謹賀新年、今年もよろしくお願いします。

 

さて、本題に入って。

 

約1年前の2018年1月下旬に私が住んでいるマンションの管理組合の総会が開かれた。

 

その前年の2017年には私がマンションの管理組合の理事長を務めており、総会の際に時間をもらって、マンションの住人だけで30分程度話し合った。参加人数は10人ほどだったと思う。

 

以下は、その後、マンションの住人全てに配布した私の意見書だ。勿論、私の名前やマンション名等は伏せるか削除してある。

 

 

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                                                         2018年1月XX日

(マンション名) 第16期通常総会での意見要旨

                                          XXX号 私の名前(当時、理事長)

 

・数年前から不動産業界とマンション業界では修繕工事で売上と利益を伸ばすことが流行

 

(マンション名)と管理委託契約を結んでいる日本ハウズイングも、この流行に乗ったと思われる。おそらく経営トップの基本方針に含まれているだろう。

 

例:以前のタイル修繕工事…タイル落下事故防止の目的では通行人が通る建物前面だけで十分だったが、建物の全タイルを対象とし膨大な出費となった。

 

→ その費用の一部は借金(約1600万円)となり、修繕積立金から返済し続けている。日本ハウズイングの管理委託契約を打ち切る案も検討したが、日本ハウズイングからの借金の即時全額返済を求められる恐れがあり今回は見送った。だが今後の過剰な修繕工事を避けるため借金完済後に契約打ち切りが必要だ。

 

・次に日本ハウズイングは国交省のマンション修繕ガイドラインに従い修繕計画を提案

 

マンション修繕ガイドラインの全項目を実施すると多額の修繕積立金の値上げとなるので、第一段階としてその一部の項目のみの月額約4,000円の修繕積立金の値上げを提案されたが、今後、残りの項目を実施するために長期にわたり値上げを繰り返して、月額約8,000円から約12,000円、最悪約16,000円程度の値上げとなる可能性もある。

 

→ ガイドラインには法的拘束力はないので住民が修繕項目を厳選して必要最小限の項目のみを修繕する方針とし、修繕積立金の値上げをやめて多額の一括支払いも不要とする方法を採用することが可能である。

 

私個人はこの方法を選択したい。

→ ただし売却等の理由で修繕工事を希望する人の意見も確認する必要がある。

 

総会で話し合った結果、過剰な修繕工事を希望する人は皆無だった。もともと売買価格は築年数や専有部分の状態によって決まり、共有部分の影響は少ない。

 

修繕積立金は共有部分のみが対象。専有部分の修繕費用は各自で負担する必要があるので、共有部分の修繕費用は最小限にしたい。また管理費と修繕積立金の合計が3,4万円になると、固定資産税を含めて毎月4,5万円の出費となり、それだけで賃貸物件と大差がなくなる。つまり分譲マンションを買った意味がない。

 

また中古物件の売買契約書には管理費と修繕積立金の合計も記載されるので、売りたくなった場合も毎月3,4万円の固定出費という条件では買い手がつかないだろう。

 

今後、理事長を含む住民全員が、必要最小限の修繕工事のみ実施して修繕積立金の値上げと多額の一括支払いが不要となる方法を選択されることを希望する。

 

必要最小限の修繕工事とは、水漏れ、雨漏り、エレベーターや給水タンクの故障等、生活上困るもののみを対象とし、ひび割れやタイル剥落等の外見をよくする工事は一切含まない。

                                                           ― 以上。

 

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まず上記の私の意見要旨の補足説明をしよう。

 

私の名前や個人情報が載った違法な名簿が入手可能な為か、取引のない不動産業者から私によく電話がかかってくる。その中の一つ、5年ほど前のことだと思うが、ある不動産業者が電話の最初に世間話のつもりで、最近は修繕工事で儲けることが流行している、という話をしていた。

 

私は、物件のオーナーにとって修繕工事は金がかかるだけで儲かることはない、と思ったのだが、後にその真相がわかった。

 

やはり5年近く前に、私が横浜の白楽に持っているワンルームマンションの住人が退去して部屋のクリーニングと修繕工事をすることになったが、その修繕工事の見積もりを見て驚いた。なんと50万円を超える見積もりだった。以前からその不動産業者である㈱エイブルの白楽店と契約を結んでいて何度も賃貸営業や修繕工事等をまかせていたのだが、それまで修繕工事は10万円前後しかかからなかった。

