軽トラ一台とプレハブ小屋からスタートしたのが、俺の最初の起業、『家の医者』。
23歳の時だった。
なぜその仕事を選んだかというと、
19歳のとき、電車の中で、名前も知らないおじいさんとの出会いがあったから。
俺はそのおじいさんのことを
“高田馬場のじいちゃん”
と呼んで、辛いときや悩んだときに思い出している。
山手線の満員電車の中、いきなり人ごみをかき分けてきて、俺の前に立って、
「手見せろ!」
って言うおじいさん。
てっきり何かの営業かと思ったよ。
でも一方で、
『なんだこの状況は、面白いぞ』
とも思ったんだよね。
それで手を見せたら、
「やっぱりそうか。あんたを探してた」って。
占いみたいで、ものすごく怪しい…。
『これだから東京はやだよ』
って思った。
つづく。