェクトをする上で非常に役に立つリソースが入手することができたと思う。
普通の設備業者の立場では、考えが及ばない部分にまで考えを巡らせることが出来るようになったのは、このプロジェクトのおかげといえるだろう。
さて、この展示には、非常に深い意図がある。阪神淡路大震災では6,434名の方が亡くなり、行方不明者が3名、負傷は43,792名、家屋全壊104,906件。被害総額は10兆円規模であるという。物理的に壊れたものは、直せば新しくなる、今、神戸にいくと本当に地震があったのかと思えるほど活気に溢れている。ただ心の傷はそう簡単に直すことができない。この施設は、被害にあわれた人の心のケアーと、命の尊さを来場者に知ってもらうという意図があったのだ。
つまり、施設に訪れた人が、展示や映像やワークショップを通じて、人に対する思いやりの気持ち、感情の大切さを感じてもらうというコンセプトがあったのだ、私は当時、照明演出という立場でこのプロジェクトに関わったが、本来フォーカスするべき視線でこのプロジェクトを推進したのかと言われると恥ずかしくなる。ただ、プロジェクトがうまくいくように、問題は起らないように、クレームが出ないように、クライアントや、代理店、関係会社との関係にしかフォーカスが向いていなかった。
この施設は、兵庫県の小中高校の学校では必ず見学している。学校の教科書にもでていると聞いて感動したのを覚えている。震災が起ってから、今年で18年が経過した。この施設を社会見学でみた小学生ももう成人して社会の一員になっている。
そのときに一人の生徒がこの施設で、インスパイヤーされて、人の気持ちがわかり、社会のリーダーになる人が育ったとしたら・・・・。きっとすばらしい未来が訪れるに違い無いと思うのだ。
施設のコンセプトとは、施設の役割、つまり、アイデンティティを明確にすることにある。何のために施設は存在するのかという大きな目的でもある。
その目的を達成するために、どういう方法があるのかを創り出すことがデザインだと思っている。
もし、明確にその意図が施設を制作する各チームに伝わり、足場を組み立てる職人さんにもその意図が伝われば、行動の源である心に変化が生まれ、すばらしい、結果がもたらされるに違い無い。





