お盆を過ぎたとはいえ8月。
まだまだ沢山の人がいる太郎小屋。夕食も朝食も2回に分けられていた。
生野菜とかフルーツがお皿に載っているご飯、ありがたい。
5時、朝食。6時過ぎ、出発。
今日の行動時間はおおよそ6時間。
そして噂に聞いていた薬師沢からの「急登」が。
ただ長いだけなら特に何の不安もないのだけど、この登りがちょっと気にはなっていた。
でも今回行くにあたって、ひとつだけ心に決めていたことがあった。
それは「どんな状況でも楽しむ」こと。
たとえ雨でも。
視界が真っ白で何も見えなくても。
花なんか咲いてなくても(時期は本来ならもう咲き終わり)
どんなに急な登りでも。下りで足ががくがくでも。
いつも楽しんで歩けたらいいな、と。
だって家族の了承も得られていて、こんなに長い日数、大好きな山の中にいられる。
とにかく元気で下ることができれば、その日まで楽しもうと。
で。
18日、朝。うす曇り。気温はそれほど高くもなく歩きやすそう。
急登があるのでありがたいかも。
今年はコバイケイソウとバイケイソウの当たり年らしい。
この白いのはコバイケイソウ。
数年に一度しか咲かないコバイケイソウ、
周期は違うがこれも毎年咲くわけではないバイケイソウが、
それこそ一斉に咲き誇った年なのだとか。
コバイケイソウを見ていると、自分が段々ムーミン谷にいる気分になってくる…(笑)
とにかくあちらでもこちらでも咲き乱れていたので。
…笑。いやほんと。
歩いているうちに曇りがちだった空がどんどん晴れてゆく。
光射す。
昨日汗水流して登った高さを、どんどん下ってゆく。
「もったいないね~」なんて笑いながら。
いきなり朝一の下り、体が目覚めていないとちょっと足にくるな。
でも楽しい。
早朝の出発は、植物たちがとても瑞々しく美しい。
それだけで幸せな気持ちになる。
朝露に濡れる。
薬師沢少し手前にて。
キヌガサソウ。
この花は存在感が抜群。
立ち止って片っ端から撮影したい衝動…に駆られるも、縦走だし一人ではないので
歩きながら一瞬立ち止まる程度。
■お花だけ、後日別のブログにてアップします■
薬師沢小屋到着。
雲ノ平は水場に行くのに往復で40分程度かかるので(テント場ならすぐ)
ここでお水を汲んでゆく。
雲ノ平は、飲み水が水道から出ないため、飲料水は基本自分で。
売ってはくれるけれど…スタッフが水汲みに行くところとかを見ると言えないな。
途中で飲む分、今夜小屋で使う分。
ガイドさん…とずっと書くのもあれなので、Gちゃんと記します。
常連さんからはいつもニックネームで呼ばれてます。ちゃんづけですが男性。
ここでGちゃんがおもむろに「皆さまに残念なお知らせがあります」と。
なになに?皆がざわざわ。小屋が混んでるのはまあ仕方ないけれど。
「雲ノ平ではビールが売り切れで、ありません」
「えええーーー!!」
何しに行ってるんだとか言わないで下さい。
「ここで今夜の分を買って、水と一緒にかついでください」
お盆で想像以上に売れ、ビールの在庫がなくなってしまったとか。
薬師沢ではおひとりさま一本までの本数制限もあった。
わたしが行った時は350しかなかった。一番に買った方は500mlもあった(笑)
ま、迷っていたので350mlを1缶で十分。
後日聞いたことによると、この後間もなく薬師沢も売り切れてしまったらしい。
太郎小屋のお弁当。ちらしずし。形や程よい酸味がとても食べやすくて美味しかった。
急登前に腹ごしらえ。半分ほど食べて、残りは庭園でのお楽しみ。
黒部川。
これが下流に行くに従ってどんどん大きな流れになり最後には黒部ダムへと。
沢登りをしている人がいた。このあたりはメッカだそうだ。
流れがこの位なら楽しそうなのだけど。(沢歩き大好き)
さて、水とビールを持ち、ストックをしまってから身支度を整えていざ雲ノ平へ。
ゆらゆら揺れるつり橋を渡ってからいくつかの梯子を登り、
ガンバレって書いてあるよ。ガンバルよ。
このほかにも「直登」と書いてある看板も。最初は本当に直登という感じだ。
雲ノ平は、太郎平と標高差はそれほどない。
直線距離なら距離的にも近い。
が、なぜ大変なのかというと…
太郎平、標高2330m。そこから1920mの薬師沢へ下る。
そして薬師沢からアラスカ庭園(2464m)のあたりまでが
地図だとほんのわずかな距離なのに、コースタイム2時間となっている。
どんな感じの登りかというと。
このような感じの石(岩?)だらけのルートを登ってゆく。
まさしく、歩くじゃなくて「登る」。
登りながら、どんどん心が無になっていくのを感じた。
初めての経験。
確かに多少きつい登りだけれど、それを上回る感情。
ランナーズハイという言葉があるけれど、おそらくそれに近いものなのだろう。
静かに奥深く潜ってゆく自分の心。生まれて初めての不思議な気持ち。
薬師岳が近くなった。
登る。つかむ。歩く。
そして。
急登、終わり!