 

見積もりをよく見ると、サッシの窓ガラスの二重化等の多額の費用がかかりそうな項目が多く盛り込まれていた。エイブルの白楽店に電話をかけ修繕工事の担当者に、費用がかかり過ぎて承認できない、という理由で二重化等の項目を省かせ、何とか20万円以内の見積もりに変更させた。

 

その際、「マンションのことならわかるんだ、作っているからわかるんだ、マンションのことならハセコー」というナレーションのテレビCMを思い出した。

 

このテレビCMは、マンションの修繕工事は長谷川工務店にお任せください、という意味だろう。このCMは何年も前から流れていたので、それぐらい修繕工事が売上と利益の大きな部分を占めているに違いない。

 

つまり建設業界や不動産業界、マンション業界等で修繕工事で儲けることが流行になっていたのだ。

 

2014年だったと思うが、私が住むマンションでタイルが1枚か2枚はがれ落ちて歩道に落下するという事態が起こった。勿論、歩行者に当たったわけではなく人身事故にはならなかったが、ここから日本ハウズイングの攻勢が始まり、当時の管理組合の理事長を説得してタイル剥落対策工事が着工された。

 

日本ハウズイングも修繕工事で儲けようという経営方針だったのだ。

 

マンションのまわりに組まれた足場には何カ所も日本ハウズイングの看板がついていた。それぐらい修繕工事に力を入れていた。

 

歩行者への落下事故防止が目的なら、歩道に面した建物前面の修繕工事で十分だが、建物の側面や背面、内部の廊下やベランダに至るまで全てのタイルを対象として、まずハンマーで叩いて内部に空洞があるかどうか確認し空洞が見つかったタイルは全てはがして付け替えるという徹底ぶりだった。

 

タイル剥落対策としては考えられる最大限の費用のかかる工事だった。

 

2014年から始まったタイル修繕工事は翌年の2015年まで続いた。

 

2017年1月の総会の際には毎月の修繕積立金の値上げが総会の議題にあがっており、私は総会に遅れて出席したので手を上げづらかったが、反対に投票した。

 

結果は否決。

 

私は通常、総会へは出席しないのだが、1年ごとの持ち回りでマンションの住人が理事長や幹事を担当することになっており、2017年は私の順番だった。2017年総会の最後に理事長や幹事を決める話し合いが持たれたが、その年の順番になっている4名のうち2名しか参加してなくて、もう1名は既に理事長を担当済みだったので、まだ理事長の経験がない私が2017年の理事長を引き受けた。

 

2017年のマンションの管理組合の理事会は3ヵ月に1回程の頻度で開かれた。その際に知ったのだが、マンションの住人24戸の一年の修繕積立金の合計は約270万円だという。マンションは2000年秋に入居が始まりタイル修繕工事まで全く修繕工事はなかったので2015年まで15年間修繕積立金が貯まっていたことになる。

 

だから単純計算で、270万円 x 15年 = 4050万円。約4000万円としよう。

 

しかし4000万円ではタイル修繕工事の費用としては不足だったようで、さらに借金をして2016年と2017年に200万円ずつ返済しているが、それでも2017年末で1600万円の借金が残っていた。

 

つまり2015年末時点での借金の額は、200万円 x 2 + 1600万円 = 2000万円。

 

結局、タイル修繕工事の総費用は、4000万円 + 2000万円 = 6000万円。

 

繰り返しになるがタイル落下事故防止が目的なら道路に面した建物前面だけで十分であり、それなら1/4以下の費用ですんだはずだが、修繕工事で儲けたかった日本ハウズイングは可能な限り最大限の工事を実施し、当時の修繕積立金だけでは飽き足らず借金までさせて売上と利益を稼いだ。

 

次に日本ハウズイングは理事会の中で国交省のマンション修繕ガイドラインを持ち出して、修繕積立金の値上げを提案してきた。その際、ガイドラインの修繕項目を全て実施すると16,000円程度の値上げが必要だが、とりあえず数項目だけの実施にとどめるので4,000円修繕積立金を値上げしたい、と言ってきた。

 

最初から私は修繕積立金の値上げには反対で、生活上困る項目があれが仕方ないが、見栄えをよくする修繕工事は全てやめて修繕積立金の値上げはしたくない、と主張した。

 

