1日数話・・・毎日20時アップ予定です。
大宮さんの恋物語。
楽しんでいただけたら嬉しいです♡
では・・・///どぞ♡
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Side.N
やがて。
ポツポツと話し出す。
何から話していいのか・・・と言ってはいたけど。
ちゃんとわかりやすく話してくれる。
声が。
・・・。
・・・。
心地いい。
優しい声。
ずっと聞いていたくなるような・・・響き。
少し低め。
でも・・・艶があって。
この人は。
声までも美しい。
話の内容は。
つい最近の出来事・・・事業の倒産。
お金持ちの父親が敷いたレールの上を走りたくなくて。
親友と事業を立ち上げたけど失敗し。
多額の借金を肩代りしてもらった父親には。
頭があがらなくなった・・・と言うこと。
でも・・・そこまで話して。
「懺悔・・・って言う内容ではないか。」
そう言って。
寂しく笑った。
しん・・・となる懺悔室。
本当は話を聞いた後は。
神に赦しを乞うために・・・一緒に祈りを捧げるんだけど・・・でも。
この人が言うように。
「懺悔」と言う内容ではなくて。
だから・・・とまどう。
赦しが必要なのか・・・と。
ううん・・・赦されることを望んでいるのか・・・と。
覗き窓から見るこの人は。
下を向いて。
その指に・・・爪に触れ。
ひっかくようにして爪をはじいている。
多分・・・無意識。
話し終えたはずなのに・・・何か思いめぐらせているよう。
まだ。
・・・。
・・・。
話がありそう。
言いたいことがきっとあるんだと思う。
ここに来た本当の理由が・・・。
「続きを・・・。」
「え・・・?」
「続きを聞かせてください。」
「・・・。」
続きを・・・と促した。
じっと・・・こちらを見つめる瞳。
見えていないはずなのに・・・目が合う。
まばたきが多くて。
まるで僕の言葉に・・・とまどっているよう。
もしかして。
他に何かあるのかも・・・と思った僕の考えは。
間違っていたのかもしれない。
続きなんて・・・ないのかも。
でも。
・・・。
・・・。
だったら。
・・・。
・・・。
どうしてそんな寂しそうな目を。
すがるような目を・・・するの・・・?
僕は・・・もう一度話かけた。
「あなたの思いを。」
「・・・。」
「本当の思いを。」
「・・・。」
「聞かせてください。」
僕の声を聞いて。
きゅっと・・・力が入ったように目が細くなる。
膝の上の手が。
ぎゅっと握り直された。
待つ。
根気よく待つ。
一度・・・眼を閉じて。
心で主の祈りを唱える。
どうか。
この人に神のご加護がありますように・・・と。
「親友に・・・裏切られた。」
突然の・・・低い声。
でもはっきりと聞こえる。
強い声。
「やっと銀行からお金を借りられたのに。」
「・・・。」
「その大事なお金を持ち逃げされて。」
「・・・。」
「それで・・・倒産が確定した。」
「・・・。」
苦しそうな声。
僕まで息苦しくなって。
大きく・・・肩で息をして。
そして・・・言った。
「お金を持ち逃げしたのは・・・確かに親友の方なのですか?」
「そうだ。」
「どうしてそれが・・・。」
「電話があった。」
「本人から・・・?」
「そう・・・俺がお金を持ち逃げした・・・と。」
「どうして・・・。」
「・・・。」
沈黙。
懺悔室とはいえ。
一方的に話を聞いているだけではなくて。
こうして・・・会話をすることはめずらしくない。
でも。
ここまで・・・息苦しくなったのは初めてだった。
先輩の神父様が懺悔を聞いていらっしゃる時だって。
あのおじいさんが子供の頃の盗みを懺悔し涙した時だって。
こんなにも胸がしめつけられるようなことは・・・なかったのに。
つづく