新型コロナウイルスの3回目のワクチン接種を私は4月6日に受けた。今回の第7波でも発熱等の自覚症状はなく、検査も受けず、普通に暮らしてるが、今後、どうなることか。

まず世情について。

世界的な食糧危機回避の為、穀物輸出で合意していたロシアが、ウクライナの輸出施設を攻撃した。明らかに自国の穀物をより高く売るのが目的だろう。前にも書いたがロシアの卑劣な国民性の本領発揮といえる。ウクライナ侵攻が自国の防衛ではなく利益獲得目的で始めた侵略戦争であることの明確な証拠ともなる。

先月初旬に、安倍元首相が手製の銃で銃撃されて死亡するという事件が起きた。

犯人は武器マニアで、元首相に関連した宗教団体がらみの個人的な恨みによる犯行らしい。どんな人間でも様々な感情を持ちあわせているのが普通だが、誰にせよ、特定の個人を殺傷目的で攻撃する行為自体、許し難い蛮行と言える。

この宗教団体というのは、私が学生の頃は確か原理研の名前で呼ばれていた韓国に本部がある統一教会のことらしい。私も大学入学直後に原理研の信者に声を掛けられてその拠点を訪れたことがある。私一人で数人の信者を相手に口論したが、以前から、神なんてバカらしい、と考える私の思想と合わなくて主張は決裂。それ以後は何の接触もない。元首相もビデオメッセージを寄せた程度であくまで政治的活動の範囲内だったのだろう。

加えて手製の銃で殺人とは、日本も物騒な世の中になったものだ。

安倍元首相の業績について、大規模な金融緩和策であるアベノミクスを始める前に、リーマンショックや東日本大震災が発生。景気対策としては当時の米国のモノマネをしただけだが、当初のアベノミクスは景気回復に一定の効果があったといえよう。

ただその後も元首相は金融緩和策を続けた。企業は増えた利益を最初は内部留保として貯蓄したあと、その当時すでに上昇しつつあった株や不動産への投資に使った。これが官製バブルと呼ばれるバブル状態を引き起こした。さらに企業の有利になるよう改悪された労働関連法により非正規雇用が増加して労働者の平均賃金が低下。企業家や金持ちと労働者である一般庶民の間の所得格差を拡大する結果となった。企業家や金持ちはウハウハだろうが、庶民から見れば賃金低下と所得格差の拡大は明らかに失策だ。

企業側の発想からすれば、金融緩和策が永遠に続いても労働者の賃金を大幅に上げることなど、絶対にあり得ない。それは誰が考えても明白。本来、労働者の賃上げに使うべき利益の大半を、企業は内部留保や官製バブルへの投資として使っていることが如実にそれを証明している。官製バブルの発生自体がその証拠。

日銀総裁が金融緩和策を続ける目的は、労働者の賃金を上げる為と発言した。完全に的外れもいいとこで、真面目にそう思ってるとしたら総裁本人の常識を疑わざるを得ない。金融緩和策により発生した極端な円安が物価高騰を後押しし国民生活や企業活動を苦しめている。それなのに賃金上昇には殆ど効果がない政策をかたくなに続ける、まさに愚の骨頂だな。

結局、安倍政権の結果は半分成功で半分失敗と言えるが、異例の長期政権となったこと自体は評価すべきなのだろう。

その後継者である前首相と現首相は安倍政権の政策を継承しただけで、賃金低下と所得格差の是正に対しては何の政策も実行していない。

旧安倍政権を含む自民党は労働者よりも企業の利益を優先するのが本分で、だから企業から多額の政治献金を受け取れる。それが自民党の常識。

それなのに日本国民は自民党を支持し続けている。私は理解に苦しむが、他に政権を任せられる政党が存在しないという判断からだろうか。

あるいは国民の大半が貧乏人で金持ちとは雲泥の差があることに喜びを感じているとか。自分はどうせダメな人間で低賃金に甘んじるしかないとの自虐的な思考に陥っているのか。またはフリーターかニートか引きこもりか生活保護受給者で政治や給料には無関心なのかも。

普通に働いても生活が苦しければ、政治が悪いと思うのが当たり前なのではないか。

そしてその悪政の張本人が暗殺された安部元首相である。逆に言えば非正規雇用を増やして労働者の賃金を極端に下げてでも安部元首相は企業の収益を上げたかったのだ。それぐらい企業が大事。勿論、それでも殺されて当然とは思わない、殺人は極悪非道で論外。