マンションは建物単位で保険に入っており、水漏れや雨漏り等はある程度なら保険が修理代金を支払ってくれる体制になっている。仮にエレベーターや給水タンクの故障が発生しても修繕積立金の値上げをせずに対応できるはずだ。

 

あくまでも修繕積立金の値上げをし見栄えを改善する大規模修繕工事を実施したい日本ハウズイングは、住民に対して修繕積立金値上げに関するアンケートを取った。

 

そのアンケートはマンション修繕ガイドラインに沿った修繕工事が必須でありその修繕工事を実施する為に修繕積立金を値上げするか一括の修繕費用を支払うかどちらを選択しますか?という内容だった。

 

私はどちらも行わず見栄えをよくする修繕工事は必要ないと回答したが、多くの人が一括の修繕費用支払いを避ける方を選択したのは明らか。

 

理事会でそのアンケート結果を示されても私は修繕積立金の値上げ反対の意見は変えなかったので、日本ハウズイングは翌2018年1月の総会で議題としてあげる予定だった修繕積立金の値上げの議題を直前に取り下げた。私が総会で反対に投票して否決されることが確実だったからだ。

 

そもそも国交省のマンション修繕ガイドラインとは何なのか?

 

多くの修繕項目があるが保険で補償されるような生活上必須な項目よりも見た目や資産価値を維持するような項目が多く大半を占めているようだ。やはり修繕工事を奨励するような内容で、建設業界や不動産業界等に有利なように策定されているとしか思えない。

 

政府・自民党の内需拡大策の一つなのだろうが、内需拡大と言えば聞こえはいいが、実際は国民に金を使わせて企業の売上と利益を増やそうというのが主眼だろう。

 

自民党は、基本的に企業よりの政党だから、仕方ない。

 

私が持っている戸越銀座のワンルームマンションも管理は日本ハウズイングが行っている。そこでも日本ハウズイングは修繕工事で儲けることにご執心で、昨年秋には借金をして修繕工事を行う資金を調達するという議題を通した。共有部分の見栄えを改善する修繕工事を行わなければ資産価値が低下しますよ、という手法で説得。

 

私は反対に投票したが、多勢に無勢で総会で可決されてしまった。

 

自宅マンションの修繕積立金の値上げにしても、私一人が反対してもいずれ値上げの議題が可決されてしまうだろう。

 

そこで昨年2018年1月の総会の後で、私の意見要旨を書いた紙をマンション各戸のドアの郵便受けに入れたのだが、あまり期待は持てない。

 

なお東京オリンピック前の民泊ブームのせいか、中古ワンルームを買いたいという電話も多い。その中には修繕費用に200万円請求されたとか耐震工事に一棟で3億円かかるとかいう話題で売らせようとする業者もあり、修繕工事の隆盛を感じさせる。

 

誇張された情報を使った詐欺まがいの営業活動でもあり、まさに魑魅魍魎の世界。

私はその手の電話は着信拒否に設定し、相手にしないことにしている。

 

見知らぬ不快な営業の電話を受けるたびに、私の人間嫌いが進むので。

 

さて、私が持っている他の部屋の例も紹介しよう。

 

新小岩のワンルームマンションは最も新しい物件であり、今まで修繕工事はなかったし今のところ予定もない。

 

新横浜のホームタイプマンションの管理会社は㈱東急コミュニティーで、ここでも今年から見栄えをよくする大規模修繕工事を行うようで、数年前には修繕積立金を5000円値上げした。値上げ前は管理費と修繕積立金を合わせて15,000円程度だったので2万円なら普通。東急コミュニティーも日本ハウズイングと同じで、修繕工事で儲けようという経営方針なのだろう。

 

浦安にあるホームタイプマンションは、確か日本ハウズイングから他の管理会社に代わったと思うが、ここは過去に水回りや玄関等の必要と思われる修繕工事は共有部分だけでなく各戸の専有部分も含めて実施してきた。やろうと思えば専有部分の修繕工事も修繕積立金で出来るんだと初めて知った。ここの私の部屋から水漏れが起きたことがあったが、その対策費用の一部は保険でカバーできて(配管の修理は保険で床や壁等の内装は私の負担で下の階の修繕は保険)、下の階の部屋の住人と示談書類も交わした。ここの管理組合はしっかりしている。

