梅切らぬバカ【邦画】
2021年作品
ドキュメンタリー風の作品
54年ぶりの主演映画に、この障がい者作品に出演した
加賀まりこに、脱帽でした。
知的障がいと自閉症を併せ持つ、ちゅうさん50歳を、塚地武雅が演じる。
旦那と離婚し、女一人で育て、支援し、寄り添って暮らす後期高齢者であろう母に、加賀まりこ。
二人の演技は、自然で、違和感なく、ほっこりした。
8050問題を、障がい者親子の視点で描いているけど、
健常者だけの家族でも、他人事ではないのですよ。
これからますます増える案件です。
健常者の8050問題は、AIにでも聞いてもらって・・・。
さてこの作品。
4つの視点で見る事が出来、それぞれの立場が描かれている。
・ 障がい者の息子を持つ、母。
・ 家を買ったら、お隣に障がい者がいる家だった
・ 地域に障がい者がいることを受け付けない 住民。グループホーム反対派の人だちね。
たいていは、自分はこのケースにならないと、俯瞰で見るだろう。だけど、どこかで、起こっていることなのです。
グループホーム反対派の住民も、この作品では、行動に起こしているけれど、何もできずに、ただ悶々としている人がほどんとだろう。
ただ、健常者の8050問題にしても、やはり最後は、ご近所さんとの関りなんだと思う。社会的孤立を生まない環境が大事なんだと、対立しているのは、目をそらしていないという事。そしてよく見ているという事。裏を返せば、そういうことなんだろうな。
物語りと感想
山田珠子(加賀まりこ)と山田忠男(塚地武雅)こと ちゅうさんは、静かに暮らしていた。毎日のルーティンを守り、作業所で箱折りをしている。
二人の日常を描いてるいのだが、大変だなぁ。
箱折りは、内職とかでもあったけど、とっても安価なのに、
面倒に仕事だよね。
隣の家に越してきたのは、里村茂(渡辺いっけい)と里村英子(森口瑤子)夫婦。夫は、隣のちゅうさんたちを毛嫌いする。
家を買う前に、周辺調査はすべきよね。
家事とか嫌なことは妻に押し付ける、嫌な旦那でした。
でも、これが普通だと思うのは、昭和生まれだからでしょうかね。
まっさきに、ちゅうさんと仲良くなったのは 息子の里村草太(斎藤汰鷹)。
子供の心は、柔軟。
50歳の支援が必要な息子と、高齢の母は、事業所の大津進(林家正蔵)のススメで、グループホームに入ることにした。
息子がホームに入り、満喫するどころか、寂しくて体調悪くなる 山田珠子(加賀まりこ)。隣の息子、草太はゴミだしを手伝うようになる。
あの父親から、どうしてこんなにいい息子に育つのだろうかといい意味で、疑問。
グルーフホームから無断で外出したちゅうさんを、草太は乗馬クラブに忍び込みちゅうさんの好きな馬と触れ合わせる。大人に見つかり、草太は逃げ出す。ちゅうさんは、そのまま拘束され、馬は脱走して地域住民を驚かせ怪我をさせてしまい、大問題に。
これは、事業所が悪いよな。
草太は両親に自分が悪いと、告白する。
ここで、自分のしたことを話せるなんて、なんていい子だ。
地域住民の反対活動で、ちゅうさんは、ホームから出て、家に戻る。
おかえりちゅうさんの会としてお料理をたくさん作った、加賀まりこ。謝罪に来た、お隣家族と食事を共にする。
妻も、加賀まりこの人柄に、すっかり仲良くなっていました。
人柄だよなぁ。。。
結局謝罪しなかった 里村茂(渡辺いっけい)は、
ちゅうさんにビールをすすめる。
翌日も、ちゅうさんのことをちゃんと名前で呼ぶ里村茂(渡辺いっけい)。
ここの、ちゅうさんと、渡辺いっけいが呼ぶことに、私はじーんと来てしまった。ちゅうさんが、お隣一家に認めてもらえたこと。垣根がなくなったこと。
梅の木の枝とちゅうさんのことで、お隣との距離があったけど、距離が縮まったことを、思うかのように、梅の木を見上げる加賀まりこの姿でラストシーンでした。
お隣とはうまくいくようになったけど、相変わらず近隣住民との理解はどうなるんだろう。とても気になったけど、いくつものケースがあるだろうし、結論づけず、あいまいなままで、よかったんだと思う。
だって、住民たちの立場に立てば、それはそれで、正しい行いなのだから・・・。
覚書
監督
和島香太郎
脚本
和島香太郎
山田珠子(加賀まりこ)
山田忠男(塚地武雅)
里村茂(渡辺いっけい)
里村英子(森口瑤子)
里村草太(斎藤汰鷹)
大津進(林家正蔵)
今井奈津子(高島礼子)