ある新聞のネット記事によると、当時の安部首相が非正規雇用を増やした目的は、労働者の賃金を下げて国民の預貯金の総額を減らし、為替を円安に導くためだったらしい。円安にして輸出企業の利益を上げるのがねらい。はからずも、現在、非正規雇用の増加ではなく、金融緩和策により円安が極端に進んでいるが、輸出企業の利益が上がったというニュースは聞かない。主な企業は生産拠点の海外移転を進め、それを下請けの中小企業にも強制していたからだろう。海外で売る商品は海外で製造するのが世界的な常識。つまり当初の非正規雇用を増やす政策自体がすでに意味を失っていた。そして非正規雇用による低賃金という状況だけが、未来永劫、続くことになる。

時代の流れが見えずに短絡的で意味のない政策を国民を無視して実行した。労働者の賃金を下げたことにより大半の国民を悲惨な節約生活に追いやった。使えるお金が恒常的に減った状況は景気回復にとってマイナスの効果しかない。なんと自民党の政治は凡庸でお粗末で愚かなのだろう。その愚かな政治をあの安部元首相が率先して実行した。その辺をよく考えてほしい。

私はリタイヤ生活の偏屈ジジイで、もはや給料とは無縁だが、若い頃は、上昇志向とまではいかなくても、いい会社に入っていい給料をもらいたい、というぐらいの覇気があった方がいい。私もかつては、そうだった。

もっと日本の政治に対して怒りの感情を持てよ、といいたいが、羊のように従順な性格で、お上つまり会社の上司達や自民党に言われるがまま、自分で考えることもしない。そして低賃金で働き、月千円程度の節約に汲々としている。

これらをすべてを考えても、やはり日本は斜陽の国に違いない。

さて参院選の自民党大勝により、岸田首相の目指す政治の一部が明確になった。

自衛隊を短期間で大幅に軍備強化し憲法に明記することだ。確かにロシアや北朝鮮への対応や災害派遣等で自衛隊は絶対に必要な存在であって、米軍と同様に自衛隊も国民から尊敬されるべきだとは思う。しかし自衛隊の存在が大きくなり過ぎると、北方領土を武力で奪還しようという議論が発生する恐れがあり、戦前の日本の海外侵攻の時代に逆戻りする可能性が高くなる。

仮に憲法に自衛隊を明記するとしても、非常に慎重に行うべきであり、憲法第九条(戦争の放棄)の条文を変更することは絶対にしてはいけない。さらに自衛隊を海外に派遣する場合は、米国、韓国、台湾等の周辺各国政府の同意と協力が必須であることも明記すべきだ。

言うまでもなく、米国、日本、韓国、台湾等が政治的軍事的に結束することにより、ロシアや北朝鮮や中国のアジアでの軍事力の行使を思いとどまらせることが最高の目標であって、軍備は掛け捨ての保険になるのが一番、という趣旨でもある。

なお中国と台湾の平和的統一については、中国と台湾の両国が話し合って合意の上で解決する問題であり、その他の国が口を出すべきではない。それは韓国と北朝鮮の平和的統一についても同じだ。勿論、現状では、どちらも夢物語だが。

中国は経済の改革開放に続いて政治でも自由主義に舵を切ると米国は予想していたようだが、中国共産党は一党独裁を放棄する兆候が全くなく、結局、匙を投げた、というのが米国の本音らしい。それが米国と中国の最近の対立の主な背景。一時のジャパンパッシングから米国は大きく変化。私が思うに、米国の読みが甘い。中国は元々経済しか自由化する気がなかったはず。つまり中国は昔も今も不変。

ここから、私事雑感に移ろう。

前回の記事の最後で、実家の電気温水器が故障して、以前から故障していた2階のエアコン1台と一緒に買い替えたことを書いた。

単なる偶然だろうが、似たことは同時に起こるもので、自宅のガス給湯器も調子が悪くなった。自宅のガス給湯器は以前から水量を調節する弁の調子が悪くふろ自動機能がエラー終了する場合が多かった。だた弁の位置が正常に近い位置に戻ることもあるのか、たまにふろ自動機能が正常に動作する場合があった。

つまり以前から故障を抱えていたのだが、お湯そのものは正常な量が出るので買い替えずにそのまま使っていたが、先月の初めに故障の段階が一つ進んでお湯の出る量そのものが極端に減った。そこで仕方なく、自宅のガス給湯器も買い替えた。

