種なしスイカの市場
複雑な仕組みでできる種なしスイカですが、日本では栽培効率がよくないのであまり多く栽培されていないのが現状です。北米やヨーロッパでは、一時期スイカの消費量が減少しましたが、これはひと前でスイカの種を出すことが嫌がられ、特に子供にとっては種を出すことがむつかしいためでした。そこで、種なしスイカを生産してみると消費量が戻り、以前より拡大していきました。現在では、種なしスイカの割合はスイカ全体の85%以上になっています。日本で開発された種なしスイカの技術ですが、世界中で評価されてこれまで以上に美味しい種なしスイカがつぎつぎと開発されています。
以前、スペインの種苗会社の人とお話したことがありますが、スペインでもやはり種なしスイカの市場は多く、スイカ全体の70%近くあるようです。しかし、イタリアでの種なしスイカの割合はまだ少なく、種ありスイカの方が多いとのことでした。日本でも種なしスイカの割合はとても少ないと伝えると、恐らくイタリアも日本も海に囲まれている地域が多く、魚をたくさん食べるためではないかという話になりました。魚を食べる際に小骨を出さなければならないので、小さいころから自然に舌の訓練をしていることになり、感覚が研ぎ澄まされているので、種を出すことに苦労しないのであろうということになりました。これは、まだまだ種の有るスイカの方が美味しいといういう裏返しで、種なしスイカの品種改良にはまだ多くの可能性があります。
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