青空と、ハイマツと、木々。
少し進むと奥日本庭園。ここでお昼。
さっきのちらしずしに、フリーズドライのお味噌汁。山で食べるご飯は本当に美味しい。
温かい飲み物が登り終えた後の体に沁みる。
お花はさすがにそろそろ終わりか、という感じ。まあお盆過ぎ。期待はしていないけれども。
三俣蓮華が見える。ここは4日目に行く予定。雪渓と緑の稜線が美しい。
アラスカ庭園と奥日本庭園を通り過ぎ、いざ山小屋へ。
目の前に水晶岳がその稜線をくっきりと見せてくれている。
なだらかな台地が歩きやすく、空と風がほんとうに心地よい。
遠くに特徴のある屋根が!
いよいよ、雲ノ平!
もうすぐ山荘につく。
ほんの数年前に綺麗になったばかり。
中は木の香りのする明るい雰囲気で「山小屋」ではなくまさしく「山荘」。
もうすぐ満月。
空にぽっかり浮かんだ月。
「お疲れさまでした!」
この日、雲ノ平は快晴。そして山荘はとても空いていた。
お盆翌週ということもあるのだろうか、空いている部屋もあった。
わたしたちは一部屋をまるまる使わせていただけた。もちろんお布団も一人一枚。
汗を拭いて着替えをし、本日の乾杯タイム。
雲ノ平山荘のデッキを貸し切り状態で!なんという贅沢。
目の前には水晶岳。右には祖父岳。
太陽の光を受けて伸びる山荘の影。
後ろに目をやれば沈みゆく太陽。
言葉はいらない。
ため息。
乾杯タイムが終わり、ストレッチの後は夕食。
なんと石狩鍋!こんなところでお鍋っ!
汁もの、とても食べやすかった。3杯も食べてしまった。満足。
夕食の時間に宿のご主人のご挨拶。石狩鍋についての説明。
そしてビールのおわび(笑)
今年、テント場を利用する人がとんでもない数だったらしい。
確かにテン泊の装備の人はかなり多い印象だったが。
多い時で雲ノ平のテント場、200張近いテントが張られていたそうだ。
そんな人も買いに来る。暑い暑い夏のお盆のシーズンの冷たいビール。
…多目に仕入れてはいたらしいけれど、とにかく数日前に売り切れ。
次の荷揚げは水曜日…(本日は日曜日)
たしかに悲鳴に似た声が、新たな登山者が来るたびに聞こえていた(笑)
わたしたちは幸いGちゃんのおかげでビールにはありつけた、わけだけど。
このあたりで少々嫌な予感…三俣にビールはあるのか?(だから何をしにとか聞かないで)
ビールは無いけど日本酒はある。
というわけで。
夕食の後、食堂で日本酒を飲みながらみんなでおしゃべりタイム。
ツアー参加の方たちとも歩くうちにどんどん親しくなり、打ち解けて話もお酒も進む。
少人数のツアーだし、ほぼ常連さんなのでどこかで繋がりもあったりしているわけで。
そして。酔いざましも兼ねて
消灯までの時間、外にみんなで出て星を見る。
すっ、と尾を引く流れ星が見えたり!
北斗七星や。
まんまるな月。
月明かりに照らされる水晶岳と祖父岳。
少しずつ姿を現す笠ヶ岳。
夜の写真は難しくて撮れず。。次行く時にはしっかり準備をしたいところ。
ここ雲ノ平で経験したのは。
天気の良い最後の夜だった…(涙)
いやでも、ここが見たかったからさ。
うん。まあね。
いいんだけどね。






