ガス給湯器の買い替えを含む取替工事は、ネットで探した(株)キンライサーという会社に依頼したが、同等の製品を使い工事費込みで20万円だった。思ったより安かった。作業時間は3時間程度。

ガス給湯器の買い替えは、自宅では初めてだが、賃貸物件では既に何回か実施している。

この不動産の賃貸への投資については、私の性格や生き方が反映されているということも言えるので、この際、その辺を大まかにまとめておこう。

私は小さい頃からつき合いが苦手で一人で遊ぶのが好きな子供だった。実家は田舎の農家で、何の才能もなく、金持ちとか出世に対する欲望もなかった。ただ決して裕福とはいえない実家の様子を見ていて、将来は自分で生活費を稼ぐ必要がある、ことは十分理解していた。

生来、怠け者の性格だが、中学三年生の頃から人並に勉強するようになり、読書が趣味に変わって、物理や文学に興味を持った。記憶力が悪いので大学では記憶する量が少ない物理学を専攻した。就職では出身県の教員採用試験を受けて、筆記試験には通ったが実技と面接で不合格となった。

その時に私が考えたのは、人付き合いというか人間関係が苦手な性格だから、教員や営業や管理職には向かない、という事実だ。そこで当時大学に来ていた求人票を探すと、営業とソフトウェア関連の求人だけだった。仕方なくソフトウェア関連の会社に連絡して面接を受けさせてもらい、何とか派遣会社にもぐりこんだ。

大学ではコンピュータやソフトウェアの経験はゼロだったが、独学で勉強した甲斐があった。新聞の中途採用の記事に応募し、専門の筆記試験でいい成績がとれて、社会人2年目には電気メーカーのS社に転職できたから。

ただソフトウェア関連の仕事は若い人が主体。私も若い頃は問題なかったが、40歳を過ぎた頃から不安を感じるようになり、ソフトウェアの次はどんな方法で生活費を稼げばいいかを考えていた。

その結果、思いついたのが、不動産の賃貸で生活費を捻出するという方法だ。

私は、1999年秋から不動産の購入を始めて、まず中古マンション2部屋を手持ちの現金で購入した。2000年には新築と中古の各部屋と、現在の自宅であるマンションを住宅ローンを借りて購入。つまり2000年末には3つの住宅ローンをかかえていて、その後は可能な限り住宅ローンの一部繰り上げ返済を繰り返した。

当時、取引のあった不動産屋の事務所が東京駅八重洲口から歩いて30分程度の距離にあり、何度か購入手続きで通ったが、八重洲口界隈も以前のバブル崩壊の爪跡と思われる空き地が複数残っていた。その当時は中古マンションなど買い手があまりいなかったのだろう。現代の金融緩和策が引き起こした大都市近辺の不動産の官製バブルとは大きな違いで中古物件を3部屋購入できたのはラッキーだった。

2003年からS社はリストラを開始して、私もその2年目に対象となった。だた加算金の申請が可能で退職金と加算金でかなりの額の現金を入手でき、3つの住宅ローンをすべて完済できた。

2005年から2010年まで中小企業で働いて、その間、新築の2つのマンションを購入。

そのうちの一つは、この5年間で住宅ローンを完済できた。残る一つの住宅ローンは、返済用に確保していた現金を外貨債権に変えていたため、以前に書いたように、円安差益への課税を理由に満期前に売却するよう銀行と証券会社に説得されてしまうという失敗もしたが、次の外貨債権の満期の時点で住宅ローンが完済できそうな残金になっていたので、満期時の外貨を自分のパソコンで円に換金して、2018年に最後の住宅ローンを完済できた。

私が働いたのは大学を卒業した1980年から2010年までの約30年間。私のような変人でもソフトウェアの仕事だけで30年間働けたのは幸運だった。

ちなみに私が働いていた時代は、正社員で正規雇用が当たり前。契約社員や非正規雇用なんてリタイヤ直前の短期間やパートタイム等の例外的な存在。ましてやフルタイムで働く若者が非正規社員の対象にはなり得なかったはずだ。もし私が非正規雇用だったら、不動産の賃貸投資に乗りだすなど完全に不可能だった。