 

埼玉の東松山にあるホームタイプマンションの管理組合も同様で、何とここは管理会社を使っていない。そのため管理費と修繕積立金の合計は私の部屋で16,100円。理事会や総会のたびに管理会社の職員は損益計算表のようなわかりづらい書類を作成配付していかにも仕事をしてますという顔をしているが、この例をみるとそんな書類はたいして意味がないことがよくわかる。このマンションも建物全体で雨漏りが多発している状況で、今年大規模な雨漏り対策工事を実施する予定だが、修繕積立金は増額せずにすませるという。

 

ちなみに管理費と修繕積立金の合計は私の自宅マンションが2万1千円台で私が持つ他の6部屋と比べても一番高い。これは最初からそうで、都心から離れており、賃貸向きでないので販売会社が独身男性に販売ターゲットを絞ったからだ。その為に、管理組合に対する関心や意識が低いと管理会社が判断し最初から高めに設定したのだろう。

 

管理会社はそのマンションの住民の性質を非常によく理解し売上増につなげている。

 

関心が薄い住民たちは従順で管理会社のいいなりだから、最大限のタイル修繕工事や修繕積立金の段階的値上げも可能だと考えたに違いない。つまり私の自宅マンションは日本ハウズイングにとってまさにドル箱なのだ。

 

ただ私一人だけが反抗的な異端者。昔から私は常にひねくれ者の悪役なので。

 

浦安も修繕積立金の値上げの予定はない。修繕積立金の値上げをしないこの二つのマンションには共通点がある。私の自宅マンションよりも古い建物で、住人の多くが年金生活者だろうと思われる点だ。年金生活では収入が限られるので金銭的余裕がない。

 

例えば、修繕積立金を値上げして一月の管理費と修繕積立金の合計が3万円を超えたと仮定しよう。すると1年で40万円近くかかり固定資産税と合わせて50万円程度となる。さらに管理会社の主導なら、月3万まで値上げすると月4万まで上がるのはすぐだろう。

 

私の場合、昨年夏にダウンロードしたねんきん定期便によると厚生年金と基礎年金を合わせても年に170万円(65歳から)。ここから50万円を引かれるとキツイ。

 

以前にも書いたように私は厚生年金に28年余りしか加入していないので、多くの人は私より年金が多いとは思うが、それでも毎年50万円かかるのは困るだろう。

 

自宅マンションを売却しようと思っても、中古マンションは安さが売りなのに毎年50万円かかるとなると、容易には売れないことが予想される。

 

ではどうするか?違法ではあるが対策がないでもない。それは夜逃げだ。

 

管理費と修繕積立金は銀行の口座から引き落とされるから、年金の受け取り口座を別にして管理費と修繕積立金が引き落とされる口座の残金をぜロにしておく。次に引っ越すのだが、私の実家がある兵庫県北部の田舎では、狭い土地付き一戸建ての中古物件は50万円もあれば購入可能らしい。管理会社に毎年50万円を支払うよりも田舎のそんな物件を買った方がいいのは確か。田舎は固定資産税も安く1年で2万円以下だろう。

 

夜逃げは冗談だが、固定資産に関する費用がやすい田舎は年金生活を考える上での魅力的な選択肢の一つではある。

 

勿論、日本ハウズイングや東急コミュニティーが修繕工事で儲けることに奔走しているといっても、合法で法律的には問題ない。ただ修繕積立金は本来住民がお金を出しあった住民共有のもののはず、それが管理会社の都合のいいように使えるよう誘導されるというのは、常識から考えても正常な状態とはいえない。

 

そして管理会社の誘導を可能となる直接の原因かつ最大の問題点は、マンションの住人たちの修繕積立金に対する関心のなさであり意識が低すぎる点にある。やはりマンションの住人の各々が、その共有資金である修繕積立金がどう扱われているかという認識をしっかり持っておく必要がある。将来、年金生活になった時に困るのはそのマンションの住民たち自身なのだから。

 

昨年末、東松山から書類が届いた。自分達だけで雨漏りの大規模修繕工事の管理を行うのは難しいようで、管理会社と契約する予定だという。既に見積もりをとったらしいが管理費の値上げは必至。年金生活者が大半の状況で値上げがどこまで可能なのか注目したい。