正欲 【邦画2023】
3つの方向から最後は一点に交わる物語
先日書いた『怪物』同様、3つの方向から同一のテーマに向かって進んでいく。最後は、3つが絡まり合い、この作品もまた最後は『見ている者に委ねる』作品だった。
面白いとか、感動とか、見どころは何?と言われたら
ガッキーのギリギリの官能シーンかな。
言われないと、官能シーンとは気が付かないかも。
それは、ダンスをする青年諸橋大也:佐藤寛太も同様。
何しているか分からなかった。
桐生夏月:新垣結衣
佐々木佳道:磯村勇斗
諸橋大也:佐藤寛太
の3人は、水フェチだ。水で、性的な感情が沸き上がるそうだ。
この作品は、多様性をうたっている。
うーーーん。これが、多様性なんだろうか。
世の中の言っている多様性と、この作品の多様性はなんだか違う気がする。
この三人は、黙っていれば、見た目も、社会生活も、日常生活に支障がないのだ。
だけど、桐生夏月:新垣結衣と佐々木佳道:磯村勇斗が、同じ価値観で出会って分かり合えたことは、キセキだよな。二人がこのまま、ありのまま、幸せに暮らしい欲しいと願う。
にしても、水フェチが集まり、動画を撮りあうという企画。
同じ感覚の同士が、共有するなんて、素敵な事だとみていたら、その中に犯罪者が混じっていたという終盤。犯罪者と過ごしていたからと言って、警察に聴収を受ける、佐々木佳道:磯村勇斗。
自らの潔白を証明するには、水フェチであることを、決して理解しない相手に言わなくてはならない。これほど酷なことはないと思った。
ラストシーンは、決して理解しないであろう、寺井啓喜:稲垣吾郎との対話を終え、扉が閉まる。
心の扉だろうな。
簡単なストーリー
① 桐生夏月:新垣結衣は、親と同居し、結婚をせかされていた。自分が、水フェチで性嗜好も水だ。同級生の結婚時で、高校の時に気になっていた佐々木佳道:磯村勇斗と再会。佐々木佳道:磯村勇斗は、他の同級生の女性と付き合おうとするがムリ。桐生夏月:新垣結衣は悲観し、車で暴走するが、佐々木佳道:磯村勇斗が目の前に現れ、回避する。ホテルで二人は落ち着き、付き合うようになる。互いの生きづらさをさらけ出して、理解し、同士のような感じで、結婚し、横浜に引っ越す。
② 諸橋大也:佐藤寛太はイケメンで、大学でダンスをしている。神戸八重子:東野絢香は、男性が苦手で過呼吸を起こすほど。諸橋大也:佐藤寛太と一緒なら大丈夫だと、接近するが、撃沈する。諸橋大也:佐藤寛太もまた水フェチだった。
③ 寺井啓喜:稲垣吾郎は不登校の息子と妻の3人暮らし。不登校の子どうしで、その手の法人の手ほどきで、ユーチューバーになる。息子と妻は楽しむ、生きがいのような感じ。それが理解できない、理解しようとしない、寺井啓喜:稲垣吾郎。結果、離婚調停。
④ 合流
寺井啓喜:稲垣吾郎と桐生夏月:新垣結衣は道で偶然会い、会話を交わす。
矢田部陽平:岩瀬亮は児童犯罪者。
その矢田部陽平:岩瀬亮とネットで『水フェチ』同志知り合った、佐々木佳道:磯村勇斗と諸橋大也:佐藤寛太も、警察に連れていかれる。その取り調べをするのは、家族のことすら理解しない寺井啓喜:稲垣吾郎だった。桐生夏月:新垣結衣は寺井啓喜:稲垣吾郎と話すが決して交わることはない。そして、その部屋の扉は決して二度と開かない心のような感じで、閉まってしまう。
覚書
2023作品
寺井啓喜:稲垣吾郎
桐生夏月:新垣結衣
佐々木佳道:磯村勇斗
諸橋大也:佐藤寛太
神戸八重子:東野絢香
寺井由美:山田真歩
越川秀己:宇野祥平
西山修:渡辺大知
那須沙保里:徳永えり
矢田部陽平:岩瀬亮
高見優芽:坂東希
原作:朝井リョウ『正欲』
監督・編集:岸善幸
脚本:港岳彦
音楽:岩代太郎
主題歌:Vaundy「呼吸のように」