そして非正規雇用の対象を広げたことが、日本人の平均給料を韓国や中国の都市部より低くしてしまった根本的な原因だろう。

ここで官製バブルでの株や不動産への投資と私がやっている不動産の賃貸投資との違いを説明しておこう。

官製バブルでは株や不動産の売買を繰り返すことを目標とする。株や不動産を安く買い高く売って利ざやを稼ぐのだ。売買を繰り返す間にその価格が高くなるという仕組みで、株や不動産の実質的な価値を越えてバブル状態が発生する。

不動産の賃貸では賃貸料を手に入れることが目標だから、不動産の売買はしない、だから不動産の価格上昇にはつながらない。株だって売買の対象とはせずに、長く持ち続けてその配当金を利用するという手段もあり、この場合も株の価格上昇にはつながらない。それに賃貸料や配当金が目当てならその売買価格に意味はない。

つまり官製バブルの株や不動産への投資は一種のギャンブルといえて、そのギャンブルが全体的に損失を出すようになって、その結果、投資した資金が回収できない状況つまり不良債権が大量に発生すると、バブル崩壊と判断される。

私はギャンブルには興味ないので、官製バブルの株や不動産への投資をしないのは当然だ。

ついでに、なぜ私が不動産の賃貸投資を始められるような額の金を持っていたかも説明しておこう。

前にも書いたことがあるが、S社で働いていた若い頃、上司との雑談中に、自宅に帰って一人になるとホッとするんですよ、と私が言うと上司に、そういう性格ならお前は一生結婚できないだろうな、と切り返された。

この上司の指摘は実に正しかった。貧乏学生の頃から今に至るまで私はずっと独身の一人暮らしで、学生の頃と変わらない質素でシンプルな生活。出不精で普通免許さえ持っていない。だから積極的に貯蓄したとか、株で儲けたとか、宝くじに当選したとか、莫大な遺産を相続したとかは一切なかったにもかかわらず、自然とお金が残った。

この私の性格から、女性だけでなく出世にも全く縁がなかったが、S社では設計のプログラマーとして製品に含まれるソフトウエアを書く機会が多く、給料はわりとよかったのかもしれない。またS社をリストラ退職した際にもらった退職金と加算金にも助けられた。

さて、ガス給湯器の話に戻そう。

私の賃貸物件のうち、最も早くガス給湯器を買い替えたのは、一番古い中古購入の浦安の物件で、パソコンのOpenOffice表計算シートの記録によると、2012年。次は二番目に古い中古購入の横浜白楽の物件で2018年。最後は三番目に古い中古購入の埼玉東松山の物件で昨年2021年。やはり古い物件ほどガス給湯器を早く買い替えている。

ガス給湯器以外にも様々な修繕工事を行った。浦安の物件は浴室がユニットバスではなくタイル貼りだったようで、何度もタイル補修をした後、入居者が替わるタイミングで、浴室をユニットバスに変え、台所、床、壁、配管等の大規模修繕工事を実施した。2020年のことで費用は約347万円。東松山の物件も入居者が替わる際に、ガス給湯器買い替えと同時に床、台所等の工事も行い、合計費用は約121万円。

これらの修繕工事費は、確定申告(e-Tax)では期間15年の減価償却扱いで計上した。

お金は天下のまわりもの、という言葉がある。

1999年に私が不動産の賃貸投資を始める際に考えたことは、自分が働かなくても、自分の銀行口座に自動的にお金が入ってくる仕組みを作ろう、という発想だった。

怠け者の私に相応しい発想といえる。

私の銀行口座にお金が入ってきてお金が出ていく。その際に入ってくるお金よりも出ていくお金の方が少なければ、その差額を生活費として使える。

十分な額の差額が出るようにする、つまり銀行口座のキャッシュフローを改善する必要があって、その為に、最初に中古の物件2部屋を現金で購入したり住宅ローンの繰り上げ返済を行ったりした。また賃貸がつきやすいようガス給湯器の買い替えや修繕工事にお金をかけた。つまり不動産に投資することによりキャッシュフローを改善して生活費を確保してきた。

入金を増やす為には、まず出金を増やす。勿論、この出金とは投資のこと。

この私の不動産投資を、お金の流れという視点から考えてみよう。

不動産物件の購入は勿論だが、住宅ローンを借りても銀行や金融会社に毎月利子を払うので、お金が動く。動くお金は様々な人々にわたる生きた金である。修繕工事で支払う金も機材や資材のメーカーや修繕作業を請け負う業者にわたる。賃貸営業の契約をしている不動産屋には、契約の都度、広告料や更新料を支払い、毎月、集金代行料を天引きされるか、賃料保障となっている。つまりそれぞれ経費がかかる。

