リコピンと心血管疾患

アメリカの農務省データでは、スイカのリコピン含量はトマトの1.4倍あると報告していますが、同様な試験をタイの大学でも行っています。

タイの研究では、トマト、スイカ、ジャックフルーツ、バナナ、ブドウ、オレンジ及びパパイヤに含まれるリコピンを分析し、それぞれ104.6、144.2、4.1、31.1、10.02、13.1、45.3 mg/kg となりました。

ここでも、リコピン含量が最も多かったのはスイカで、トマトの約1.4倍あることが明らかとなりました。

 

アメリカの臨床栄養学ジャーナルには、免疫機能に関係するマクロファージ細胞株にリコピンを添加すると、コレステロール合成が減少することが示されました。

リコピンの細胞試験では、コレステロール合成が 73% 減少し、これは β-カロチンで達成されたものよりも大きくなりました。

また、リコピンは、細胞自体のLDL(悪玉コレステロール)分解を34%増加させました。

人間のテストでは、6人の男性に60mgのリコピン/日を3か月間与えました(トマト1kgのリコピンの量にほぼ相当)。

すると、HDLコレステロールに有意な変化がないのに、血漿LDLコレステロールが14%減少していることを発見しました。

コレステロールの低下と心筋梗塞のリスクの減少の間には3:1の比率があるという計算に基づいて、この量のリコピンを定期的に摂取する人のリスクが30〜40%減少すると予想されます。

脂肪組織生検でリコピン濃度が最も高い男性は、脂肪リコピン濃度が最も低い男性と比較した場合、心筋梗塞のリスクが 48% 減少し、リコピン濃度が増加するごとに、心筋梗塞のリスクが大幅に減少しました。

このようにスイカに豊富な赤色色素のリコピンには、LDLコレステロールを減少させ、心筋梗塞のリスクを減少させる効果あることがわかります。

 

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