修羅場・正念場・土壇場 | 渡辺繁一のブログ

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演出の効果を設計する

昨日、仕事仲間と夕食をしました。
話しは修羅場の話し。
あんまり経験したくないけど、僕はこの経験がかなり多い?
人と比べた事が無いので多いか少ないかは解りませんが・・・

忘れもしない大阪の江坂の現場

某照明メーカーの依頼内容は
カラオケ用のステージがある演出照明の計画を考え欲しいという
ありきたりの提案内容だった。

メーカーと設計事務所を交えての打合せ
プランを出すと当然のごとくVE案をリクエストされる。
これが出来ないけどいいですね~
じゃここを削りましょう・・・
という具合で予算の調整ができていった。

プランとプレゼンシートを提出して、プレゼンに・・
某会社の会議室に、せいぜい4人ぐらいかなと思っていたら、結構大勢の人が
私の作ったプレゼンシートのカラーコピーを配布されていました。

その時気づいたのだが、体格の良い女性が。
ナンだろう~。
不思議?

プレゼンを始めていくにつれて空気が変わってくるのが読めてきた。
設計事務所とメーカーはカラオケが出来るステージと説明していたが、
実はニューハーフのショーパブと呼ばれる業種だった。

あわてて、プレゼンの内容が意に沿わないものである事を言及したあと、後日リベンジする旨を伝えた。

リベンジプランを出し、予算調整も終了、工事に着手した。


工事も終盤にさしかかった頃、オーナーの計らいで新地に飲み行くことになる。

向かった先は新地のニューハーフのショーパブ。
オーナーは豪快であった、会社の社員8人をつれて、3軒梯子、所要時間3時間30分。
遊興費100万成り~。

最後にドスのきいた声で・・・
「俺の店をこんな店に負けんようにしてくれよ~」
と言われてしまった。


どうしよう~。
正直言って今回プランした店の照明は、新地のどのお店についても劣るものだった。照明だけの力では無いことが解っていたが、印籠を渡されたも同然で、筋が通らぬ話しなので、こちらからもカウンターを打たねば。

翌日、同社の店舗プロデュース担当者に
今までのプランの経緯とオーナーが目指すものの違い。
今のままで進めれば、間違い無く問題になる事
を訴えた。
担当者の反応は
「おれは予算は無くてもできると信じている」
という回答だった。

今にして思えば、このときオーナーに直談判するべきだったのだが、下請けの立場、それ以上のリアクションは控えた。



そしてオープン3日前。


オーナーの秘書から電話があった。
いつもと違う窓口だった
「すぐ、来てくださいお店に」
電話を通じてでも、ただならぬ空気が伝わった。

店の扉を開けると重苦しい空気は流れてきた。
店のサイズは幅4メートル、奥行き15メートル。お店の奥に幅3メートル
奥行き3メートル程度のステージがある。

周りの席には、その会社の社員がほぼ全員、壁に列んだソファーに座っている。一斉に刺す様な視線を感じた。

奥のステージは真新しい、ドレープがかかっている、その横にお店のものではないソファーにふんぞり返ったオーナーが座っている。

ニューハーフの一人が口を開いた。

「これでは、ショーが出来ません。」

他の社員もこれになびくかのように
「照明がしょぼい」
「数がすくない」
と様々なご意見が・・・・

オーナー
「今すぐ、機材を持って帰ってくれ!」

その時、新地の後、担当者に言及したことを報告するが。

オーナーは担当者を一喝するだけだった。

僕が呆然とその場に立ちつくしていると。



「俺が今から新地の店に行って照明をしてくれた会社を紹介してもらって、その会社に俺が頭を下げて、俺の店の照明をしてもらかうら~」


「それまでに全部外しておけ!!」


「かかった費用は全部そっちもちやから~な!!!」

いきなり灰皿が飛んできた。



(この時どんな言葉を浴びせられたか、本人がパニック状態なので正確に描写できません)



その場に立ちつくす元気もなくなり、床に膝をついてしまった。

黙っていると

「おまえ3日寝るな!他の仕事も一切するな!金の事気にするな!」

「それかぁ機材を持って帰るかどっちやねん!」

「ちゃちゃと返事せんかい!」


(職業で893関係者のような感じでした)

「やらせてください、3日間寝ないで仕事します。」


とここではっきり答え出来るほど根性が座っていた訳では無かった、
おそらく蚊の泣くような声しか出なかったと思います。
(ここで、気分を損ねると大阪湾に沈められるんちゃうかと本気でおもいました。)

それから、3日、本当に一睡もせずに仕事した、24時間×3=
72時間、新規に機材を手配している時間が無い。舞台照明会社に電話
。照明会社からレンタルで取付る。後で新品に交換する方法とした。

文字通り、死に物狂いで仕事したと思います。
3日後、無事、引き渡しが完了。

オーナーからは

「よっしゃ!次は、うちの番や。」

泥のように眠るのでした。