各マンションの管理費や固定資産税も、勿論、支払う。ちなみに昨年の固定資産税の総額は、6つの賃貸物件と自宅と実家を合わせて、49万円余りだった。

また確定申告により、所得税や地方税を毎年支払って、国や地方公共団体の財源に寄与できる。これらも動く生きた金だ。

私のような65歳の無職で無能なリタイヤ生活者でも税金を納めることが出来るのは、誇りであり喜びでもある。

勿論、日々使う生活費も、様々なお店や仲買人や生産者等にわたる生きた金だ。

官製バブルの株や不動産への投資も、お金の流れの視点で考えてみよう。

例として、ある企業の取締役を想定する。

その企業は長期にわたる金融緩和策によって十分に融資を受けており、企業の運転資金は十分に足りている。ところが日銀には金融緩和策の融資計画の目標額が設定されており、その目標額達成の為、銀行経由でさらなる融資を受けたと想定しよう。

取締役はその企業から給料を得ていて、その一部は生活費に使っているが、給料の余剰金は官製バブルの株や不動産への投資につかっていた。そこで余剰金と融資金さらには企業の内部留保も使って、株や不動産への投資を大幅に増やすことにした。

株や不動産の価格が取締役の見込み通りに上昇している間は、問題ない。証券会社や不動産投資会社には株や不動産の売買手数料が入り、売買利益には税金もかかる。

取締役の生活費と同様、株や不動産の価格が上昇している場合の売買投資も、お金が動く生きた金となっている。

ところが取締役の見込み違いで、株や不動産が予想ほどに上昇しなかったとしよう。この場合は、その株や不動産は塩漬け状態となり、売買手数料や税金が発生せず、お金は動かない。つまり死んだ金になってしまう。

つまり長期の金融緩和策は、動かない死んだ金を生み出す可能性が高い、といえる。

なお個人の貯蓄や企業の内部留保として貯まったお金も、使わなければ、動かない死んだ金でしかない。

結局、長期の金融緩和策は、企業家と金持ちの貯蓄や企業の内部留保は増えても、景気回復にはあまり効果がない、という結論になってしまう。

では景気回復に向けた政策は何かないのだろうか?

ただの思いつきに過ぎないが、私に一つアイデアがある。

消費税を価格に応じて下げるのだ。例えば、1万円以下の買い物なら消費税は以前と同じ10%だが、1万円以上10万円以下の買い物なら消費税は7%、10万円以上100万円以下の買い物なら消費税は5%、100万円以上の買い物なら消費税は3%とする。

新型コロナウイルス対策の一つに飲食や旅行に対する優待制度があったが、限定的な目的にしか使えなかった。この方法だと様々な場面で効果が期待できる。旅行や高価な外食は勿論、家電製品や自動車を購入する際にも効果がある。

金銭的に余裕がない人々にお金を使えといっても無理な相談だが、金銭的に余裕がある人々が様々な場面でお金を使いたくなるように工夫して、貯蓄ではなく積極的にお金を使ってもらうのがねらい。それによって動く生きた金の総額を増やして、景気回復につなげる。そしてそれが税収入の増加にもつながるはず。

この税率だと国民の所得格差が増大するのでは、という指摘も考えられる。一時的にはその場合もあるが、日本市場のお金の総額は同じだとすると、金持ちが手放すお金が増えると、金は天下のまわりもので、貧乏人にお金がまわってくる可能性が高くなる。つまり長期的には所得格差の是正に効果があるのではなかろうか。

勿論、労働者の所得を根本的に上げるためには、安倍政権が残した企業有利の労働関連法の悪法を、被雇用者の労働可能時間に制限があるとかの特殊な場合を除いて非正規雇用を原則違法と規定しなおし、労働者が有利になるように改正しなければならない。

ただ現代の日本にそんな法律改正を望み実行しうる政党は存在せず、それを後押しできる国民もいない。

自分の給料が低くて当然と考える自虐的な国民か政治に無関心な国民が大半を占める衆愚政治で、その上さらに長期の金融緩和策によって国民や中小企業や国家財政が多額の借金に依存する脆弱体質が加わっている。

これらを考えれても、やはり日本は国家的破綻をまつだけの斜陽の国、だといえる。